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第七話 勇者召喚

ホントすみません…描き終わらなかったんです…これからいっそいで二話目も書いて同時刻に投稿するので許してください┌○┐くゴンッ

 

 ──勇者召喚の準備が整った。と、案内役とは別の人が俺達を呼びに来た。

 どうやら立合うことになっているらしい。


 …よくよく考えたら、俺詳細知らないじゃん。

 カルナにちゃんと聞いとけばよかった。


 しばらく歩き、かなり厳重な警備を抜け召喚の魔へと案内される。


「…暗いです」

「エリィが小さい頃に暗い場所に迷い込んで泣いていたのが懐かしいな」

「う、うるさいです…!それにシャルも泣いてたじゃないですか!」

「うっ…な、なんのことだぁ~?」


 つまりどっちもどっちなんだな。


 そんな二人の様子を微笑ましく見ていたが、奥に進むにつれて次第に口数も減っていった。

 物々しい雰囲気もそうだが、周囲に存在する魔力が段々濃くなっていくのだ。それこそただの人間であれば息が詰まるほどに。


 俺はこの空間でただ一人だけ平然としていた。

 存在のほとんどが魔力に依存している魔族にとって、濃密な魔力が漂う空間は極上の領域だ。

 面倒な魔力補給は必要ないし、そこにいるだけで自分を強化してくれるのだ。


 余談ではあるが、魔族はその性質を持つが故に魔力溜まりと呼ばれる高濃度の魔力によって魔物が大量に発生する場所を好み、そこに定住する。

 実のところ魔族と魔物は根源が似ているため襲わないし、他種族が来れば魔物が勝手に防衛してくれるため、危険も少ない。

 魔族にとってこれほど良い場所は無いのだ。もちろん魔王城周辺は飛び抜けて魔力濃度が高く、その分強い魔物も多い。

 RPGとかで魔王城付近に出てくる魔物がやたら強いのはそれが理由だ。


 ───ゲーム会社がわざわざそんな理由づけして考えてるかどうかは知らないけど。


「こちらです…」


 案内された先には、既に国王、宰相、王直属の魔術師と思われる人たちが待機していた。


「よし。ではこれより、勇者召喚を執り行う。…始めよ」

「「「「「「はっ!」」」」」」


 詠唱が始まると共に、地面に描かれた膨大な量と大きさの魔法陣が輝きを帯び始める。

 それに伴い、周囲の魔力も取り込み始め、眼も開けられないほどに部屋中が光で満たされる。


 ───それらが突如ピタリと収まると、中心に一人の人間の姿があった。


「──いっ痛ぅ……ここは…?」


 俺はその人間に既視感を覚えた。

 そして、ある人物と外見が一致したその瞬間、頭が真っ白になった。


 なんで。どうして。それだけが頭をぐるぐると巡り、具合が悪くなった俺は、魔力酔いしたと言って先にその場を後にした。



 *   *   *



 ───おいそこ。元々お前は頭が真っ白だろとか思ってないだろうな?

 確かに頭は真っ白だがさっきのは脳内の話だ。髪の毛の話じゃない。


 …さて、ボケるのはここまでにして、少し説明させてくれ。


 召喚されたのは、かつての親友『月海 悠(つきみ ゆう)』だった。

 眉目秀麗、博学広才…ひっくるめて秀外恵中でいいか。まぁそんな二次元にしかいないような完璧超人がアイツだ。

 根っからの真面目君ってわけでもなく、単純に勉強が好きなんだと。


 普通なら嫉妬とか嫌悪感を抱いたりするんだろうが、一周回って逆にそんな奴と親友になれて光栄なくらいだ。

 何気にアイツもアニメとかゲームまでオタク並みに好きらしく、おすすめのアニメや攻略のコツを教えてやったのが友達になるきっかけだった。


 おっと話が逸れたな。それから俺は、というか俺達パーティメンバー組は悠の恩恵(スキル)を確認する間待機を命じられた。


「ところで、二人は歴代の勇者がどんなスキルを持ってたのかって知ってる?」

「私は知らないな」

「エリィもあまり…どうしてそんなことを?」

「悠…者は決められたスキルを与えられてるのかなって思って」


 あぶな、いつもの癖で名前で呼ぶとこだった。

 似たような名前で助かったぜ。


「その可能性は低いと思います。記録で残っている範囲であれば、歴代の勇者は各々で使う魔法や戦闘スタイルが異なっているので」

「へぇ~…」


 得意分野はそれぞれ違うのか。

 魔法か物理、適正属性、魔法や武器の向き不向きなど。

 それによって戦闘スタイルも大きく変わる。


「あっ、でも確か勇者には何かしらの神様から加護が与えられると残っていました」

「加護かぁ…異世界人じゃないと与えられないのかなぁ」

「「え?」」

「え?」


 ふと口をついて出た言葉に、あからさまな反応をする二人。

 するとエリーゼはなにやら考え始めた。


「…確かにそうですね。神様が気に入った人間を選んで加護を与えているとするなら、勇者に限った話ではない…?」

「だが、勇者には確実に加護を受け取っているのだろう?それはどうなる」

「うーん…」


 うわぁ、この年でエグい程頭回るな。軽く引くわ。


 …別のラノベでの神の設定だが、一応案だけでも伝えてみるか。


「もしかしてだけど、神様はあくまで均衡を保つための存在、どちらかに加担しすぎることなく、パワーバランスを取るための存在だと考えたらどうかな?」

「…アルミナさん。それを教会上層部の人達が聞いていたら大激怒ですよ」

「アッ、ゴメンナサイ」

「ですが、それだと確かに納得出来る点がありますね」


 まぁ実際のところ分からないっていうのが本音だ。


 これまで、勇者は一人で事足りていたはずだ。

 なのに俺というイレギュラーがいる。

 この魔法チートが加護によって与えられたものなのか。それともあの時のバグによって生み出されたものなのかもよく分からない。

 もし加護だとするのなら、俺の仮定は成り立たなくなる。

 かつての賢者が生きている以上、勇者召喚だけでも崩しかねないのにそこに俺が加われば、世界のパワーバランスが人間側に大きく傾くことになる。


 …っと議論が盛り上がっているところだが、そろそろ時間みたいだ。


 コツコツと複数の足音がこちらへ近づいてくる。それを二人も気づいたのか議論をやめ、少し後に扉が開いた。


「お待たせ致しました。恩恵の確認が済みましたので、御三方もご確認ください」


 そう言って、俺達に紙を渡すと静かに退出する。

 が、どうやら扉の前で何か話しているらしい。

 しばらくすると、一つの足音が遠ざかり、カチャリと恐る恐るといった様子で扉が開いた。


「え~っと…失礼、します?」


 ───なんで疑問形なんだ親友よ。


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