表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
5/6

時間を潰せ

 とにかく十秒間で逃げられるところまで逃げなければならない。

 さて、どこに行くか。

 見晴らしがいいところに行けば、多勢に無勢になるしな。かといって、あまりに狭いところに行けば、袋小路になる恐れがある。

 それにしても毎度毎度、赤世姉さんの弟を中心にしたイタズラには困ったもんだよ。

 どうやら他の新入生がスタートしたようだ。何やら歓声らしいものが聞こえた。

 十秒経つのって早いな。

 走っていると、木がたくさん植えられている広場に出た。

 ここなら、適度に見渡し易いし、障害物もある。

 僕は木の上に登った。

 そして様子を見ていたら、新入生らしき者達が通り過ぎていく。

 うわぁ、かなりの人数だよな。

 こんなもの、見つかっただけでほとんどアウトだと思うけど……。

 いきなり広場には十数人の新入生が目の色を変えて現れた。

 ま、僕を捕まえるだけで、生徒会から豪華なプレゼントがもらえるんだから、そりゃ頑張るよね。

 とりあえずここで、時間を潰せるだけ潰そう。

 その時、頭に直接声が届いた。

 これは、シンボル?

「さて、新入生諸君! 始まったばかりだが首尾はどうだ?」

 この声はアカ姉?

「今諸君らの頭には、直接声が届いてるはずだ。これはもちろんシンボル能力だ。このように、どんな能力を使用してもいいぞ!」

 やっぱりシンボルだったか。

 僕は赤世姉さんの声を聞きながら、自分の考えが正しかったことに満足した。

 ん~でも誰の能力だろ?

 アカ姉は、こんなシンボル能力じゃないし、僕の知ってる中では誰一人いない。

「おっと、伝え忘れたことを教えるぞ」

 僕が思案してると赤世姉さんが思い出したように話し出した。

「実はな、十分ごとにオニが減っていくから覚えておけ」

 ん? どういうことかな?

「今回参加した新入生オニは、164名。十分経つごとに、二分の一ずつ減っていく。つまり後八分弱で、参加し続けられるオニが82名になる。ちなみに脱落者を決めるのはランダムだ。始まる前に渡した名前の書いた札が脱落者の分は破壊される」

 へぇ、そんなもの配られていたんだ。

 でもなるほど、ということは時間が経てば経つほど、僕にとっては有利になるってことか。

「そういうわけだ。脱落者になりたくなきゃ、今のうちに捕まえるんだな。なんせラスト十分には僅か4名になるんだしな」

 赤世姉さんは楽しくて仕方が無いといった様子で話す。

 赤世姉さんの通信が終わった瞬間、急に周りの空気が変わった。

 こ、これは……皆さんピリピリしだしたんだけど。

 と、とにかく時間を稼がなきゃ。

 その時、背筋に冷たいものが走った。

 

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