第1章 03話 価値観が行方不明
拾ったものはオレのもの。
オーク族のダンさんの後ろを付いていく。村の中の道を歩いていくといくつか看板のかかった建物があった。ベットのマークは宿だろう。袋のマークは・・・なんだろう?剣と盾のマークは武器と防具だろう。マークって意外とすごいな。種族が違っても世界が違っても意味がなんとなくわかる。後でいろいろ回ってみよう。
200mほど歩くと周りより一回り大きい建物についた。
「ここが村長の家だ。挨拶をするから後についてきてくれ」
「わかりました」
ダンさんが扉を開けて中に入っていくので後についていく。
「村長。村長!いるか?」
「はいはいはい。ちょっと待ってくださいね。っと」
中から出てきたのは皮のワンピースを着たオーク(女性?)だった。
「あら、ダンさんどうしたの?村長はもうすぐ帰ってくるけど・・・お客さん?」
「マールちゃんこんにちは。そうだ、人族の行商人が魔物に教われたらしく困ってたから村に入れてもらったんだが、村長に挨拶させようと思ってね。不在だったかぁ仕方ないまた出直すよ」
「もうすぐ帰ってくるから、椅子に座って待ってて。すぐ飲み物用意するから。あなたもどうぞ」
「ありがとうございます。」
オレはそういって、ダンさんとテーブルに備え付けられている椅子に座った。
部屋の中は暖炉の前にテーブルと椅子が並べられているが、床は土間だった。質素なつくりの山小屋って感じだが、柱や屋根などはしっかりした柱で作られており頑丈そうである。
そんなことを考えているとマールさんが飲み物を持ってきてくれた。入れ物は木のコップだが取っては付いていない。中身は透明だったので水かと思ったが、一口飲んでみると少し苦いがお茶に似た味だった。のどが渇いていたので一気に飲み干した。
「あら。人族の方でもテラル水が口にあったのかしら?前に来た人族は苦いから飲めないって言ってたけど。個人差もあるのかもね。お代わり持って来るわね」
「あ、ありがとうございます。申し遅れましたが私はユウと申します」
「私はマール。村長の娘です。ユウさんね、お口に合ってよかったわ」
そういいながらマールさんはテラル茶を入れに行ってくれた。うーん、少し苦かったけどおいしいよな。日本人には合うんだろうな。
そんなことを考えていると玄関の扉が開いた。
「今帰ったぞ。ん?お客か?ダンと・・・人族の方か」
「村長、こちらは行商人のユウ、森で迷い魔物に襲われたところを逃げてきたようだ。村で休んで行きたいとの事だが・・・」
「ユウと申します。少しの間でいいので村に滞在させていただければと思います。」
「私は村長のケルダ。災難だったようだ、この村は辺境の地ゆえ人族の行商人はなかなか訪れない。何か持ち合わせていれば買い取らせていただきたいが・・・魔物に襲われては何もないか。村で休むのはかまわない。宿を使ってもらえば宿屋も喜ぶだろう。」
村の滞在許可をもらえたからこれでとりあえずゆっくりできそうだ。リュックに入れているもので何か必要なものがあればお礼に上げてもいいかな。いっぱいあるし。
「ありがとうございます。宿屋を使わせていただきます。御礼といっては何ですが、持ち合わせているもので必要なものがあればお譲りいたします」
そういいながらリュックをあさり、宝石やよくわからない薬のビン、剣や鎧を取り出す。
「!! それは無限袋ですか?! 見たことない素材のようですし、そんな高価なものを持っているとは。ユウ殿は大商人なのかしら」
マールさんが驚いている。無限袋というものはこの世界に存在するようだ。何も考えずにいろいろ取り出したが、無限袋が高価なものって事であれば人前ではあまり見せないほうがよさそうだ。
「そのことにも驚いたが、もしかしてこれはマテルの回復薬!こっちはマテル備蓄の石!」
村長が声を裏返しながら解説している
「こっちはミスリルの剣や胸当て!痛んではいるがこんな高価なものはわれわれの村ではまず手を出せる品じゃない」
ダンさんも興奮気味に品々を見ている。
なんかよくわからないで拾ってきたがやっぱり高級品のようだ。ただマテル?ってなんだ?
「正直なところを言うと私はまだ駆け出しでして、よくわからずに手に入れたものもあります。村に滞在させていただくお礼としてお受け取りください。その代わりといっては何ですが・・・いろいろなこと・・・商品や日常のことについて教えていただけないでしょうか。今後のためにいろいろな種族のことを勉強させていた頂きたいのですが・・・」
「こんな高価なものを頂いてしまってもいいのか?これは1つ1つが村の宝になるぐらい高級なものなんだが・・・わかった。ユウ殿が知りたいことをみなで教えよう。宿に泊まるのも食事もただでいい。わしが面倒を見よう」
「お父さん、せっかくだから村のみんなで歓迎会を開いたら?みんなに顔を覚えてもらったほうがいろいろ聞きやすいだろうし、もらったものの話をすればばみんな協力してくれると思うよ」
「そうだな。では今日の夕刻広場で歓迎会を行おう。ダン、宿に案内するついでに村のみんなに伝えてきてくれぬか」
「お、おう。わかった。それじゃあ急いだほうがいいな。ユウ、宿に案内するから付いてきてくれ」
「わかりました。それでは今後もよろしくお願い致します」
そんな高級品だとはまったく知らずにぽんぽんとリュックから取り出して10個ぐらい渡してしまったが、まだまだ同じものもリュックの中にあるし、拾ったものだから特に支障はない。
小走り気味に移動するダンの後を追いかけながら村長の家を後にして宿屋に向かった。




