表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
1/83

1話

 役立たず、できそこない―


 やみの奥から低い声がする。


 ガクは、夢から目覚める。少年は、漆黒の髪をかき上げ、目をこする。そして、大きなため息をつく。


「また……あの夢か?」


 かすれた声がし、ガクが、そちらを見ると、老婆が、薬草を潰している。小さな部屋のせいか、薬草の潰す音がやけに大きく聞こえた。


 ガクは、うつむき、唇を噛む。


 騎士団から離れ、もう3年も経つというのに、同じ夢を見ている。


「顔、洗ってこい」


 ガクは夢を追い払うように、小屋から出る。周りは森で、近くで川が流れている音がする。


 ガクは、朝の冷たい空気と共に、草木の香りをぐ。少しだけ、気分が良くなる。その足で川で顔を洗う。


 ガクの外見―女性と見紛うほどの中性的な顔、そして、黒い瞳。この国では、珍しい特徴だ。


 小屋が開き、老婆が現れる。そして、森へ向け、歩き出し、


「薬草を売ってくるでな。一週間は戻らん。誰かが来たら頼むよ」


 ガクは、うなずく。


 ガクは、簡単な朝食を済ませ、小屋の隅に置いてあった剣を取る。外に出て、それを無心で振るう。


 現在、大陸内では、未だに戦争の残り火がくすぶっていた。それこそ、薬売りであるガクが剣を習得しなければならないほど。


 異能力スキルを巡るいさかい、それは権力闘争と絡みあい、血を血で洗う大戦へと発展した。そして、その戦後処理は、未だに終わっていない。


 傭兵が夜盗になり、それを狩る騎士たちが国を闊歩している。それが現状だ。彼らが薬を買いに来ることも少なくない。


 傭兵に略奪されれば、老婆に叱られてしまう。ガクは、剣を振るい、修行する。


 ここにさえ、いられなくなってしまうのはごめんだ。ガクは唇を噛む。彼は、元々最強とうたわれた騎士団の一員だったのだ。

 読んで頂きありがとうございます。


 はげみになりますので、感想、評価、レビュー、ブックマーク、お待ちしております。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