池の中へ
機械である以上は誰かがなんらかの意図を持って作ったんじゃないかと思ったが、その辺の情報はなかった。
結果、シムはなんとなく居住区の中を探索することにした――。
*
時は流れ――
居住区も整備され、地上もあちこち探索してそれなりに地理もくわしくなった。ゲートの管理もしながら、まあ小忙しいながらもシムは暮らしていた。
そうしたら、空からタツキが落ちて来て。
それから次はリューオスが来て、テッドの舟が来て。
そんな、ある時。
ゲートの前を通った時、シムは嫌な予感がしていた。
誰かがとんでもない危機に陥っている。
――助けなきゃ!
シムはゲートの中へ足を踏み入れる。
足がすくんだ。
その向こうにとんでもない恐怖が待ち受けてる……そんな感じがした。
だが、今すぐにでも助けが必要な人がいるのだ。
ゲートを通り抜ける。
そこは初めて来る場所だった。
そこに着いたと同時に、シムの中に、誰かの、何かの記憶が流れ込んできた。
ここは天空岩。
目の前に池がある。
誰かが溺れているのがわかった。
シムは急いで池に飛び込んだ。だが、それはもうシムではなかった。
――!?
シムは訳がわからなかった。
シムではない誰かがシムの体を動かしている。
と、同時にその誰かの記憶と思いがシムの中に流れてくる。
どうやら、少年のようだ。
少年が懸命に泳いで進んで行く。
池の底で、男の子が柱の下敷きになっていた。
――タツキ!
少年が柱を持ち上げようとする。だが、泳ぎながらではなかなか柱は持ち上がらない。
――タツキ!タツキ!
少年は慌てている。
シムも慌てた。
だが、今、シムの体はシムの意思で動かせない。
シムは少年の行動を後ろで見ている――まるでそんな状況だった。
(この子、タツキじゃないよ)
少年の後ろでシムはそんなことに気づいていた。
だが、その声は少年に届くわけもなく。
そんな時、池の中にファニィが入って来た。
(天空岩のファニィは水陸両用なんだ)
シムは感心していた。
シムはファニィをはじめて見る。タツキからの話でそれがファニィだとわかった。




