表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
封戦機構《リミット・アリーナ》  作者: Y.M
第1シーズン

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

5/25

「ランク観測」

翌朝、佐倉 恒一はいつも通り教室にいた。


 何事もなかったように。


 ——少なくとも、周囲から見れば。


 だが本人だけは違っていた。


(ランク更新……観測対象)


 その言葉が頭の中でずっと引っかかっている。


 戦闘が終わるたびに、何かが“記録されている”。


 自分の動きだけじゃない。

 その結果が、どこかに送られている感覚。


(俺はプレイヤーじゃない)


(……データだ)


 その考えに至った瞬間、背中に冷たいものが走る。


 放課後。


 再び、視界が揺れた。


《戦闘権限:第4戦開始》


「またかよ……!」


 抗う暇もなく転送。


 白い円形空間。


 そして、今度の相手は——


 3人。


「……は?」


 今までと明らかに違う。


 仮面ではない。装備も違う。


 それぞれが“役割”を持っているような立ち位置だった。


「今回のリミット:単独行動禁止」


「3名以上での連携戦闘を推奨」


(推奨って何だよ……)


 つまりこれは、勝てる条件が最初から偏っている。


 人数不利。


 しかも連携前提。


「理解してるか?」


 そのうちの一人が口を開いた。


 感情が薄い声。


「君は観測対象だ」


「観測対象は、段階ごとに“負荷条件”を変えて検証される」


「……検証?」


 佐倉は一歩下がる。


 その瞬間、三人が同時に動いた。


 連携。


 無駄がない。


 一人が視線を引き、もう一人が死角に回り、最後が間合いを詰める。


(これ……)


(戦闘じゃない)


(“手順”だ)


 完全に決まった動き。


 しかし——


 佐倉の頭の中には、これまでの記録がある。


 一対一の戦闘。


 リミット変化のタイミング。


 そして、自分が“変えた瞬間”。


(連携は強い)


(でも、崩れる場所はある)


 攻撃が来る。


 佐倉はあえて避けない。


「……何?」


 一人がわずかに反応する。


 その“反応”が欲しかった。


(ここだ)


 佐倉は踏み込む。


 狙うのは攻撃ではない。


 “指揮の起点”。


 一番最初に動いた人物。


 そこを崩す。


「っ!」


 拳が入る。


 一瞬、三人の動きがズレる。


 そのズレが連鎖する。


(やっぱり)


(連携は“固定”じゃない)


(条件で動いてるだけだ)


 空気が変わる。


 三人のうちの一人が静かに言った。


「……観測値以上」


「想定外の分岐発生」


「再計算を要求」


 その瞬間。


 空間にノイズが走る。


《リミット更新》


《戦術学習モード強制適用》


「またか……!」


 今度は違う。


 相手の動きが“速くなる”のではない。


 “最適化される”。


 さっき崩した連携が、即座に修正される。


(学習してる……!)


 戦闘そのものが、リアルタイムで進化している。


 佐倉は気づく。


(これ、勝ち負けの問題じゃない)


(“どこまで学習させるか”の問題だ)


 ならやることは一つ。


「なら……先に壊す!」


 佐倉は動く。


 防御ではなく、崩壊の中心へ。


 連携の“核”ではなく、“前提”を狙う。


 つまり——


 距離。


 時間。


 役割。


 その全部の“基準”をズラす。


 わざと予想外の動きをする。


 攻撃でも防御でもない。


 “意味のない動き”。


 三人の動きが一瞬止まる。


「……データ外行動?」


「分類不能」


「再構築不能」


 その瞬間だった。


 空間が揺れる。


《戦闘終了》


 教室。


 呼吸が荒い。


 だが、確実に前とは違う感覚がある。


(勝った……じゃない)


(“止めた”)


 そのとき、視界に新しい表示。


《観測階層:第2層へ移行》


「第2層……?」


 その瞬間、窓の外が一瞬だけ“黒く抜けた”。


 そこに見えたのは——


 巨大な構造物。


 都市の上に重なるように存在する、見えないはずの“階層”。


(この世界、本当に一枚じゃない)


(上がある)


(もっと上が)

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