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君がこの世を去った時、僕は脱け殻になった
悲しい夢を見て目が覚めた涙で濡れた頬を拭う
思い出は輝いて
君が堪らなく恋しくて
愛しさが膨らんでいく
君がこの世を去った時
僕は脱け殻になった
脱け殻のまま
歳を重ねてきた
その事が正しいのか
どうかは分からないでいる
僕は待ち続けている
何を待っているのかは
言えない
言えそうもないんだ
傷ついた心を癒すのは
思いの外
難しいと分かった
途方に暮れた男が
フェンスに寄り掛かって
明日を
未来を夢見ていた
無邪気で
幸せだった頃の
君を探してしまう
「僕はここにいるよ!」
と空に向かって手を振る自分がいる
ああ、
君がこの世を去った時
僕は脱け殻になった
悲しくて
胸が痛くて
涙が止まらなくて
いっそ……次の言葉は止めておこう
どうしたらいいのか
分からないで
歳を重ねてきた
答えがない答えを答えようとして足掻いてもいたよ
君の悲しみを引き継ぐ事だけはしたくなかったのに
君がこの世を去った時
僕は脱け殻になった
ありがとうございました。




