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SANTA ―聖なる夜―  作者: 稲生景


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3/5

 ――某所、高速道路。

 SANTAと少女は世紀末軍団から逃れ、車で高速道路を移動していた。


「……おじさん」

「SANTAさんだ」

「サンタさん……その、サンタなら普通トナカイじゃないの? 何で車?」

「SANTAだっつってんだろうが……トナカイなら車検に入れてる」

「車検!? トナカイって車検入れるの!?」

「本来ならトナカイで一気に奴らを殲滅したい所なんだが、よりによって今日が車検の期限ギリギリでなぁ……」

「……サンタも大変なんだね」

「SANTAな」

「……SANTAさん、SANTAさんは何でそんなにSANTAにこだわるの?」

「……長くなるし、つまんねぇけど良いか?」

「うん」

「あれは、まだ俺がガキだった頃の話だ……」











 ――数十年前、海外某雪山。


 あの頃の俺はまだSANTAでも何でもない十代のガキだった。


「……ねぇ、ダディ」

「ジュニアか、どうしたんだ?」

「俺、いつになったらSANTAになれるんだ?」

「はははは……ジュニアよ、そう焦るな……来たるべき時が来れば、お前にSANTAの称号をやろう」

「その来たるべき時っていつなんだ?」

「それは秘密だ」

「何で?」

「ジュニアよ……考えるな、感じるのだ、そうすれば分かる」

「……うん、わかった」

「ははははははは、それでこそ儂の息子だ」


 ……俺のダディはSANTAだった。

 SANTA業界でも屈指の実力者として仲間からも慕われ、男手一つで俺を育ててくれた最高のダディだった。


 ダディは俺に、SANTAになるための全てを教えてくれた。


 銃火器の使い方、火薬の調合法、トナカイとの戦い方、子供たちを笑顔にする方法……その全てを。

 ダディの教えは厳しかったけど……とても楽しかった。


 俺も早くSANTAになって、ダディと肩を並べてクリスマスプレゼントを配るんだ。

 それが、当時の俺の夢だった。



 ――しかしその夢は叶わぬ夢になってしまった。


 ある冬の夜だ、ダディが傷だらけの姿で帰って来た。


「ダ、ダディ!?」

「ごはっ! ……じ、ジュニア……」

「ダディ! 大丈夫か!? 今手当を……」


 床に膝を付き満身創痍のダディの手当てをしようとした、その時だった。


 外から大きな爆音が聞こえると同時に玄関が破壊され、大量のモヒカンとスキンヘッドの大軍が現れやがったんだ!


「ヒャッハァァァァァァァッ!! 追い詰めたぜSANTAぁっ! 『あの方』の目的達成のために、今日こそ貴様の息の根を止めてやるぜぇ!」

「屑共め、もう追いついてきたか……ジュニア、地下室に隠れているんだ!」

「ダディ……でもその身体じゃあ……」

「安心しろ……夜が明ける頃には全て終わっている……早く隠れるんだ!」


俺はダディの言葉を聞いて家の地下室に隠れた。


それと同時に上では大量の銃声と爆発音が鳴り響き始めた。

俺は身を潜めてじっと隠れていた。




 ――そして地下室に隠れて数時間が経過した頃、上で鳴り響いていた銃声と爆発音が聞こえなくり、俺は地下室を出て外を見た。


 そこで俺が見たのは、地面に倒れているモヒカン&スキンヘッド軍団と、その中心で倒れているダディの姿だった。


「ダディっ!」


 俺は一目散にダディの元に駆けつけた。


「ジュニア………」

「ダディ……出血が酷い、早く手当てしないと……」

「……もういい、儂はもう駄目だ……」

「な、何言ってんだよダディ! ダディは最高のSANTAなんだろ……? こんな所で死なないよね?」

「……最高のSANTA、か……ジュニア、儂は歳を取り過ぎた……もうSANTAとして生きるのは限界だと思っていた……だから、今回の仕事でSANTAを辞めようと考えていたんだ……」

「そんな……嘘だ、俺は……俺はSANTAになってダディと一緒にプレゼントを配るんだって、そう思ってたのに……」


 俺の瞳から涙が零れた。


 ダディが死ぬ、そんな事一度も考えた事は無かった。

 それが今突然来て、俺は何も考えられなくなっちまった。


 そんな俺の頭を、ダディが優しい笑顔で撫でてくれた。


「ジュニア……前にお前がいつSANTAになれるのかと言った時……儂が言った言葉を、憶えているか?」

「……『来たるべき時がくればお前にSANTAの称号をやろう』?」

「そうだ……そしてその時は来た」


 ダディは自分の頭に被っているSANTA帽を俺に被せ、笑顔でこう言った。


「おめでとう、今日からお前はSANTAだ」

「……」

「良いかジュニア……これからはSANTAとして世界中の子供たちの笑顔を守るんだ……だが、真の敵はあの屑共ではない……『BLACK』に気を、付けろ……」

「ダディ!? ……ダディィィィィィィッ!!!」


 その言葉を最後に、ダディは永遠の眠りについた。

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