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機械仕掛けの箱庭 ~The Mechanical Miniature Garden~  作者: 雄堂 栫
1章 ~仮想なる箱庭へ~
6/17

5話 ~チュートリアル~

本日(2012/1/1)更新の第三弾です。


本編の第一章の五話目です。

VR世界『機械仕掛けの箱庭』の内部設定を解説したチュートリアルを含みます。

目を通していただければ、幸いです。


わかりづらい等あれば、可能な限り改善したいと思いますので、ご指摘お願いします。


では、どうぞ。

 気が付くと、俺は宇宙空間のような場所にいた。

「これが仮想世界か……」

 地面を踏みしめている感触はあるけど、どこか頼りない。なにかの拍子に底が抜けて、どこまでも落ちていってしまいそうな恐怖感がぬぐえない。

〔ようこそお客様。『機械仕掛けの箱庭』へようこそいらっしゃいました〕

〔ここからはボクたちが案内するよ〕

 いきなり背後から声が聞こえてきた。それも二人分。

 振り返ると、30センチくらいの大きさにデフォルメされた女の子が二人浮かんでいた。

 一人は六枚の羽をはためかせ、その頭上には輪っかが浮かぶ天使姿の銀髪の女の子。もう一人は背丈と同じくらいの大きさの鎌を持って、ひどく薄手の黒い衣装を着ている金髪の女の子。

「なんだこれ?」

〔私はエルですわ。『熾の天使』のエル。以後、お見知りおきを〕

〔ボクはリリ。『闇の眷属』のリリ。よろしくね〕

 なるほど。こいつらはサポート用のキャラか。おそらく『機械仕掛けの箱庭』におけるマスコットキャラという位置づけでもあるんだろう。

〔それではお客様のログインIDと、お名前をお聞かせいただけますか?〕

「IDは00010345。名前はDAIだ」

 自分のIDとアバター名称を告げる。

〔認証完了だよ。DAI〕

〔はい。ログインは正常に完了しました。DAI様〕

 にっこり笑ってログイン完了を告げるエルとリリ。二人の金と銀に揺れる髪が、なんとも言えないくらい愛らしい。

〔それではDAI様は初回ログインなので、これよりチュートリアルをさせていただきます〕

〔結構長いけど、みんな大切なことなんだ。がんばって聞いてね、DAI〕

 ここから先は、エルとリリが色々と説明してくれた。正直、覚えきれないほどの量があったけど、なんとか大事な部分については把握できたと思う。

 覚えきれなかった部分については、後で潤に教えてもらおうか。


                  ****


【グランドクエストについて】

 『機械仕掛けの箱庭』の主な舞台は、ローストダリアという名前の大陸である。

 この大陸には魔物の大発生による破滅の時が、およそ1年後に迫っていた。大陸破滅を阻止するためには、世界中に散らばる13の鍵を集めて、神の城に赴かなければならない。

 集めるべき鍵は以下の13種。

『大地の鍵』『破焔の鍵』『水煙の鍵』『烈風の鍵』『豪雷の鍵』『霧氷の鍵』『輝鉱の鍵』『繁茂の鍵』『聖光の鍵』『夜闇の鍵』『夢幻の鍵』『死者の鍵』『人間の鍵』


【プレイヤー情報について】

 ⇒ プレイヤーキャラのアバター名称は普段は非表示となる。

 ⇒ プレイヤーキャラのアバター名称は『フレンド』『チャットメンバー』『パーティメンバー』『ギルドメンバー』には無条件で開示される。

 ⇒ プレイヤーキャラのステータス/スキル情報は、普段は常に非表示となる。開示する場合には、常にステータス画面からの直接操作が必要となる。


【パーティとギルドについて】

 ⇒ パーティには『パーマネントパーティ』『テンポラリーパーティ』『クエストパーティ』の3種類が存在する。

 『パーマネントパーティ』『テンポラリーパーティ』は人数合計5人まで可能。パーマネント3人、テンポラリー2人のような形の組合せも可能。

 ⇒ 『クエストパーティ』の人数制限は対象クエストによって異なる一時的なパーティ。

 ⇒ 『ギルド』はギルド作成アイテムによって創立可能。所属人数に制限なし。

 ⇒ パーティ/ギルド内部でもPKすることは可能。

 ⇒ パーティ/ギルドの効果は以下の通り。


  <<パーティ/ギルド効果>>

    ①パーマネントパーティ

     ⇒ パーティメンバー情報共有/経験値平等分配/パーティアイテム共有/魔法効果共有/パーティ割引/パーティイベント(ノーマル)参加/パーティイベント(エキストラ)参加

    ②テンポラリーパーティ

     ⇒ パーティメンバー情報共有/経験値平等分配/魔法効果共有/パーティイベント(ノーマル)参加

    ③クエストパーティ

     ⇒ パーティメンバー情報共有/経験値平等分配/魔法効果共有/クエストイベント参加

    ④ギルド

     ⇒ ギルドメンバー情報共有/ギルドボーナス(ステータスパラメータ)付与/ギルド固有名称保有可能/ギルド拠点保有可能/ギルド共有アイテム保有可能/ギルド維持費が必要/ギルド内でのみパーマネントパーティ編成可能


【フレンドとチャットについて】

 ⇒ 気の合った仲間とはフレンド登録を行うことで、いつでも会話することが可能。同時にチャット登録を行うことで、メールのような文章のやり取りも可能。


【職業について】

 ⇒ 職業は、ローストダリア大陸の主要都市にある『転職の神殿』で就くことができる。ただし『転職の神殿』の以外でも、強制的に職業を変わるケースがあるから注意が必要。

 ⇒ 職業は『見習い』から始まって、一次職、二次職、三次職の合計4段階存在している。基本的には上位職の方が強いが、上位職への転職は不可逆。つまり新たに就いた二次職が気に入らなくとも、元の一次職に戻ることはできない。また、就いた二次職から、別の二次職に変更することもできない。

 ⇒ 高次職への転職条件はレベル依存。なお一次職への転職はレベル10以上で可能となる。

 ⇒ 転職のご利用は計画的に。


【アイテムについて】

 ⇒ アイテムはユーザ毎に持つ専用BOXストレージに入れられる。未装備の装備品は合計で9個まで、消費/素材アイテムは99個までの合計108個までペナルティなしで格納可能。

 ⇒ 消費アイテムに限り、規定数量以上の数を格納できるが、オーバー個数に応じた敏捷ペナルティ、空腹ペナルティを受ける。

 ⇒ アイテムにはそれぞれランクが存在する。


  <<アイテムランク>>

    ①Cheap(安物)

    ②Mass(量産品)

    ③Quality(高級品)

    ④Limited(限定品)

    ⑤Unique(一品物)

    ⑥Legendary(伝承品)


⇒ また特殊ランクとして以下が設定されている。


  <<特殊ランク>>

    ⑦Garbageゴミ : 壊れた装備品など現状では使用価値がないもの。

    ⑧Quest(イベント用アイテム) : イベント進行に必要なアイテム。

    ⑨ProductⅠ~Ⅲ(プレイヤーメイド装備品) : それぞれプレイヤーが生産系スキルで作成した③~⑤のアイテムランク装備品に該当。


【装備品について】

 ⇒ プレイヤーが装備できる武器、防具の種類は職業に依存する。

 ⇒ 特に装備できる武器の種類については、高次職に向かうに従って数が少なくなる。たとえば一次職で装備可能だった武器が、二次職では装備できないケースが存在する。

 ⇒ 初期職の見習いは、あらゆる武器、防具を装備できる。

 ⇒ 装備品には耐久度が存在している。耐久度が0になると壊れて装備不可となる。またアイテムランクがGarbageへと変化する。

 ⇒ 装備品の耐久度は、金床スキル『装備修復』によって回復させることができる。


【ステータスとレベルについて】

 ⇒ プレイヤーの確認できるステータスウィンドウには、『HP』『MP』『TP』『CR』『ACR』『HR』の6項目が表示されている。


  <<項目>>

   - HP : 生命力。0になると死亡。

   - MP : 魔力。主にマジックスキルを使用する際に使用。

   - TP : 技力。主にエキストラスキルを使用する際に使用。

   - CR : クリティカル攻撃発生確率。この数値が大きいほど、クリティカル発生率が高くなる。

   - ACR : 対クリティカル攻撃防禦率。この数値が大きいほど、敵からクリティカルを食らいにくくなる。

   - HR : 空腹率。この値が0になると継続ダメージが発生する。最大値は100。


 ⇒ レベル上昇時には、HRを除いた5項目の値が上昇する。レベルが高いほどクリティカル攻撃の発生率は高く、クリティカル攻撃を食らう確率も下がる。

 ⇒ 与ダメージ/被ダメージに直接かかわるパラメータ上昇はないため、クリティカルと装備品差を考慮しなければ、与ダメージ/被ダメージに差は存在しない。


【スキルについて】

 ⇒ ユーザの装備品の種類に依存して熟練度が設定されていて、規定の熟練度に達したスキルの習得が可能。(例.片手剣、両手剣、短剣、槍、弓、槌、棒、投石など)

 ⇒ 熟練度25ポイント毎に習得条件を満たしているスキルを習得できる。熟練度はスキルポイントを消費して上昇させることができる(熟練度1PT=スキルポイント1PT)

 ⇒ 熟練度の最大値は1000。ただし職業によって、上限値が存在する(例.見習いは各スキルとも熟練度100までで成長の限界に達する。高次職転職後に100以降が開放される)

 ⇒ スキルポイントはレベル上昇時に、ボーナスポイントとして10ポイントずつ支給される。なおスキルポイントボーナスがもらえるアイテムも存在する。

 ⇒ スキル実行によってシステムサポートによるスキル(剣技、魔法など)の行使が可能。スキル実行なしでは、敵に武器を当てても、ダメージ判定が発生しない。

 ⇒ スキル実行後には一定の硬直が存在する。この硬直を、ベーシックスキルでキャンセルしたものが、コンボ呼ばれるものである。ベーシックスキルの硬直をベーシックスキルでキャンセルすることも可能。

