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真説ソオルアーマー戦記  作者: 鈴神楽
中央:帝都編
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天に昇る麒麟王

最後の戦いが始まる。そしてその先にあるのは?

 それは、突然だった。

 白虎や青龍、玄武、朱雀を小さくしたようなソオルアーマー達が戦場に現れて、一気に突き進み、ステルス中のシャドーペンギンを強襲した。

 それをブルーイーグルⅡカスタムのコックピットで見ていたレッスが驚く。

「あんな小型のソオルアーマーあるなんて」

『それに、あの無茶な機動は、ゾンビソオルアーマー並だぞ』

 トッテの言葉に、人を道具とした最悪のソオルアーマーを思い出され顔をゆがめるレッス。

『今、シャドーペンギンには、ミココさんも居るんだ。護らないと!』

 スプラが駆るコバルトブルードラゴンカスタムが小型ソオルアーマー達の迎撃を行い始めるが、速さと小ささ、そして数に苦戦を強いられる。

『なんだよ、このちびっこいのは!』

 接近戦を仕掛けようとしてかわされるホワイトタイガーカスタムを駆るガッツの言葉に答えが帰ってくる。

『カルビ殿下のソオルアーマー、麒麟王の特殊装備、ファミリア。起動原理は、アニマルモードと同じ。カルビ殿下があの小型ソオルアーマーのソオルコアを一つずつ起動させて半自動で動かす。一度停止させるとまた一つずつ起動させないといけないけど、逆を言えば、ソオルを挿入し続け、稼動を続ければ幾らでも数が増やせる麒麟王の奥の手だよ』

