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ヴィングジェアの歴史


 次に紹介するのはヴィングジェア。神の獣と呼ばれる種族。


 ヴィングジェアは前提として多くの種族の総称だ。その種族は全て獣や虫の紋章を使っている。

 その中でも最も珍しいのが黄金の蝶の紋章を扱う種族。その種族だけは、ある決まりが存在する。

 それが御巫制度。御巫を選び、その御巫と過ごすことで絆と愛情を育む。そしてその絆が認められれば結婚が許される。それが、本来の御巫制度。


 だが、時代の移り変わりにより変化があった。


 それまでの間はヴィングジェアは温厚だった。世界を守護する種族だった。だが、その制度の変化とともにヴィングジェアという種族自体も変化した。


 古くから存在するヴァリジェーシル本家が率いる組織。そして新たにできたエンシュア組織を名乗る集団。エンシュア組織はヴィングジェアこそが世界の頂点に立つべき存在だという理念を掲げている。


 エンシュア組織はまず、御巫制度を歪めるためにエクシェフィー御巫夫婦を使った。その御巫こそが本物だと世間に訴えかけた。御巫になるのは素質が大事であるとも。

 その対極として存在するのが髪の長い少女。髪の長い少女は御巫の素質がないにも関わらず御巫を名乗る者として迫害されていた。


 本家が守っていることもあり、一部の者たちは本家の忠誠を失った。


 前者は御巫夫婦の発表より少し前になるが三代目当主と四代目当主の消息不明。エンシュア組織が関わっている。それ以外にもエンシュア組織の理念に反する者たちは次々と消息を絶っている。


 ある日、七代目当主が先代に当主の任を返した。そして、エンシュア組織により居場所を失った者たちのための場所をつくった。


 それがギュリエン。

 ギュリエンは自然を大切にされていた。元々何もなかった場所を栄えたミョーアトにした。少女がみやこと勘違いしたため今後はみやこと表記する。

 周辺にある自然は手を加えていない。自然と共存した場所だ。


 七代目当主はそこでギュシェルという組織をつくった。組織のトップである七代目当主は主と呼ばれるようになった。


 ギュシェルはギュリエンの守護を任されている。みやこに七軒、周辺に二十から四十軒のミョーアで働く。少女がみやと勘違いしたため今後はみやということにする。


 みやは巨大な建造物。その中にはいくつかの部署が働く場所、訓練場、休憩所、寮などが入っている。部署はギュリエンを守る騎士のようなものから事務のようなものまであった。

 後で詳しく書くが、ちゃんと休みはあるらしい。


 みやの中でも双子みやは特別。そこにいる髪に長い少女はギュリエン全土を守る結界を張る役割を担っていた。双子みやの周りは花畑。


 ギュリエンには階級制度が存在していた。階級の分け方は本家の血筋に近いかどうか。とりあえず十段階で表す。一が低い。

 十は特権階級。本家と本家に一番近い分家のものたちだけ。

 七から九の高階級からはギュシェルに入る事を義務付けられる。九は各部署をまとめるために派遣される。希望は通るらしい。

 四から六の中級からは希望者は試験でみやに務められるか決まる。比較的入りやすいらしい。

 一から三はみやへ入ることはまず絶望的。だが、一人だけ一階級からみやへ入った人物が存在する。


 ギュシェルとして働けない者たちは、研究の補助や商売。多くの選択肢があった。みやへ入れないだけで。


 誰もが不自由なく暮らしていた。階級による差別は存在しないというか、階級の意識なんてほとんどない。むしろ高階級の方が優遇されないと思っている者もいただろう。


 階級制度はヴィングジェアは本家に近いほど魔力が扱えるから、ギュリエンを安全な理想郷にするために存在する。そして高階級者の多くが低階級が与える娯楽がなければやっていけないと思っているらしい。


 稀に問題は起こるが、それでもギュリエンに住むヴィングジェアたちはその環境に満足していた。そして自分たちがそれを守っているという自覚を持っていた。


 少女には本当に関係ない話だが、なぜかみやの実態も知っている。髪の長い少女が特権階級に聞いたからだ。


 まず、少女はこれを知ってみやにだけは入りたくないと思った勤務と休みの感覚だ。訓練も勤務に入れるが、二十日に一回一日休みをもらえるらしい。


 勤務時間は大体五時間程度。見回り中は買い物していいらしい。見回りルートであれば。むしろ交流することは推奨されている。


 怪我や体調不良に関しては治るまで休んでも問題ない。


 希望を出せば部署異動も可。


 移動手段は転移魔法が使えないため魔法機械の応用で作られたこの世界でいう電車のような乗り物。自動運転。地面を動いているわけではなく、自然を守るように宙に浮いている。以後魔法車と呼ぶ。

 魔法車が止まる駅のような建造物も存在する。辺境ではバス停のような感じで建造物とは言えない。その代わりなのか、無人の売店がある。


 魔法車に乗るには切符のような許可証が必要となる。金で買える。一回一回は安く。全額維持費に使っているらしい。特権階級は仕事で一日に何十回も乗ることがあり、証明証を買う時間がないため無料。ただし特権階級の身分証が必要。

 それと双子姫——髪の長い少女と氷魔法を使う少年は無料利用可能。理由は双子みやのある場所が場所なため。


 ギュリエンは滅んでいる。エンシュア組織による侵略がそのきっかけをつくった。

 真っ黒い魔物が空を飛んでいる。みやこは炎に包まれていた。ギュリエンに住んでいた人々はすぐに特権階級の指示で非難を開始した。ギュリエンの外へ避難する。


 そんな中でギュリエンの中にいた髪の長い少女はエンシュアの実験の結果を見た。建物内が嵐が起きていた。


 結果的に、ギュリエンはある男の子の暴走によって滅んだ。全ての植物が枯れて、水が枯れて、何も住めない土地となった。


 その後もエンシュア組織は自分たちの理念に反する者たちは徹底的に排除し続けた。唯一手が出せないのは本家だけ。

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