 ⇒ ベーシックスキルには職業に依存する使用回数制限がある。使用回数に達した段階で、強制的にスキル硬直が発生する。硬直後は使用回数は元に戻る。

 ⇒ ベーシックスキルの使用回数は、軽戦士系/盗賊系の回数は多く、重戦士系の回数は少ない。

 ⇒ スキルが発動すると、被ダメージによるノックバック発生などの強制終了以外では、途中でキャンセルすることはできない。

 ⇒ ベーシックスキルとマジックスキル以外は、スキル発動中の武器同士がぶつかると、武器/スキルの差に関係なく双方に等質等量のノックバック硬直が課せられる。

 ⇒ スキルの種類は以下の通り。


  <<スキル種別>>

   - ベーシックスキル : 『ステップ』『ジャンプ』。全プレイヤーが使用可能。

   - ノーマルスキル : 通常のスキル。攻撃/補助/生産など内容はさまざま。

   - エキストラスキル : TPを使用して実行するスキル。特殊技。

   - マジックスキル : MPを使用して実行するスキル。魔法技。


【コンボについて】

 ⇒ スキルとスキルを、ベーシックスキルで繋ぎ、スキル後硬直なしでスキルを連続実行することを『コンボ』と呼ぶ。『コンボ』は攻撃以外にも、回復、補助、生産の時にも使用できる。

 ⇒ スキルには『効果量』『ダウン値』『コンボ補正率』が設定されている。

 ⇒ 『効果量』はスキル単品での攻撃力、回復力などを示す。

 ⇒ 『ダウン値』は10を超えると相手が強制ダウンして、再始動まで再攻撃不可となる。強制ダウンしなくとも、対象にスキルを当てなければ、数秒で蓄積したダウン値は0に戻る。

 ⇒ 『コンボ補正率』はコンボ成立時、2スキル目以降にかかる効果減少の割合のこと(例.ダメージが100のスキルをコンボして2回当てた場合、コンボ補正率が60%の場合、最終的に与えるダメージは 100+60=160 という計算結果になる)

 ⇒ マジックスキルに関してのみ、杖を装備して『魔法蓄積』スキルによる事前準備が必要となる。(マジックスキルは、発動までに一定の待機時間が必要なため)

 ⇒ スキル/コンボによる攻撃は、当たり方/当たった場所によってもダメージ量が変動する(カス当たりの場合のダメージは少なく、相手の弱点にスキルがクリーンヒットした場合のダメージ量は多い)


【戦闘エリアと非戦闘エリアについて】

 ⇒ 街や村の内部は一切の戦闘行動が不可能な非戦闘エリアに設定されている。ただし強制イベント発生時、例外的に戦闘エリアとなることもある。

 ⇒ 逆に街や村の外では、PKを含むあらゆる戦闘が可能な戦闘エリアに設定されている。

 ⇒ 非戦闘エリアではあらゆる攻撃系のスキル発動が制限される。

 ⇒ 非戦闘エリアで補助系スキル、回復系スキル、生産系スキルを発動することは可能。


                  ****


〔これでチュートリアルは終わりだよ〕

「……な、長かった」

 だから俺はRPGがあんまり好きじゃねーんだよな。大量の作業ゲーをこなすために必要な、膨大な設定を覚えなきゃいけない。

 格ゲーの場合コンボ研究に地道な作業が必要なのは確かだが、とりあえず相手を殴っとけばゲームとしては成立する。やはりそこがRPGとは決定的に違う。

〔ずいぶん疲れていらっしゃるようですわね。大丈夫ですか?〕

「いや、頭がパンクしそうだ。つーか今聞いた内容、明日には忘れていそうなんだが」

〔大丈夫。忘れた部分とか、聞き逃した部分とかは、ステータス画面からチュートリアルの項目を呼び出せば、改めて確認できるから安心してね〕

 なるほど。それなら潤にいちいち聞かなくてもいいか。メンドイし。

〔さて。DAI様にはこれからローストダリア大陸を統べるローストダリア王国、その王都キャンベルにある中央広場へと転移していただきます。そこから正式なプレイスタートです〕

「……ブドウ?」

〔キャンベルは果物じゃありませんわっ〕

 あらま。いいつっこみだこと。

 リリの方は、そんなエルの様子をお腹を抱えて笑ってる。

 それにしても、こいつらが出てきた時から思っていたが、ずいぶん感情豊かなAIだ。やっぱり世界の最先端技術ってのは、すごいものなんだな。

〔ふう、もういいですわ。さて、それではDAI様。これからあなたには転移していただきます。準備はよろしいですか?〕

「ああ、いつでもいいぞ」

〔がんばってね、DAI〕

〔DAI様の進む道がよき旅路となることを、私も影ながら祈っておりますわ〕

 エルの言葉を最後に、俺の視界は白い霧で覆われていき――。


 気がつくと、俺は石畳の敷かれている中世風の広場に立っていた。


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