 ミココの解説にレッスが溜め息交じりに言う。

「あれもミココが作ったの?」

『あちきが元を作って、ゲナウ兄さんが大量生産したんだろうね。今、数えたら五十は、あったから頑張って』

 ミココの言葉にガッツが言う。

『人事の様に言いやがって。お前だって困るだろうが!』

『残念、あちきは、今は、武器を突きつけられ無理やり協力させられているだけの被害者だから、無関係なんだよ』

『てめえ!』

 ガッツが怒るが、ミココの言葉に違和感をあった。

 何か、無理やり明るく装っている気がした。

『すいませんが、麒麟王を倒さない限り、脱出は、出来ません。お願いします』

 ティーからの要請にトッテが言う。

『どんだけ、ファミリアがあろうと、本体は、一機だ。強引に突っ込むぞ!』

「了解!」

 レッス達は、力を合わせて、一気に間合いを詰めようとしたが、ファミリア達の動きは、早く。

 攻撃力は、以外の程高い。

『そうそう、そいつらは、白虎達をベースに作ってあるから、下手なソオルアーマーより攻撃力が高いから気をつけてね』

 ミココの補足にレッスは、力の限り怒鳴る。

「そんなの勝ち目が無いって事じゃない!」



 麒麟王のコックピット、カルビは、痛み止めを射ちながらオーチャ中隊のソオルアーマー小隊を相手にしていた。

「もう少しだ。ここで勝ち。ミココ先生を取り戻せば、私の後継者の立場は、確実の物になる。もう少し、もう少しだけもってくれ!」

 気力を振り絞り、ファミリアを操るカルビであった。



 圧倒的な戦闘力にハラミが戸惑う。

「あれでは、勝ち目が無い。せめて、ここにサンアポロンがあれば」

 その時、ナノが現れて言う。

「サンアポロンだったら、ゲナウから預かってきましたよ。でも、本気で戦場に出るんですか?」

 ハラミが頷く。

「当然だ。カルビが戦場に出ている以上、私がここに隠れている訳には、いかない!」

 それを聞いてミココが言う。

「でしたら、お願いがあります。少しの間、麒麟王を止めてください。その間に、悪あがきをしますから」

 ホルモが反応する。

「ミココソオルマイスターを信じては、いけません。さっきのカルビ殿下の助けたのは、その人なんです!」

 ハラミは、ミココの目をじっと見て言う。

「解った。時間を稼ごう。しかし、出来るだけ自分の手で決着をつけられるように戦わせて貰う」

 そう告げてハラミは、ナノに案内されてサンアポロンの元に向かう。

「悪あがきって何ですか?」

 ティーの質問にミココが答える。

「実験中の強化装備です。テストもしてない奴ですから、使うかどうかは、ガッツ達しだいですけど」

 それを聞いてバッドが肩をすくめる。

「今のやつらに使うなというのが無理だろう」

 頷き、ティーが指示を出す。

「もうすぐサンアポロンがそちらにでる。ソオルアーマー小隊は、一度シャドーペンギンに戻って下さい」



 オーチャ中隊のソオルアーマー小隊が後退するのを見送りながらサンアポロンに乗るハラミが言う。

「カルビ、私は、皇帝の地位には、興味が無かった」

 それに対し、ファミリアで攻撃を続ける麒麟王の中からカルビが答える。

『知っていましたよ。しかし、それでも貴方は、部下にも信用が厚く、私より年齢が上で、ソオルライダーとしても実力もある。そんな相手をほっておけなかった』

 襲い来るファミリアを腕の間に纏わせた炎の帯で防ぎながらハラミが続ける。

「今更だが、内部粛清を止めるという約定を結ぶのなら私は、後継者の地位を放棄しても良いが駄目か?」

 数体のファミリアを犠牲にし、サンアポロンの炎の帯を過負荷にしたカルビが言う。

『当然です。皇帝になる以上、私は、皇帝としての職務を全うするまで。多くの犠牲を払おうとも、帝国に安定をもたらします!』

 接近してきたファミリアを胸の獅子のレリーフから吐き出された炎で蹴散らしハラミが言う。

「やはり、ここで勝負を決めるしかないのだな?」

 ファミリアを獅子のレリーフに直撃させたカルビが言う。

『はい。さあ、終わりです!』

 攻撃力を大きくそがれたサンアポロンに全方向からファミリアが襲い掛かる。

 ハラミが死を覚悟した。

 しかし、大きな衝撃があり、サンアポロンは、行動不能になったが、ハラミは、無事であった。

『危険な目にあわせてしまいすいませんでした。後は、我々にお任せ下さい』

 トッテの声が通信機越しに聞こえてきた。

 そして、麒麟王とサンアポロンの間に強化装備を施した四機が入ってくる。



『毎度の説明だけど、それって何のテストもしてないから、最悪大爆発する可能性があるから使用は、本人の意思しだいだよ』

 ミココの説明を強化装備、白虎のビーストヘッドを右腕に吐けたホワイトタイガーカスタムウイズ白虎に駆るガッツが答える。

「爆発する前に終わらせるさ!」

 そして左腕に青龍のビーストヘッドを着けたコバルトブルードラゴンカスタムウイズ青龍が前に出る。

『道は、僕が作る。食らえ、アイスブリザード!』

 コバルトブルードラゴンの口と青龍の口、二つの口から同時に放たれたアイスブレスは、吹雪となり、麒麟王に続く道を作る。

『あたしが先行するから後を着いて来て!』

 背中に朱雀の翼を着けたブルーイーグルⅡカスタムウイズ朱雀がアイスブリザードで出来た道を進み、その後をガッツが続く。

 周囲から襲い掛かるファミリア。

『邪魔は、させん!』

 トッテは、そういってブラックアックスカスタムウイズ玄武に装備された甲羅、トータルシェルを展開し、ファミリアの進行を妨害する。

 それでも放たれるファミリア達の攻撃は、ブルーイーグルⅡカスタムウイズ朱雀に装備された翼についていたフェザーガーターで防いだ。

 そして、麒麟王に接近したホワイトタイガーカスタムウイズ白虎の右腕が麒麟王に放たれる。

「食らえ! これがホワイトタイガーヘッドクラッシュだ!」

 ヒットと同時に四方に大量の突風を放ち、敵を完全に粉砕する必殺の一撃が麒麟王に命中し、長い戦いは、終わりを迎えるのであった。



 麒麟王から救出したカルビを膝枕するミココ。

「カルビ殿下、貴方の負けです」

 カルビが罪の凄く残念そうに言う。

「もう一歩のところまでいったのですが、何が悪かったのですかね? ミココ先生、教えてください」

 ミココが感情を押し殺した顔で言う。

「あちきを生かしておいた事。それが最大の敗因よ」

 するとカルビが苦笑する。

「それは、前提が間違っていますよ。私の、俺の目的は、立派な皇帝になった所をミココ先生に見せるという約束を守る事だったんだから」

 それを聞いてミココが涙を流し始める。

「馬鹿が、そんな下らない事で命を捨てる事無いじゃない!」

 虫の息のカルビを見てガッツが戸惑う。

「俺がやってしまったのか?」

 ハラミが辛そうに告げる。

「責任は、全て私にある」

 そんな雰囲気の中、カルビが言う。

「誤解するな、誰がお前らに殺されるか。元々そういう体だったんだ。ソオルアーマーに乗って、まともに戦えば心臓が持たないってな。だからミココ先生は、少しでも早く戦いを止める為に新兵器を投入したんだよ」

 ミココに視線が集まる中、カルビが言う。

「SOEやファミリアだって、こんな俺が皇帝陛下として戦場に出た風に演出する為に態々開発してくれたんだよ」

 ハラミが戸惑う。

「そんな話は、初めて聞いたぞ」

 ミココは、涙を拭いながら言う。

「当然だよ、あちきが残らずもみ消したんだから」

 そしてカルビが言う。

「そんな俺に父上は、失望し、後継者から外していた。その雰囲気は、周りの人間にも伝わり、誰もが俺を見捨てた。絶望で荒れる俺の未来を、ミココ先生だけが信じてくれた。俺は、そんなミココ先生の期待に答えたかった……」

