襲いかかる水の球!
僕はすかさず後ろに振り返った。
そこには明らかに僕を捕まえようとしているオニがわんさかいた。しかも皆が、僕目掛けて飛び込んできていた。
うわっ、見つかった!
僕はそこから脱出するために、足に力を込めて大きくジャンプした。
オニが減るまであと数分。いくら何でも164名から一時間逃げ切るのは厳しい。
後数分経てば数が半分になるから少しは楽になれる。
僕はとりあえず校舎の方へと駆け出した。
後ろからは大勢のオニが迫ってきている。
だがその時、前からもオニ達がやってきた。
幸い数人程度だった。僕を捕まえようと向かってくる。
一人一人向かってきてくるので、どうにかかわすことに成功している。
伸びてくる腕をしゃがんで避け、足を引っ掛け相手を転倒させる。
何としても、このタスキを守らなければならない。
そうしなければ、赤世姉さんにどんなことされるか分かったもんじゃない。
今度は後ろから手が伸びてくる。
即座に横に体をずらして避ける。そして相手の背中をとり、その背中を強く押してまた転倒させる。
そうして次々とやってくる攻撃に対処してはいたが、後悔してしまう。
足が止まっていたのに気づくのが遅れてしまった。
僕を発見したオニ達が次々と集まってくる。
そしてあっという間に囲まれてしまった。
しまった……逃げ場が……無い……っ!
僕の周囲いるオニ達の視線は、なかなかの殺気に満ちていた。
いやいや、ていうか何故に殺気!? 僕を殺そうとしてるの! 皆生徒会のプレゼントが欲しくておかしくなってるってば!
オニ達がじわりじわりと空間を削るように近づいてくる。
早い者勝ちなので、他人を出し抜こうと必死だ。互いに牽制しあってるのがハッキリと伝わってくる。
これはマズい。一斉に襲いかかられると、さすがに厳しいかも……。
ピリピリと視線での攻撃が痛い。
その時、急に影が僕を覆った。雲にしては丸みを帯びているし、あまりにも突然で不思議だった。
僕は、いや、その場にいた全員が上を見上げた。
するとそこには驚くことに、大きな水の塊が空を飛んでいた。
直径10メートルほどの水の球は、今にも落ちてきそうだった。
いや、そうではなく、今落ちてきていた。
ウ、ウソッ!
その場にいた全員が驚愕の表情になる。
あ、あんなもんに押し潰されちゃ、シャレにならないっ!
皆は、必死でその場から逃げようと散り出す。誰も僕を捕まえようとはしない。
それはそうだ。アレに命中すれば完全に沈黙する。一時間以上はベッドの上に違いない。
そんなこと考えてるヒマは無かった。僕も逃げなくちゃならない。
しかし、もう直ぐそこに水の球は迫っていた。普通なら逃げる時間などないように思われた。
その様子を見ていた生徒達も、ほとんどがこれでオニごっこが終わると思った。
そして、水の球は何事もなく定められた場所に命中した。




