とりあえず帰る
「お前らさぁ、今までさんざヒッデェことしてきた人族に運命を任せるって、マトモな考えしてると思えねぇけど?」
「……もしも、あなたが、本気で助けてくれるならば……」
最後の、チャンスなのです……
必死に絞り出したような声は、確かに俺の心に響いた。
確かにそうだ。道にいる奴らをみると、飢餓が進行してるようで、早急になんとかしないとヤバいラインだった。
「そうか……じゃあ早速始めるぞ!!!」
集まっている奴らに呼び掛ける。
『はい!!』
決意に満ちた眼差しで俺を見る獣人族の皆さん。
「とりあえず俺は帰る!!!!」
『……はぁ!?』
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「あの空気で帰ると明言できる精神は尊敬しますぞ……」
「とりあえず帰らないとどうにもできんしなぁ。二人で出来ることなんぞハナクソレベルにもないだろ。あのガリガリケモミミ軍団は労働力としてカウント出来んし」
「まぁ、ウチには最強の労働力である無限体力とバ怪力の集団がいますからな」
「おう。アイツらいればなんとかなるレベルの力を持ってるよな。直ぐにサボるけど」
「というか」
「どうした?」
「なんで空中でのんびり会話してるんですかな」
「そりゃ着くまで暇だし」
俺達は今、この大空を一直線に飛行している。
浮遊魔法と靴底の推進器によってアンパンマンのように飛ぶ俺の背中にジェントーが乗っかってる状態で。
「まぁもうそろそろ着くぞ。ホレ、もう城壁見えて来た」
「さすが、飛ぶと早いですなぁ」
「お前が来なかったらこの速度で行って帰って1日だったのにね」
「私がいなければ助けていなかったでしょう?」
「そりゃあ、あんなめんどくささの象徴みたいな集団押しきって連れ出すなんてことめんどくさ過ぎるしな」
そんなことを話している間にもう着いた。
着陸体制に入るぜ!!
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コウガ様は私を嫌った訳ではなかった。
私と同じ獣人の少女を助ける為に、急いでていったのだ。
しかし
「遅いです……」
5日間。私はマーガレットさんが心配するほど落ち込み、食事も喉を通らなくなった。
いないはずのコウガ様の声が聞こえ、部屋に入っていく姿を見て追い掛けては見失った。
それでも仕事はしなければと頑張っていたら、フラフラだった私を心配したのか、マーガレットさんが庭掃除を頼んできた。
確かに広大な屋敷の掃除や大勢の食事を作るよりは楽だが、誰もいない庭をもくもくと掃き掃除していると、様々な考えが浮かんでは沈んでゆく。
どうしてもコウガ様のことを考えてしまう。私はこんなにもコウガ様に依存していたのだ。
「はぁ……」
『HEYファル。溜め息ついたら幸せが逃げるぜ?』
「ヒャアッ!!!?」
迷惑になってはいけないと自分からはかけなかった念話が急に繋がる。
「コッ、コウガ様!?」
『おう!!今用事が済んでな。すまんな、いきなり長いこと開けて』
「い、いえいえ!!奴隷としての務めを果たすまでです!!」
嘘、本当は辛かった。耳にはいるコウガ様の声を噛み締めるように頭に入れる。
『って訳で、帰るからな』
「はい!!お待ちしておりまs」
――ドッゴォオオオオオオオオオオオオオオン――
いきなり庭に何かが突っ込んできた。
口を半開きにし、白目を剥いて硬直する。
薄れてきた土煙の中に、私が幾度も幻覚を見たあの方が立っている。
親指を立て、ニカッと笑って。
『ってわけで、ただいま』
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「見えた!!懐かしの我が家だ!!」
「おお!!上から見ると大きいですなぁ」
良い歳してはしゃぐ男二人。
「お、庭にいるのはファルだな。……ちょっと驚かしたろww」
ファルに念話を送る。
一言二言会話したあと、全力で庭に突っ込んだ。
背中のジェントーが絶叫駄目な人が無理やりジェットコースター乗せられたみたいな悲鳴を上げてもお構い無しに。
『ってわけで、ただいま』
念話を送り、フィニッシュ。決まったな。
お、ファルが駆け寄ってk
「コウガ様ぁあっああああっ!!!!!」
「ゴッファァアアアアアアアアア!?!??」
ロケットのように頭突きで突進してきたファルに、俺の体はくの字に曲がる。
地球だとそこまで痛くもないシチュエーションだが、ステータスとかいうものがある世界では砲丸投げの砲丸を腹に喰らったかのような衝撃が襲ってくる。
内臓が傷ついたのか、口の中に鉄の味がする。
吐血寸前で地面を這う俺にのし掛かり、腰に腕を廻して腹に頭をこすり着けるファル。
「コウガ様!!!コウガ様ぁ!!コウガ様ぁあっ!!」
なにしろ抱き締める力が凄まじい。俺の骨盤が不快な音で危険を訴える。
軽いパニック状態になりながら俺はファルの頭をたたく。
「ゴメン、悪かった、もうしません、だから止めて、許して、お願い」




