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知らない世界で街づくり  作者: 星野 シラセ
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第1章 02話 第一村人発見

猫耳、犬耳等はもう少し後に出てくる予定です。

吹き飛んだ城、無数の魔物の屍骸、木も生えていない荒れた土地で地獄のような風景を見て呆然としていたが、ゆっくりと立ち上がり服に付いた埃を払う。着ているスーツはそこらじゅうが破けて、魔物や自分の血で汚れているため、あまり意味はないのだが、土の上に座っていたため反射的に払ってしまう。


「まだ、買ってからそんなにたってないのに・・・安物とはいえ・・・もったいないな」


独り言のようにぼそりといい、無残な姿となっているスーツの上着を脱ぐ。

もうこうなったら修復もできないだろう。


だが、この世界ではスーツは目立つかもしれないのでここは割り切って新たな服を調達したほうがいいかもしれない。


周りを見渡すと骸骨戦士が着ていた鎧や魔道士身につけていたローブなどさまざまなものが落ちている。ただ状態はあまりよくない。


ゲームとかだとドロップアイテム(敵が落とすアイテム)として町で売れたりするよな・・・


「うーん。拾うか」


とりあえず身に着けるものは比較的状態の良い魔物魔道士のローブを羽織り、目に付くものを拾ってリュックの中に入れていく。今気付いたのだが、なんかリュックの奥行きが変なことになっている。いくら入れてもリュックがいっぱいにならない。


「!?これがうわさの四〇元ポケット!!、神様の力か?」


武器や防具、ドラゴンの牙やうろこ、さまざまなものをリュックに詰め込んでいく。どんだけ入るんだかわからんがまだまだ入る。ドラゴンの牙を抜くときはどうしようか迷ったが、牙をつかんで引っ張ったら思いのほか簡単に抜けた。そんなに簡単に抜けるものか?


1時間ほどいろいろなものを拾い集めた。中には宝石や金、何かの薬のような小瓶もいくつか手に入れた。

何なのかわからないものでも拾うこと自体は意外と楽しい。ごみ拾いとは違い、宝探しみたいなものだ。


そろそろこの場を離れて人里を探そうとしたが、どこに向かおうか?そう思いながら集中して各方角を見ていると、城の門があった場所からまっすぐ行った方向に、何か生き物が集まっている場所がある。

なぜそんなことがわかるのかわからないが、その方向の気配が一番強い。なんとなくレーダーに引っかかった感じだ。他にも感じるが、ぽつぽつという感じでまとまっている気配があるのは、門から一直線に行ったところのようだ。


このままでは何も始まらないので、とりあえず向かってみることにした。


軽くジョギング程度で走ったのだが、やはり身体能力が上がっているのかめちゃくちゃスピードが出る。

まだ自分の思考と体の動きがちぐはぐのためスムーズに進めていないが、地球にいたときに比べると格段に早い。この世界に来てすぐ、ケルベロスから逃げたときにもかなり速く感じたが、さらに速くなったか?


数キロ走りだんだんスピードにも慣れてきたので本気のダッシュをしたみたら、周りの風景がとてつもないスピードで流れていく。こりゃ車でスピード出したときと同じぐらいの速さがあるんじゃないだろうか?!息もさほど上がらない。異常な身体能力で数十キロをさっと走りぬける。途中休憩を取ったが2時間ほどで集落の近くまでたどり着いた。


このままのスピードで突っ込むと不審者+危険人物になるため、手前でスピードを落として徒歩で近づく。数キロ手前で何もない荒地から森に変わり、今は森を開墾し開けた畑のようなところとなった。踏み固められた道を進んでいくと畑の中に第一村人発見!!


「・・・えっーっと。こんにちはー」


助けを求めるにしても村に入るにしてもとりあえずコミュニケーションから。言葉が通じるとは思わないが、外国人にも身振り手振りで大体伝わるのだ。どうにかなる!


「おーっ!!まっ魔物?!・・・ん?なんだ、人族か?いきなり声をかけられたからびっくりしたぞ。なんか気配を感じなかったが・・・まぁいい。珍しいな。こんな辺境の地に来るなんて。行商商人か?」


おっと!振り返った第一村人?は見た目がイノシシのような顔をした種族だった。イノシシ顔の人といえばゲームなどでは「オーク」が有名だ。見た目はちょっと怖いが魔物じゃないのであれば問題ない。それに言葉がわかる。わかるというより、話している言葉が自動翻訳されて聞こえているようだ。これは助かる。猫の形をした万能ロボットのアイテムにある、こんにゃくみたいだ。


魔王城の近くのためあまり人族じんぞくは近づかないのかな?行商人であればあまり違和感もないか?


「そうなんですよ。行商途中で道に迷い、魔物に襲われて命からがら逃げてきたのですが、ここらに休める集落はありますか?」


「そうか。それは災難だったね。この先に私たちの集落がある。小さな村だが宿もあるから休めるよ。もう今日の仕事は終わりにするから少し待ってな」


「ありがとうございます。助かります。あ!申し遅れましたが、私はミヤノ ユウといいます」


「これはご丁寧に。私はオーク族のダンだ。ミヤノ殿は貴族名きぞくながあるということは人族貴族・・・なのかね?」


あれ?貴族名? 苗字が貴族名にあたるのかな?ダンさんは名前だけしか言ってないからそうだろう。ただ、ちょっと警戒するような感じで聞き返されたな。貴族はあまりイメージが良くないのかな?


「あーっっと。名前はユウです。貴族名は・・・昔先祖が貴族だったときの名残のようですが、私は良く知らないですし、今は普通の商人ですよ」


「そうか。あまり言いたくないが、人族の貴族とやらは人族以外の種族を目の敵にするものが多い。過去にこの村に来た人族の貴族も村人が命を助けたのだが、礼も言わず村の金品を奪おうとして村長に捕まり、村から追い出したんだよ。あまりいいうわさを聞かないからね。ユウ。名前はユウでいいんだな。これから行く村では貴族名はあまり口にしないほうがいいぞ。それじゃ行こうか」


「はい」


そうか。やはり貴族は我が物顔で他の種族を敵視する存在か。なんかどんな世界でもそういうのっているよね。まぁあまりかかわらないのが一番だ。


そのままダンさんのあとを付いていくと木の杭で周りを囲まれた村が見えてきた。木の杭は1,5mぐらいだが村の周りを囲んでいるようだ。入り口には槍を持ったオークが立っていた。


「ダン。その人族は誰だ?見たことないな」


「行商人のユウだ。森で道に迷い魔物に襲われたらしい。困っているようだからつれてきたのだが・・・」


門番とダンさんが話しをしている。やはり人族は嫌われているのだろうか。門番のオークが見定めるようにオレのことを見ている。


「まぁそういうことならいいだろう。だがちゃんと村長のところに挨拶に行かせるんだぞ」


「ああ。わかったよ。俺も一緒に村長のところに行くことにする」


話が終わったようで門を通してくれた。やっとのことで休むことができるかな・・・。

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