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修羅場への布石

気が付くと喫茶店の席に座っていた

目の前にはどこかで見たことがあるような人たちが座っていた


「ねぇ」

「ん?」

「最近楽しそうだね」


そうだな

楽しいと思う

幸せだと思う

好きな人が出来て

好きな人に好意を寄せられて

一緒に過ごして

皆で笑って


「なんで?」


目の前の誰かを見るとあかいなみだを流していた

頭からナニかが流れていた

服を着ていなかった

全身に痣と切り傷があった

太ももから血が流れ出していた


「なんでそんなに幸せなの?」


言葉が出なかった


「なんであなただけが幸せになれたの?」


自分の顔から口が無くなっていることに気が付いた


「あなたが居なければ」


人が増える

知ってる人だ


「あなたが生まれなければ」


知ってる人だ


「オマエが居なければ」


際限なく増えていく

気が付くと目の前は真っ赤だ

血と肉が周囲に散乱している

じぶんのかをからハナがなくなっている


「苦しい?」

「ねぇくるしい?」

「私たちはもっと苦しかったよ?」

「私たちはお前のせいで」


俺のせいじゃない

俺は何もしていない

俺は抵抗した

俺は死にたくないから


「お前が死にたくないから私が死んだんだよ」

「お前が生まれたから私は死んだんだよ」

「お前が家に来たからあの子は死んだんだよ」

「お前が殺したんだよ」

「お前が殺したんだよ」

「お前が殺したんだよ」

「お前が殺したんだよ」

「お前が殺したんだよ」

「お前が殺したんだよ」

「お前が殺したんだよ」

「お前が殺したんだよ」

「お前が殺したんだよ」

「お前が殺したんだよ」









--------------








暑苦しさで目を覚ます

さっきのが夢だったのだと知って安堵する


「・・・・・・・・・あれぇ?」


窓からは刺さるほどに眩しい日差し

外からは賑やかな雑音

そして周りには見慣れぬ機械


「あ、降りてきたのか」


周囲に誰もいないので返答はなかった

服はいつの間にか着替えていた

病衣である

胸には4つほど吸盤状の何かが貼ってあった

股間にはホースに繋がった排尿の機械

そして右腕にはギブスが巻かれていた


「だめだ、わからん」


解らないのでとりあえずナースコールを押す

数分もしないうちに看護師(野郎)がやってきた







---------





説明を受けると自分が危なかったんだと知る

どうやら右腕はボッキリ逝って骨から骨髄が漏れたらしい

そしてその骨髄が破れた血管に入り込んで詰まってしまったらしい

幸い応急処置が適切に行われたために

命に別状はなく右腕もリハビリすれば元通りだという

なお正式名称は脂肪塞栓症候群というらしい


「やあ悠君、気が付いたと聞いて飛んできたよ」


ヘンリーさんがやってきた






---------





どうやら俺が気を失って5時間くらいで全員が地上に降りれたらしい

そして夏妃と洋子は

「悠君が死んじゃう!」

っと涙と鼻水で終始顔面崩壊していたという


「いやぁビデオに撮っておきたかったねあのパニック」


悪趣味な人です

そして手術は4時間もかかったという

普通骨折の手術って1時間程度で終わるもんじゃね?


「折れ方がまずかったね。折れた所に歪みも出来て神経とかも切れかけてたって言うし」

「よく無事だったな俺」

「医療の進化に感謝だねぇ」


そして手術が終わって1週間寝ていたらしい


「え、一週間も?」

「そう、もうみんな帰っちゃったよ?」


ひでぇ


「学校があるからね仕方ないね」

「ヘンリーさんは大丈夫なんですか?」

「私?私は然る高貴な女性に命令されてね」


命令?どんな?


「命の恩人に礼を尽くしなさい。それまで帰ってくんな。帰ってきたらちゃんと写真見せろ。あと私に言わずに勝手に宇宙行ったんだから減給。あと今後の介護にあんたの子供でも付けてやりな」

「ひどいですね」

「ひどいね」


ご迷惑おかけします


「ま、そんなわけで日本行の飛行機に乗る間は私が責任を持って世話をしようじゃないか」

「あ、じゃあそこの林檎切ってもらえません?」

「ごめん、リンゴの皮とか切ったことないから」


駄目じゃん


「パパはできないと判断したら動かないから。ごめんなさいね」

「良くも悪くも結論が速いんだよソイツ」


え~と・・・誰?

またキャラが増えたぞ


「日本でも兵は神速を貴ぶと言うではないか。判断が速いのは悪いことではないぞ」

「パパ日本人でもないし兵士でもないじゃん」

「むしろ兵士をこき使う側だよな」


男女が一組

女の方は肩まで伸ばした髪

男の方はオールバック

顔と身長は同じなのだが女の方はでかい!くびれすごい!ほどほどにでかい!なのでだいぶ違う印象を受ける


「あ、こいつ等が今後君を介護する私の子供な」

「双子?」

「異性一卵性双生児です。私がプリシラ、こっちがブレア」

「よろしく、日本に行くのは初めてだから緊張するぜ」


なお、2人は16歳なので4月から宇都宮に入学する模様


「日本来たことないのにずいぶん日本語うまいな」


というか完璧


「パパの趣味」

「オヤジは日本好きすぎるからな」


具体的には?


「家は畳」

「卵にはショーユ」

「ママへのプロポーズは「私に肉じゃが作ってください」」

「納豆大好き」

「納豆は無いわね」

「人間の食いもんじゃねぇよあれ」


その納豆大好きな人間が目の前にいるんですけどね

言わぬが華か


「あ、夏妃ちゃんと洋子ちゃんにはちゃんと目を覚ましたって伝えたから安心してくれ」


それはありがたい


「あとプリシラがちゃんとお世話してますって伝えたし」

「わざとですか?」

「わざとだよ?」

「酷いですねヘンリーさん」

「ひどいね私」


ケラケラと笑うヘンリーさん

こっちは一気に血の気が引いてると言うのに


「あ、これがその時のビデオレター」




----------




ハロー!ミス夏妃、ミス洋子

悠君のお世話は私に任せて2人は学業に専念してね

この子のお世話は私がたっぷりしといてあげるから

上も下もね


--------



「ひどいですね」

「うん私も今内容を知ったけどひどいね。思ったよりもひどい」

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