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雨降る午後に
恋人たちには雨が似合う。
寂しい雨が降っている
コートの襟を立てて
冷えきったコーヒーを飲みながらポツンと彼女を待つ20分も遅れている
これはいつものこと
鼻歌を歌いながら気長に待つ事が出来るようになった気休めに曇り空に手を振る
ギコギコ
ギコギコ
カッパを着た、おかっぱ頭の女の子が三輪車に乗ってやって来た
一人言を言いながら
大きな声で歌いながら
水溜まりを
敢えて攻める走りをして
ギコギコ
ギコギコ
女の子のピンクのカッパがなかなかイカす
目の前を
ゆっくりと
通り過ぎていく
動じずに歌いながら
女の子は物怖じしない
男の子はおっかなびっくり大人になっても
ほとんどそれは変わらない
雨がぐずってる
もうすぐ春だ
僕の名を呼ぶ声がする
水溜まりをジャンプしながら彼女が走ってきた
ジャンプの時に手を振る
『器用な動きだな』、と僕は思いながら微笑んだ
曇り空から太陽が照れくさそうに顔を覗かせていた
ありがとうございました♪




