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――某所、高速道路。
SANTAと少女は世紀末軍団から逃れ、車で高速道路を移動していた。
「……おじさん」
「SANTAさんだ」
「サンタさん……その、サンタなら普通トナカイじゃないの? 何で車?」
「SANTAだっつってんだろうが……トナカイなら車検に入れてる」
「車検!? トナカイって車検入れるの!?」
「本来ならトナカイで一気に奴らを殲滅したい所なんだが、よりによって今日が車検の期限ギリギリでなぁ……」
「……サンタも大変なんだね」
「SANTAな」
「……SANTAさん、SANTAさんは何でそんなにSANTAにこだわるの?」
「……長くなるし、つまんねぇけど良いか?」
「うん」
「あれは、まだ俺がガキだった頃の話だ……」
――数十年前、海外某雪山。
あの頃の俺はまだSANTAでも何でもない十代のガキだった。
「……ねぇ、ダディ」
「ジュニアか、どうしたんだ?」
「俺、いつになったらSANTAになれるんだ?」
「はははは……ジュニアよ、そう焦るな……来たるべき時が来れば、お前にSANTAの称号をやろう」
「その来たるべき時っていつなんだ?」
「それは秘密だ」
「何で?」
「ジュニアよ……考えるな、感じるのだ、そうすれば分かる」
「……うん、わかった」
「ははははははは、それでこそ儂の息子だ」
……俺のダディはSANTAだった。
SANTA業界でも屈指の実力者として仲間からも慕われ、男手一つで俺を育ててくれた最高のダディだった。
ダディは俺に、SANTAになるための全てを教えてくれた。
銃火器の使い方、火薬の調合法、トナカイとの戦い方、子供たちを笑顔にする方法……その全てを。
ダディの教えは厳しかったけど……とても楽しかった。
俺も早くSANTAになって、ダディと肩を並べてクリスマスプレゼントを配るんだ。
それが、当時の俺の夢だった。
――しかしその夢は叶わぬ夢になってしまった。
ある冬の夜だ、ダディが傷だらけの姿で帰って来た。
「ダ、ダディ!?」
「ごはっ! ……じ、ジュニア……」
「ダディ! 大丈夫か!? 今手当を……」
床に膝を付き満身創痍のダディの手当てをしようとした、その時だった。
外から大きな爆音が聞こえると同時に玄関が破壊され、大量のモヒカンとスキンヘッドの大軍が現れやがったんだ!
「ヒャッハァァァァァァァッ!! 追い詰めたぜSANTAぁっ! 『あの方』の目的達成のために、今日こそ貴様の息の根を止めてやるぜぇ!」
「屑共め、もう追いついてきたか……ジュニア、地下室に隠れているんだ!」
「ダディ……でもその身体じゃあ……」
「安心しろ……夜が明ける頃には全て終わっている……早く隠れるんだ!」
俺はダディの言葉を聞いて家の地下室に隠れた。
それと同時に上では大量の銃声と爆発音が鳴り響き始めた。
俺は身を潜めてじっと隠れていた。
――そして地下室に隠れて数時間が経過した頃、上で鳴り響いていた銃声と爆発音が聞こえなくり、俺は地下室を出て外を見た。
そこで俺が見たのは、地面に倒れているモヒカン&スキンヘッド軍団と、その中心で倒れているダディの姿だった。
「ダディっ!」
俺は一目散にダディの元に駆けつけた。
「ジュニア………」
「ダディ……出血が酷い、早く手当てしないと……」
「……もういい、儂はもう駄目だ……」
「な、何言ってんだよダディ! ダディは最高のSANTAなんだろ……? こんな所で死なないよね?」
「……最高のSANTA、か……ジュニア、儂は歳を取り過ぎた……もうSANTAとして生きるのは限界だと思っていた……だから、今回の仕事でSANTAを辞めようと考えていたんだ……」
「そんな……嘘だ、俺は……俺はSANTAになってダディと一緒にプレゼントを配るんだって、そう思ってたのに……」
俺の瞳から涙が零れた。
ダディが死ぬ、そんな事一度も考えた事は無かった。
それが今突然来て、俺は何も考えられなくなっちまった。
そんな俺の頭を、ダディが優しい笑顔で撫でてくれた。
「ジュニア……前にお前がいつSANTAになれるのかと言った時……儂が言った言葉を、憶えているか?」
「……『来たるべき時がくればお前にSANTAの称号をやろう』?」
「そうだ……そしてその時は来た」
ダディは自分の頭に被っているSANTA帽を俺に被せ、笑顔でこう言った。
「おめでとう、今日からお前はSANTAだ」
「……」
「良いかジュニア……これからはSANTAとして世界中の子供たちの笑顔を守るんだ……だが、真の敵はあの屑共ではない……『BLACK』に気を、付けろ……」
「ダディ!? ……ダディィィィィィィッ!!!」
その言葉を最後に、ダディは永遠の眠りについた。




