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「さ、サンタ……?」
「違う……SANTAだ」
(え、何? どう違うの!?)
心の中でそうツッコむ少女に向かって…SANTAは煙草を吸いながら歩いて行く。
「俺は嬢ちゃんにプレゼントを届けに来たSANTAだ」
「わ、私に……?」
「ああ……わざわざ海外からここまで来てやったんだ、感謝しやがれよ」
「ち、ちょっと待って!? プレゼントを渡しに来たって……そもそもサンタなんて、架空の人物でしょ!?」
「あぁ? ……目の前に本物のSANTAがいるのに信じられねぇってのか?」
(信じられないから聞いてるんですけど!?)
「安心しな……今どきのガキが欲しがるもんは大体分かってるからよ……あれだろ? PS何とかっつうゲームが今流行ってんだろ? 用意してるからよ……お、あったあった」
SANTAが袋からゲーム機を取り出し、少女に渡す。
「ほれ、PS3」
(一文字惜しい! 何でPS3!? そこはPS4じゃないの!? ていうかPS4ももうそんなに新しくないし!)
「え、えーと……」
「……ふっ、安心しな、冗談だよ」
SANTAはPS3をへし折って投げ捨てた。
「お前へのプレゼントは……ん?」
シャンシャンシャン、シャンシャンシャンシャン♪
「え、何、今度は何なの……!?」
再びクリスマスソングが聞こえてきた。
『ジングルベール♪ジングルベール♪ 鈴が鳴る♪ 今日は楽しいクリスマス♪ ヘイ♪』
「ちっ……嗅ぎ付けてきやがったか」
「ど、どういう事なの?」
『ジングルベール♪ ジングルベール♪ 鈴が鳴る♪ 今日は楽しい、クリスマス♪』
「ヒャッハァァァァァァァァァァァッ!!」
バリィィィィィィィィィィィン!!
「きゃああああああっ!? また!?」
割れていなかった方の窓ガラスを突き破り、何かが飛びこんできた!
「ひひひひ……」
飛び込んで来たのは、革ジャケットに肩パッドという、世紀末ファッションのモヒカンの男だった!
「ヒャッハァァァァァッ! 見つけたぜSANTAぁっ! ここをお前の墓場にして―」
バァン!
SANTAが銃でモヒカン男の頭に弾を撃ち込み、モヒカン男はそのまま地面に崩れ落ちた。
「……メリークリスマスだ、この野郎」
「殺したぁぁぁぁぁぁぁぁっ!?」
少女が叫び声を上げる。
「安心しろ……峰打ちだ」
(いや峰打ちって……銃に峰打ちなんてあるの!?)
少女がそう思ったその時。
バババババババババババッ!
少女の部屋に向けて大量の銃弾が撃ち込まれた!
「チィッ! 嬢ちゃん、伏せろぉっ!」
「きゃあああああああああああああっ!?」
SANTAと少女は床に伏せ、弾丸を避ける!
銃弾によって部屋が穴だらけになり、壁が崩れ落ちた。
銃弾の雨が止むと、ライトで部屋が照らされ、外から大量の笑い声が聞こえてきた。
「ヒャッハァァァァァッ!! SANTAぁっ! 今日こそは貴様の息の根を止めてやるぜぇぇぇぇ!」
外にはモヒカンとスキンヘッドの世紀末ファッション軍団が、世紀末風バイクに乗って少女の家を包囲していたのだ!
「ったく……お前らクリスマスイブに一人の男を殺しに来るなんて、暇人にも程があるんじゃねえか? もっと他の事に時間使えよ!」
「うるせぇ! 俺達は貴様を殺すのに忙しいんだよぉっ!」
「それが暇だって言ってんだよ!」
バァン! バァン!
その言葉と同時にSANTAが銃を撃った!
「ぎゃあぁぁぁっ!?」
「がぁぁっ!?」
「くそがっ! 殺せぇ!」
世紀末軍団がSANTAに向けて銃を乱射する!!
「ちぃっ!」
銃弾の雨を避けながら、SANTAはベットの後ろに隠れる。
「嬢ちゃん! お前はどこかに隠れてろ!」
「は、はい!」
SANTAの言葉を聞き、伏せていた少女は押入れの中に隠れた。
「さぁて……」
少女が隠れたのを確認したSANTAは、にやりと笑いながら袋を漁り始めた。
「テメェラにプレゼントだ!」
そう言うとSANTAは袋から取り出した手榴弾のピンを引き抜き、モヒカン軍団に投合!
ドカァァァァァァァァァン!!
「「「ぎゃあぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!?」」」
手榴弾が爆発し、モヒカン軍団が宙を舞った!
「SANTAめぇ……! 撃って撃って撃ちまくれぇっ!!」
爆発から逃れたスキンヘッド軍団がマシンガンを撃ちまくる!
「へっ! どこ狙ってんだへたくそ共!」
SANTAはベットから離れ、再び袋を漁る。
「こいつは追加のプレゼントだ、受け取りやがれ!」
SANTAは袋から取り出したロケットランチャーを構え、スキンヘッド軍団に向けて撃ち込んだ!
「「「あばぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!?」」」
ロケットの爆発をもろに喰らったスキンヘッド軍団は、乗っていたバイクもろとも吹き飛んだ!
「よし、嬢ちゃん! 今のうちに逃げるぞ!」
SANTAが少女を押入れからだした。
「な、何で私も!?」
「あの馬鹿共の事だ、嬢ちゃんを俺の知り合いだと勘違いしてお前を人質にするかもしれねぇ……俺と行動した方が安全だ」
「ちょ、逃げるって、一体どこに……!?」
「いいから今は付いてこい! ほら靴だ」
そう言ってSANTAは袋から靴を取り出し少女に渡した。
「……その袋どうなってるの?」
「ん? SANTA袋の事か?」
「SANTA袋って何っ!?」
「んなことは後で話すから、さっさと来い!」
そう言うとSANTAは少女を連れて走り出した。