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咎人ニ愛ノ手ヲ  作者: 蜂矢ミツ
5/5

三、ガーベラ(下)


私は知っている。


誰よりも知っている。


人の心が、どう動くのか。


その表情に、仕草に、どのように現れるのか。


生きているのを装うことは、斯くも容易い。


この目の奥の光が消えていることに、気づけるものなどいない。




それなのに、私は此処にいる。


生きながら、死に続けている。




この頬をつたう涙の意味するところは、もう分からない。


うずくまって眠ることもできない。


ならば歩こう。


結局、そこに行き着く。






足は自然と、丘へ向かう。


あの、四角く白い建物へと。




このような果ての地まで来て、私は、気づいてしまった。


いや、気づかされてしまった。






リコとシロ。


あのように、誰かと手を取り合って、生きられたなら。



山茶花。


あのように、深く一人を愛しながら、生きられたなら。



全て失くしたこの身でも、全うに生きてゆける。






山茶花。



すでに潰えたこの胸が尚痛むほど、乞い願う。


ああ、どうか、私に。



その手を、握らせてくれやしないか。

完。

以下、おまけ




前回同様、作品の雰囲気を大事にしたい方は見ないでください。




(ことさらにぶち壊しです)








かまわんよ、という方はスクロール↓







































































































































































































































































































































































































































台無しなおまけ3


---


白衣の男と女の子と犬が、建物の陰から様子を伺っている。


「……どうしよう?」


「そんなの、がばっといって手をにぎって、ぎゅーってすればいいじゃん。


 ついでにちゅーしろちゅー」


「世の中では、それを痴漢というんだよ」


「……(骨ガムに夢中)」

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