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第二章(5)
(第二十二回)
腐敗した肉体は見るに忍びない。
美がない。
しかし眼の前にある肉体はまだ艶めかしいエロスの精霊が息づいている。
家人はいったい何に侵されたのか。
目まぐるしく甦る数々の思い出…
家人の姿はしなやかに躍動し、笑い、甘え、誘惑する…
白い手、瑞々しい曲線、長い髪の毛。
そのすべてにピアノの旋律が跳ねる。
曲名は知らない。
知らなくてもいい。
何故か涙がこぼれるだけだ。
これほどまでに医学に頼ってきたのに天の声は、
「治るものは治る。治らないものは治らない。医学の知ったことではない」
ということか…
実に不運である。
悲運なり。
哀れな家人は今、何を想うのか。
彼女の眼に映っている三徳山はどんな景色をしているのか。
やがて鳥居の下に着き、
そしてピンク色のクルマは
果たして彼女の脳裏に映し出されるのか。
ピアノの旋律は依然と跳ね続けている…




