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封戦機構《リミット・アリーナ》  作者: Y.M
第1シーズン

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1/25

「戦える権利」

その日は、いつもと変わらない朝だった。


 都市の空は薄く曇っていて、ニュースは無音のまま流れている。

 ただ一つだけ、いつもと違うものがあった。


 ——机の上に置かれた、黒いカード。


「……なんだこれ」


 カードには名前もない。ただ一行だけ、文字が刻まれていた。


《戦闘権限:付与対象》


 意味が分からないままカードを裏返すと、次の瞬間、部屋の空気が変わった。


 視界の端に、赤い枠が走る。


《登録完了》

《対象:佐倉 恒一》

戦闘機構リミット・アリーナへ接続します》


「は?」


 声を出した瞬間、床が消えた。


 落下。


 落下ではなく、“転送”だった。


 目を開けると、そこは巨大な円形の空間だった。


 地面は金属でも土でもない。白い光の板。

 空はないのに、天井の高さだけが異常にある。


 そして、目の前に一人。


 仮面をつけた男が立っていた。


「初回戦闘、開始」


「ちょ、待て——」


 その言葉は最後まで届かなかった。


 男が動いた瞬間、視界が裂けた。


 速い、ではない。

 “理解できない”。


 次の瞬間、胸に衝撃。


 床に叩きつけられる。


 呼吸ができない。


《戦闘リミット:3分》

《勝利条件:相手の行動不能》


(無理だろ、これ……!)


 相手は迷いなく追撃してくる。

 攻撃は全部「最短で殺すため」に設計されている。


 防ぐ余裕がない。


 避ける余裕もない。


 ——負ける。


 そう思った瞬間だった。


《記録保存開始》


「……え?」


 視界に文字が流れた。


《戦闘データ記録:1回目》


 殴られる角度、呼吸のタイミング、視線の動き。


 すべてが“焼き付く”。


 そして、思考だけが異常に冷える。


(こいつ、次に来るのは——)


 拳が来る方向が“分かる”。


 体が勝手に動いた。


 ギリギリで避ける。


 仮面の男が一瞬止まる。


「……初見回避?」


 主人公は気づく。


(これ、能力じゃない)


(“記録”だ)


 戦闘はまだ終わっていない。


 だが、確実に何かが変わった。

新シリーズです。ぜひ読んでください。

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