2/175
天使の歌声
けして貴方は一人ではないということを感じる瞬間があるはずです。貴方のことを愛している人が、そっと優しく見守っているのです。
少女が寂しげに
夕陽を見つめて
泣いていた
少女は独りで
いることが多かった
少女は落ち着いていた
汚れを知らない少女は
銀河のように美しかった
あどけなさが
残る顔立ちを見ると
人々は優しい気持ちなった
少女は戻らなければ
ならないと思っていた
少女はビルの屋上にいた
少女は靴を脱いで揃えた
風が吹いていた
両手を広げて
少女は
古いシャンソンを
歌いながら躊躇うことなく
ビルから一気に飛び降りた
少女は
微笑んでいた
少女から
魅惑的な大人の女へと
華麗に変貌していく
女は白い翼を広げた
向かいのビル
窓から女性が
その光景を眺めて
絶句していた
緩やかな風に乗り
女は空高く、天高く
舞い上がってゆく
いつの時代にも
天使が紛れ込んでいる
ごく僅かの人だけしか、
天使の存在に気付いていない
愛の香りを
世界に振り撒きながら
天使は僕らを見守っている
ありがとうございました!