やってらんねぇよ……
「はぁーあ、こりゃめんどいことになるぞ……」
めんどい問題になるとは思っていたが、結局ノリノリで撃っちゃったし、仕方ないよな。
「よしよし、大丈夫ですぞ~。お母さんはお嬢ちゃんの泣き顔なんか見たくないですぞ~」
「ヒグッ、エグッ、だ、だっで!!おがぁざんが!!」
「だーいじょうぶ、大丈夫ですぞ!!」
泣きじゃぐる女の子を必死で宥めるジェントー。一体何が大丈夫だというのか。
「しっかし、なんであんなことやったんだお前」
未だに踏みつけられているさっきの男に問う。
「うっせぇ!!お前らこそなんなんだよ!!汚らわしい獣人なんぞ庇いやがって!!それでも人族か!!」
「パッと見、現状ではお前がいっちゃん汚いぞ。で、そんな汚らわしい獣人をどうして殺す?」
「獣人だぞ!?人族のフリをする醜い獣だ!!俺たちに殺されて文句が言える立場にもない!!食うためにのみ生かされ、殺される家畜と同じだよ!!俺たちのストレス発散に殺される為に生かしてやってんだよ!!」
「…………」
「獣人なんぞ、所詮は人族の出来損ないだ!!奴隷にして無料で無限の労働力にすりゃいい存在だろう!?俺たちの暇潰しに苦しませて楽しむ為の存在だろう!?」
「…………」
「俺の国じゃ、新兵器の実験にも役立ってくれてるんだぜ?こないだも数匹のケモノに最新の毒ガスを吸わせてなぁ!!面白かったぜ!?少し吸っただけであり得ねぇぐらい体をびくつかせてよぉ!!ゲロ吐くわクソ漏らすわで大変……」
「もういい」
「……あ?」
「もういい。もういいよ」
俺はゆっくりと男の後頭部に墓掘人を押し当てる。
「て、てめぇ!!俺を殺したらどうなるかわかってんのか!?軍が黙っちゃいねぇぞ!!お前らなんぞすぐ見つけ出して殺…」
「その、獣人に徹底的な虐待をしている国がよぉ」
グッと顔を近付けて言う。
「たかが一般人にギタギタにやられた軍人を助けてくれんのか?」
男はしばし硬直したのち、狂ったように暴れだした。
踏みつける箇所を頭から首もとに変更し、頭に狙いをつけ、引き金に手をかける。
グッと力を込める……が、どうしたことか、引き金が引けない。
戦闘の時も、腕を撃った時も軽かったハズの引き金が、とてつもなく重く感じる。
心臓の鼓動が聞こえる。手や額から汗が滲み出す。銃口が震えていることが分かり、両手で構えるが収まらない。
「…クソッ、何でだ!!」
クズだ。清々しい程のクズのハズだ。殺されても文句が言えない程の。
それなのに、俺の指は引き金を引くことを拒否する。こいつの命を奪うことを拒否する。
―ザシュッ!!―
いきなり、ジェントーが男の頭を突き刺した。
「!?」
「コウガ殿、情けをかける相手を間違っていますぞ」
「……そうだな。すまん」
まだ甘いな、俺は。もっと非情にならんといかん時もあるだろうに…。
「ま、とりあえず、これからどうするよ」
「まずはミグレアに戻りましょう。帰りは飛んで帰れるのでしょう?」
「ああ。二人なら飛べる。三人じゃ無理だったんだよなぁ」
俺のコートの『浮遊魔法』の定員は二人だ。それ以上は例え子供でも飛べない。
「じゃ、帰るかな」
死体をとりあえず収納しようと手をかざした時
「こ、これは!?」
驚愕の声が聞こえた。
見ると、老齢の獣人とおじさんの獣人が数人立ち尽くしてこちらを見ていた。
そのなかにはリントの親父さんもいる。
「お、お前達!!何をしてくれたのだ!!」
凄い剣幕で怒鳴るお爺さん。
「人族の兵士を殺すなど……報復がこない訳がないであろう!!貴様はこの村の民を皆殺しにしたいのか!?」
「そんな訳じゃないし、そもそも俺が何もしなくてもお前らはいずれ全滅していただろうな。あんなお前らの命を軽視した奴らに支配されてるようじゃ」
「しかし……じゃぁどうしろというのだ!?数でも能力でも奴らが圧倒的だ!!強力な武器もある!!支配を受け入れる他ないではないか!!」
逆ギレか。ま、この人も苦労したんだろうな。
今までの鬱憤が爆破したかのように喚く老人の声を聞き流すうちに、俺の頭に一つの考えが浮かんだ。
「…じゃあ、俺なりやり方での責任を取ってやろう」
「お前ら2人で何が出来るというのだ!!適当なことを…」
「まぁ聞け。まずはお前ら、俺に支配されろ」
俺は自信たっぷりに言い放つ。
『はぁ!?』
狼狽える獣人。
「し、支配だと!?支配から解放してくれるのではないのか!?」
「だから、今の理不尽な支配から解放する代わりに俺に支配されろって言ってんだよ」
「そ、そんな言葉を信じられる訳が……」
「それでもいいぜ?べっつに俺はお前ら助けたいなんて思っちゃいないし、断られたら帰るだけ。断りたきゃ断れ。いやむしろ断ってくれ頼む」
こんな奴らの面倒見るなんてやなこった。多分断るからこの提案にした訳だしな。
「受け入れましょう村長!!今よりはマシなはず!!」
「そうです!!いまこそ奴らの支配から解放されるときなのです!!」
あれ?なんか受け入れそうだな……だれか、反対しろ!!
「ワシはお断りじゃぞ!!あんなどこの輩かもしらん奴にワシらのことを任せるなど……」
お、いいぞじいさん。その調子。
「村長!!そんなことを言っている場合ですか!!我々は真に追い詰められているのです!!我々は差し伸べられた手を選り好みなど出来ません」
「し、しかし…」
「彼らはこの村に住んでいた女の子を連れて帰ってくれた恩人です。信用に値する人間です」
「……わかった。ラルガがそういうのであれば、信じてみよう。彼を」
うわ、マジか。もうちょっと渋れよじいさん!!
コロナウイルス、怖いですねー。(他人事)
そして受験シーズンですね!!
もしかしたらこの小説を読んでいる方に受験生がいるかもしれませんね。
そんな受験生に私から一言。
こんな小説なんぞ読んでねぇで、勉強しとけよ。




