第21話 vs.海暴竜
すみません!
投稿するの忘れてました!
炎、雷、水、風。
剣技、銃撃技、魔法。
それぞれのスキルがフィールドで発動され、リヴァイアサンに命中していく。
ブラディオンと呼ばれるモンスターと、ズライゴドンと呼ばれるモンスターを倒した別働隊と合流してから、すでに五分が経過した。
これは合流してから分かったことなのだが、別働隊と合流する前よりも、格段にリヴァイアサンの攻撃力は下がっている。恐らくこれは、アスカたち別働隊が他の二体のモンスターを倒したからだろう。
まさか、他の二体を倒すと、リヴァイアサンが弱体化するだなんて、予想外だ。
まあ、弱体化したからと言っても、五分が経過した今でも、リヴァイアサンのHPは半分も削れていないがな。
攻撃力が下がっていることはすぐに、しかも簡単に分かるのだが、防御力だけは分からない。なにせ、他の二体が倒される前に攻撃したわけでもなかったしな。攻撃を回避するのに必死で、反撃のことなんか、一切考えてなかった。
まあ何はともあれ、少しだがリヴァイアサンのHPを削ることには成功している。
このまま正攻法で行けば、リヴァイアサンに勝てるかもしれない。
そう思いながら、俺は剣を振るう。
―――
別働隊と合流してから、大体十分が経過した。
リヴァイアサンの残るHPも、おおよそ四十%と言ったところか。
俺は、『双雷逆刃』の最後の一振りをリヴァイアサンにきっちり命中させ、バックステップ。リヴァイアサンから離れ、距離を取る。
さて、と。
リヴァイアサンの残りHPは、四十%をきっている。俺の新しい剣技を持ってしても、HPは残ってしまうだろう。
もう少し……もう少し、待つんだ。
そう自分に言い聞かせる。
サンダースと、雷帝剣の柄を握り直し、リヴァイアサンを見据える。
リヴァイアサンの残りHPが、ついに三十%をきった。
……今だ!
そう思い、一歩踏みだそうとして――立ち止まった。
俺はリヴァイアサンを見て驚愕する。
リヴァイアサンの、大きく開かれた口。その中央に、水色のポリゴンが収束していき、球体が作られていく。
間違い無い。
あれは……!
「今すぐリヴァイアサンから離れるんだぁぁ!!」
気がつくと、俺は叫んでいた。
だが。
それもう、遅かった。
超高圧で噴出される、水のブレス。
そのブレスが放たれ、近くにいたプレイヤーたちを凪払っていく。
それを受けたプレイヤーたちは次々とぶっ飛ばされ、俺よりも遠く離れた場所へ墜落。それでもHPが0にならなかったのは、幸運だっただけだろう。
気がつくと、リヴァイアサンから離れていた俺を含む、たった四人を除いたプレイヤーが、皆吹っ飛ばされていた。
「大丈夫か!?」
俺は剣を鞘に収めて真っ先に、カインとヘディの下へと駆け寄った。
アスカは俺のように距離を取っていたため、ダメージは受けていない。
俺は二人に駆け寄るなり、すぐに回復薬を実体化。二人に無理矢理飲ませた。
その結果、俺の回復薬が底を尽きる代わりに、カインとヘディのHPが全回復した。
「ありがとうな」
「ありがとう」
「気にするな」
カイン、ヘディ、俺の順で言葉を交わした後、二人は立ち上がった。すると、アスカも駆けつけてきた。
「大丈夫!?」
カインとヘディが「大丈夫」と答えることで、アスカを落ち着かせる。
「なあアレン。これからどうするつもりなんだ?」
カインが、俺に訊いてきた。
どうするつもりなのか……か。
そんなの、決まっている。
「一気に決着を付ける」
俺はそう言い放つと、二振りの剣を鞘から抜き去った。
金属が擦れ合う音が、耳に届く。
「アレン……本気なの?」
ヘディとアスカが、不安そうな目で見てくる。
俺は顔だけ振り返り、笑顔を作った。
「大丈夫だって」
そして、向きを直す。
大丈夫、とは言ったものの、流石に一人ではきつい。一人でHPを0にできる自信は皆無だ。
ここはやはり、俺以外の雷属性のプレイヤーに協力を求めよう。
―――
「なるほど。分かった」
「任せろ!」
雷属性の大剣使い――バンさんと、同じく雷属性の魔導士――グレッグさんに協力をお願いした。その結果、快く承諾してくれた。
俺たちが少し話した後、俺とバンさんは走り出した。真っ直ぐ、リヴァイアサンに向かって。
リヴァイアサンとの距離が残り十メートルまで縮んだ。その時、俺とバンさんの間を、青白い雷を纏った、小さな球体がもの凄いスピードで飛んでいった。
――グレッグさんの『超電磁砲』だ。
青白い尾を引きながら、何の迷いもなく直進する雷の弾丸。
そのまま真っ直ぐに進み続け、リヴァイアサンの腹部に突き刺さった。
断末魔を上げ、今まさに繰り出そうとしていた水のブレスを中断。大きく体のバランスを崩した。
リヴァイアサンが漸く大勢を直した時には、バンさんの雷の大剣が迫っている。
「『一刀両断』!!」
振り下ろされた大剣は、雷を纏うことによって速度が上昇し、威力も上がる。その強烈な斬撃が、リヴァイアサンの左の脇腹に命中。血を思わせる赤いエフェクトが飛び散るように光る。
再びフィールドに響く、海暴竜の断末魔。
この時点ですでに、リヴァイアサンの残りHPは二十%。
これなら、充分いける!
俺はそう思うなり、二振りの剣を抜刀。
――剣技発動……。
これで、決める。
「『雷帝のォォ……」
……この、剣技で。
「剣舞』ゥゥ!!」
剣技の名前を口にした声はまるで……いや、もはや雄叫びだった。
サンダースと雷帝剣の刀身が雷に包まれる。
いや、それだけじゃない。
俺の両足の膝からしたが、雷に包まれた。
と、次の瞬間、俺の走る速度が急上昇。一秒もかからずに、リヴァイアサンに肉薄する。
充分に近づき、まずは右回りに一回転。その際、リヴァイアサンに二連撃を与え、赤い傷跡が二本残った。
次に、右足左足と軽快にステップを踏み、体の向きを変更。サンダースをリヴァイアサンに突き刺し、すぐに抜く。
抜いた時に生まれた遠心力に逆らわず、左回りに一回転。振り向きざまに、サンダース、雷帝剣の順でリヴァイアサンを斬りつける。
再び軽快なステップを踏むことで、先ほどの攻撃で生まれた遠心力を殺す。その際、二振りの剣を握る手は、左右それぞれの方に引き寄せ、一気に突き出す。
「うぅおおおおおお!!」
二振りの剣の柄を、握る潰すくらいのつもりで握り締める。
突き刺さった剣は抜かず、力ずくで外側へ動かし、肉を斬り裂く。剣がリヴァイアサンの体から離れた。
両腕を振りきり、素早く柄を逆手に持ち変える。そのまま、もと来た道を辿るように、剣を振るう。
最後に二本の斬り傷を与えると、リヴァイアサンは本日三回目の断末魔を上げてポリゴン化。爆散し、消滅した。
―――
「はぁっ、はぁっ、はぁっ」
破裂するかのように、激しく心臓が波打つ。
呼吸も、今まで生きてきた中で、一番荒い。
俺はサンダースと雷帝剣を鞘に収め、皆がいる方へ向いた。荒い呼吸を整えながら、ゆっくりと歩く。
カインとアスカ、ヘディの所までつくと、三人は俺に駆け寄ってきた。
「お前、ほんとにすげえよ」
「HPは?大丈夫?」
「やっぱりアレンは強いわね」
母親の如く心配してくる黒髪の少女はおいておくとしよう。まあ、心配してくれてるんだ。
「大丈夫だって」
そう言うと、アスカは胸をなで下ろした。
だが、俺がリヴァイアサンを倒せたのは、運が良かった。
バンさんとグレッグさんの二人の攻撃が命中したから、リヴァイアサンは体のバランスを崩したのだ。そのおかげで、俺は難なく『雷帝の剣舞』を、しかも全ての斬撃を、リヴァイアサンに命中させることができた。
間違い無く、俺一人では倒せなかった。
「それにしても、誰が報酬を貰えば良いんだろうな……」
「それは、君が良いだろう」
俺が何気なく呟くと、後ろから声がした。
振り向くと、後ろにはバンさんとグレッグさんを始め、俺を含む四人以外のプレイヤーたちが、そこにいた。
俺に先ほどの言葉を言ったのは、バンさんだ。
「え?い、良いんですか!?」
正直なところ、俺は最初から、この『海暴竜の蒼玉』は、俺以外の誰かが持って行くべきだと思っていた。
何故なら、俺は第一層の報酬を貰っているのだ。
「いや、俺は……」
「つべこべ言うな。もしも、報酬の武器が使えない奴だったら、誰かにあげるなり、売ったりしろ」
グレッグさんはそう言いながら、俺の肩を叩いてくる。
他のプレイヤーたちを見てたが、皆、納得しているようだった。
「そうですか……。じゃあ、『海暴竜の蒼玉』は俺が貰います」
ラストクエストの報酬を俺が受け取ることになった。そして、俺たちは、ギルドに戻ることにした。
……この先には、悲劇が待っているとも知らずに。
To Be Continued.




