あなたとの一時を得るための負担
ビジネスではないホテルのラウンジを利用したことがあるだろうか。
少なくともプライベートでも仕事でも私は用事はない。そもそもビジネスホテルか、あるいは地方の旅館なら泊ったことはあるが、そんな都心部のお高いホテルを利用することがそもそもない。
そんな私と同じような感覚の人であれば、ホテルのラウンジなんてちょっとリッチな旅行客が休息に使うくらいのイメージしかないのではないだろうか。もしかしたらアフターヌーンティーでお洒落なスィーツを頂く人は多いかもしれないが。
そんなホテルのラウンジだが、実は大盛況なのである。
そう、珈琲が一杯千円という良いお値段だというのに。
私もそんなにオールタイム見たわけではないが、実は基本的に婚カツでの見合い客が8割近い。ごくまれに落ち着いた老夫婦がいたり、いかにも「ベンチャー企業です」と言わんばかりの男性が何かの商談している姿はあるが、それでも見てわかるほど婚活利用者で席は埋まっている。
比較的カジュアルな団体であれば「その辺のチェーンの喫茶店」で行う。私も最初所属した団体はそうであった。そして一応は「割り勘」がルールだった。
が、それよりもいかにも「結婚相談所です」という団体は必ずホテルのラウンジを指定される。理由は落ち着いて話せるから、とのこと。確かにラウンジであれば学生が騒いでいたり、電話しながら仕事しているサラリーマンがいないから、まあ確かに落ち着いた雰囲気というのはわかる。だが左も右も「どうも初めまして、今日はよろしくお願いしますね」と婚カツしている雰囲気は、それはそれで居辛いのではあるのだけれども。
しかし、ラウンジだ。
しつこいようだが珈琲一杯千円、しかもお茶代は男性負担。
私も2人あわせて2千円をケチるようなタイプではないが、しかし、これが続くと中々にお財布が痛い。そして何より、私は珈琲やお茶の違いがわかるタイプではない。ぶっちゃけ千円の珈琲もセブンイレブンの珈琲も違いがわからない、というか珈琲はいうほど好きではない。本当はスタバでフラッペでも食べていたい。
(勿論、この千円というのが場所代も含まれているということは承知している)
更にこのラウンジ、客の回転率が最悪なので中々に入れない。それは当然だろう、ラウンジを使う客なんて「ゆっくり時間を過ごすため」にいるのだから。仲介人から「男性は席を取るために30分前には行って席確保してくださいね☆」と言われるが、休日だと30分では無理だ。実質45分から1時間前には並ばなければならない。
男性が席を取り、お茶代を持つ。それはルールだ。
けれど、女性は一言だけで良いので、そんな男性に「ありがとう」と伝えてあげて欲しい。あなたとの一時を得るための負担、それは金銭的にも時間的にも軽くはないとは心の片隅に置いてほしい。ちなみに私は「男性にエスコートしてもらって当たり前」「払ってもらうのがルールだから支払う素振りもしない」女性とは付き合いがうまくいったことがない。
ここまで聞いて「予約すればいいんじゃないの?」と思われる方もいるかもしれない。それは私も考えた。しかし、どうやら一般人は予約できないことが多いようだ。例外的に提携?している結婚相談所だけは予約ができるらしく、「すみません、予約は断っているです」と言われたその横で「ご予約されていた〇〇様ですね、お待ちしておりました」と結構な頻度で聞いたことがある。たまに私のお相手の結婚相談所が予約してくれていることがあるのだが、その時は本音では「よしラッキー」と思うが、何故だろうか、私はそういう見合いはことごとくうまくいかない。相性が良くないらしい。
まあ色々書いてしまったが、本当に大事なのはお相手との時間。場所や一杯千円の珈琲なんて関係ない。そんな細かいことを気にするようではいけないのだろう。「あなたとの一時を得るための負担」だなんてネガティブな言葉、そもそも見合いを「負担」と考えてはいけないのだ。だから私はまだパートナーを見つけられていないのかもしれない。
もしあなたが「どんな人たちが婚カツしているんだろう」と気になったらラウンジを覗いてみるといい。店内だけでなく、周囲にも待ち合わせ待機している人がたくさんいる。もしかしたら私が混じってるかもしれない。面白半分で見学は婚カツしている戦士たちに失礼なのでやめて欲しいが、「ああ、こんな世界があるんだな」と知ることができるかもしれない。