 そのまま無念そうに伸ばしていた手が地面に落ちる。

 ミココがそんなカルビの頭を強く抱きしめた。

「カルビ殿下!」

 その様子を見ていたヒレが哀しそうな顔するとナノが溜め息混じりに言う。

「年齢で勘違いしないの。あの二人は、生徒と先生、母親と息子だった。息子を大切にしたミココちゃんとそんな母親の期待に答えようとしたカルビ殿下。あの二人の関係は、恋人のそれじゃなかったのよ」

 ヒレは、悔しそうに言う。

「それでも、私は、カルビ殿下の一番大切な人間になりたかった」

 涙を流すヒレに胸を貸すナノ。

 そして、ハラミがミココの傍によって言う。

「苦しみの中に居た弟の希望になってくれた事を感謝する」

 ミココは、沈黙していたが、感情を押し殺した声で言う。

「これで満足ですか、皇帝陛下?」

 それを聞いてハラミが困惑する。

「私は、まだ皇帝陛下では、無い」

 ヒレの頭を撫でながらナノが言う。

「ハラミ殿下に言っている訳じゃないわよ」

 それを聞いてヒレが顔を上げる。

「まさか、カルビ殿下が仰るとおりだったのですか!」

 周囲が困惑する中、その男が現れる。

「カルビは、皇帝としての大きな素質を持っていたが、ソオルアーマーに乗れないという欠点を補いきれなかった。それが結論だ」

 声の主に視線が集中する。

 ハラミが睨みつけた。

「これは、どういう事ですか、父上!」

 そこに立っていたのは、ブルースピア帝国の皇帝陛下、ジーオであった。

 少し失望した顔をするジーオ。

「カルビは、可能性を疑い、調査をし、そこに居るミココソオルマイスターは、確証を掴んでいたというのに、お前は、考えもしなかったのか? しかし、完璧に隠れたつもりだったのだが、どうやって知った」

 ミココが淡々と答える。

「陛下は、システムに注意して足跡を消しました。連絡を取る人間も監視システムにも十分に注意していたのでしょうが、逆にそれが足がかりになりました。監視システムから不自然に消えた人間をピックアップし、ナノ姉さんに追跡してもらい、陛下と接触する所を確認してもらいました」

 ジーオが指を鳴らす。

「なるほどな。何時もながらお前の知性は、素晴らしい。今回の事もお前が全てお膳立てした様な物だった」

 ミココは、怒りを必死に堪えて言う。

「勘違いしないで下さい。カルビ殿下の成長も、ハラミ殿下の勝利も全ては、両者の力があっての事です」

 そしてハラミがジーオに掴みかかる。

「父上は、何を考えているのですか! 父上が生きていると解っていたら、この様な事には、成らなかった筈です!」

 激高するハラミを払いのけジーオが断じる。

「全ては、帝国の安定の為だ。より良い後継者が皇帝につける事が、私の責務。いずれお前も担う仕事だ、覚悟をして置くことだ」

 それに対してハラミが逆らう。

「そんな物は、不要です。私は、皇帝には、なりません!」

「ハラミ殿下!」

 ホルモが驚き声を上げ、ジーオが睨む。

「何を考えているのだ! ならば誰が皇帝になるというのだ!」

 ハラミが睨み返す。

「ロース兄上の息子が居ます。少なくても私は、実の兄弟の屍で出来た玉座に座る事は、出来ません!」

「許すと思っているのか!」

 ジーオが激怒する中、ミココが言う。

「無駄です。本人にやる気が無い以上、皇帝には、なれません」

 歯軋りをするジーオであった。



 数年後、ハラミの子供の母親になったホルモの所にミココがやって来た。

「元気そうですね」

「ええ、旦那様も喜んでくれています」

 幸せそうなホルモを見ながら、ミココは、その子供を抱き上げる。

「元気に育ってくださいね。そしたらいっぱい色んな事を教えますからカルビ様」

 苦笑するホルモ。

「ミココさんに教育を任せると大変な子供になりそう」

「大丈夫です。ハラミ様とホルモ様、お二人の愛情が有る限り、カルビ様が絶望する事なんて無いのですから」

 ミココが満面の笑みで保障するのであった。



 ハラミは、正式に後継者の権利を放棄し、オーチャ中隊の忠義に応える為にウエスター大陸の領主としてホルモと共に移り住む。

 モモは、ドーバの協力もあり、イースタン大陸を手中に収めた。

 ロースとメッサの子供もまた後継者の権利を放棄し、ノーブルス大陸の領主となる。

 カルビの子供を身籠っていたヒレは、その子供をサウーザ大陸の領主とする事に成功した。

 結局、皇帝の地位を引き継いだのは、タンの隠し子と自称する子供であり、それを裏から操る邪な人間達の暗躍で中央の権力は、失われて行く。

 その空気を素早く察知したミココは、ソオルタワーの権力を各大陸に分散させて、競い合わせる状況を作り、ソオル技術の中興の人と呼ばれる事になる。

 その後、大陸ごとに皇帝を選出し、帝国を分裂させる大戦が始まるのだが、それは、また別の話である。

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