4話
ガクは、すぐに小屋に戻る。すると、フェルグスが剣を握り、立とうとしていた。
「その傷では無理です」
ガクが押し戻せるほど、フェルグスの力は萎えていた。
「クソ……敵が近づいて来ているというのに」
フェルグスは横になり、苦しげに息を吐く。
「追っ手ですか」
「ああ……スキルで再び戦禍を起こそうとしている連中だ」
聞いたことがある。かつて、スキルを乱用した者たち。彼らが敗戦後も、再び徒党を組み、国の覇権を取ろうとする者たち。彼らは、スキルを生み出す源である《神体》を狙っているのだ。
「この森は複雑だ。奴らが来るまで後一日はかかる。お前は逃げろ」
フェルグスが、ごつごつとした手で、ガクの肩を叩く。
ガクは拳を握りしめた。僕は、またここでも逃げるのか?
あんた、まだやれるのに―
3年前、言われた一言が蘇る。
僕は、あの時、逃げた。自分の才能に絶望し、自分を貶める声ばかりに耳を傾けた。お前なら、治療者として戦える、そう言ってくれた声を無視した。
役立たず、無能―
僕は、誰の声を聴くべきだったのか。
「この剣はやる。高く売れるだろう、治療費だ」
フェルグスは、持っていた剣を差し出す。先の尖った無骨な剣。黒光りする、その姿は黒曜石にも見えた。
僕は、またここで逃げるのか。いや―
「これは受け取れません……僕も戦います」
ガクは、自分の剣を取り、立ち上がる。そして、フェルグスを運ぶための準備を始める。
「無茶だ……」
ガクは、拳を握りしめ、
「無茶じゃない!」
ガクは、木を組み合わせ、担架を作る。
「ガク、俺を運ぶのは無理だ」
「でも」
「お前の力では、俺は運べない。だが、出来ることがある」
「できること?」
「俺のスキルを再現するんだ」
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