17.わざと
開いてくださり、ありがとうございます!
前回は、この殺し合いについての確認の回でした。
今回は、どんな話になるのか、お楽しみください!
※この作品には、残酷・暴力描写が含まれます。
「出るとかばかすぎww」
透明な箱に戻った芯は、ルイの取り巻きの女にバカにされていた。
「何考えてんの?wあーわかった!かいくんのこと好きなのね?センスなww」
なにこの女。
紫陽は、顔を顰めた。
こいつら、ほんとに人間なの?
「心配してあげてるの?やさしーね」
隣にいた私の双子の兄、紫愛が女に言った。
「は?わたしは…」
女は何か言いかけたが、なにかに怯えてすぐに口を閉じた。
「…?」
芯ちゃんも不思議がっている。
「しお、なにかした?」
私は紫愛に聞いた。紫愛は真顔で答えた。
「いや?別に」
あー、そういう…。
私は察しがついた。
そういうところあるんだよな、しおは。
でも、そのおかげで面倒ごとに発展しないのは事実だ。
「え…?ほんとになにもしてないの?」
晴ちゃんはコソッと私に聞いた。
私の顔は、無意識に笑顔になった。
「なにもしてない…は、うそかな。」
私がそういうと、晴ちゃんも察したのか、にこっとした。
紫愛は、泣き虫だけど立ち回るのが上手だ。
直接的に黙らせるんじゃなくて、遠回しに、間接的に黙らせることができる。
ほんと、才能だわ。
こういうところ、少し呆れるけど、やっぱ自慢の双子だと、つくづく思う。
「あっ、かいくん…!」
晴ちゃんが扉の方を向いて言った。
「おかえり、かいくん!」
「かいくん、ほんとにお疲れ様」
晴ちゃんに続いて、私と紫愛もかいくんに声をかけた。
でも晦くんは、私たちを見ない。晦くんが見てるのは、芯ちゃんだ。
「あ…」
芯ちゃんは戸惑っている。晦くんは目を逸らさない。
晦くんは芯ちゃんを見つめた後、男警備員と一緒に部屋に戻って行った。
見つめただけだ。何か言葉をかけたりしていない。
「え…無言?」
「怒られると思ったよね…?」
ルイくんの取り巻きの女たちがそう話している。
でも、私たちはわかってる。言葉をかけられなくてもわかった。
「…ごめん」
芯ちゃんは、晦くんの背中に向かって小さく謝った。
晦くんは、“出てくるな”。そう訴えたんだろう。
「戻るならはやくついて来い」
男警備員は、私たちに向かって言った。
晴ちゃんと芯ちゃん、私と紫愛は渋々透明な箱から出た。
そして男警備員の後ろをついて行った。
扉が閉まると、ルイくんの取り巻き女たちの声が一瞬にして聞こえなくなった。
「次の試合は1週間後。それまでは好きに過ごしてろ」
男警備員は吐き捨てるように言った。そのまま連れて行かれたのは、殺風景なホールのような場所だった。
中には、C施設の子たちがいる。
何人かはいない。その何人かは、これからの試合に出る子とルイくんと取り巻きの女たちだ。
みんなそれぞれ好きに過ごしている。
「芯ちゃん、大丈夫?」
晴ちゃんが芯ちゃんに声をかけた。
芯ちゃんは黙ったままだ。
それを見た紫愛は、目線を逸らした。
「晦くん、怪我大丈夫かな」
紫愛はぽろっと、少し大きな声で言った。
その言葉にはっとした芯ちゃんは、短く言った。
「…かいのとこ行ってくるね」
芯ちゃんはそのまま晦くんのところに向かった。
「あんたってほんとに…」
私は紫愛を見てから、言葉が詰まった。
「…わざとでしょ?今の」
私がそういうと、しおは落ち着いた笑顔を見せた。
「ん〜?なんのこと?」
はぁ、ほんとにこいつは。
読んでくださり、ありがとうございました!
今回は紫陽視点で、物語が始まりましたね。
紫愛、結構粋な男でしたね。そして、晦の部屋に向かった芯。
この2人の関係はどうなるのか。
次話もお楽しみに!
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