幸せな偶然
冬の時期は運命を引き寄せます。
君に出逢うまで
ひとりぼっちだった
月が寂しそうに
僕を照らしていた
星が心配して
何度もため息を溢した
老夫婦、若いカップルだらけのスケートリンク
途方に暮れてきたので
1人でクルクル回って
やり過ごす
鼻水垂らした女の子3人が僕に拍手をしてくれた
つかの間の活気が甦り
軽くお辞儀を返した
3人の女の子がバイバイと言って去りゆくのをしばらく眺めていたら
何だか疲れてしまい
ポツンと立ち尽くして
夜空を眺めてみた
「運命の人は何処にいるんだい?幸せな偶然なんてあるのかい?信じきれないのが原因かい?もう分からんね」と独り言を言った
「若造、焦るなよ。ワシは30過ぎて、更に、若造の人生くらい待った50過ぎてから、ようやく、この女と出逢ったんだからな。焦るなよ」と老夫婦のうち、お爺さんはどうやら盗み聞きをしたようで、笑いながら話した
「28年間もですか!?はぁ。刑期を終えたような感じになりませんでしたか?」と何故だか言っていた
「ぶはははははは!!」と老夫婦は笑いながら去っていった
帰ろうと向きを変えたら
見知らぬ女性とぶつかった「痛いな…」、文句を言ってやる、と顔をあげると素敵な女性がいた
言葉が喉元で一時停止
「ごめんなさい」と彼女は頭を下げて謝った
「いえいえ」と僕は言った
彼女は首をかしげて僕をじっと見つめている
『いかん、鼻くそか、目やにか、鼻水か?』とさりげなく自分の顔を擦るが違うみたい
老夫婦が戻ってきた
お婆さんが僕にウインク
僕もウインクを返した
女の子は僕の言葉を
待っていた
僕も女の子の
言葉を待っていた
ありがとうございました!




