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星姫 〜天の星、地の人〜  作者: 猫様のしもべ
第2章 学びと戦いの、学園生活
17/21

第16話 命より大事なカメラ(?)

〜前回のあらすじ〜

ひと騒動あったものの、無事球技大会を終えたマナ。

レイの言葉に胸の痛みを覚えるも、帰ればセフィリアの笑顔が待っていた。

彼女と一緒なら、きっと幸せに過ごせるーー。

球技大会から1週間が経つーー。

みんな、レイの事件で痛めた心も、だんだん回復してきた。

レイは12歳だったため、捕まることもなく、自宅謹慎となった。



「マナ、起きて〜」

「・・・ん?」


可愛らしい声が響き、まぶたをそっと開ける。

ベッドの横で、じっと見つめている美少女。

ーーセフィリア・セレスティア。


この1週間、様々な手続きを行い、彼女は正式にマナたちセレスティア家の、娘になった。

家具も買い揃え、服などもいくつか買った。


「今日はお出かけでしょ?ボク、もう着替えたよ」

「おはよう、セフィリア。そうだね」


セフィリアはにこっと笑う。

今日は、ソフィとお出かけの日だ。

ソフィにセフィリアを紹介するため、3人のお出かけになる。


ソフィには、紹介したい子がいる、と伝えた。

ソフィは大喜びで快諾。

セフィリアも楽しみにしているようだ。


「じゃあボク、下にいるね」

「うん」


セフィリアが部屋を出て、マナは着替える。

今日着るのは、誕生日にソフィがくれた服だ。


(似合ってるかな・・・)


ソフィの服センスを信じ、服を着る。

そして一階へ降りると、セフィリアが朝食を待っていた。


マナも隣に座り、お母さんも一緒に朝食を食べる。


「ボク、何を持ってけばいいんだろ。なんもお荷物がないなぁ」

「ふふ、まぁいいんじゃない?私もあまり荷物持たないから」

「ならいっか。手ぶらで行こう」


朝食を食べ終わり、洗面台の前で髪飾りをつける。

セフィリアはこの髪飾りが効かないので、そのまま行くしかない。


玄関で靴を履き、鞄を持つ。

セフィリアも新しい服、靴とあって嬉しそうだ。

そして、扉を開ける。


「行ってきます」


2人は待ち合わせ場所へ向かう。

マルヒア広場という、噴水のあるところまで。


セフィリアが歩みを進めるたび、木が小さく揺れる。

優しい風が吹き、足元からは星の民にしか見えない、星の光が舞っていた。


だが、マナは気づく。


(すっごい視線だなぁ・・・)


周りの人の、いくつもの視線。

それはほとんど、セフィリアに向けられている。

超美少女なセフィリア。

誰もが振り向き、思わず見惚れてしまう。


「今の街はすごいな・・・」


セフィリアは特に気にしていないようだ。

むしろそれより、皇都の景色が気になるらしい。

きょろきょろと見まわす姿は、まるで小さな子供のよう。

可愛くて、思わず笑ってしまう。



歩みを進め、待ち合わせ場所についた。

そこにいる、黒いスーツの人に囲まれた女の子。

ソフィはもう、着いていたようだ。


「あ、マナ!可愛い可愛い!!その服、着てくれたんだね!?めっちゃ可愛いよ!」

「あ、ありがとう。ソフィ」

「今日もカメラ持ってきたんだ〜。あ、その子が前に言ってた、紹介したい子?」

「うん」


セフィリアがソフィのそばに寄る。

ソフィは言う。


「わぁ〜!可愛い子!すっごく美少女ね!」

「初めまして、ボクはセフィリア・セレスティアだよ」

「セフィリア!?可愛いわぁ。私はソフィ・クレシェンテ!よろしくね!私はマナの大親友よ!」

「よろしく、ソフィ。ボクはマナの家族だから」

「むっ!それは羨ましい・・・」


マナはその会話に、思わず微笑む。

ソフィが大親友と、セフィリアが家族と、言ってくれたことが、嬉しかった。


「じゃあどこ行こうか。セフィリアはわからないだろうから、私たちが案内するよ」

「うん。ボクはついてく」


3人は歩き始めた。

フィルミナが影から、カメラで写真を撮っている。

だがまぁ、周りの視線でバレバレだ。


マナたちは適当にぶらぶら歩き、周りの商店を見る。

セフィリアはどんな店にも興味津々。

ありきたりな店さえ、見たことがないらしい。


周りの小さな噂話も、耳に入る。


「なんかヤバい3人が歩いてるぞ」

「公爵令嬢、剣術最強、超美少女・・・」

「SNS載っければバズりそう」


周りの人たちは、次々にケレポナを取り出す。

そしてなんの許可もなしに、写真を撮ろうとする。

だが、ソフィの護衛がそれを防ぐ。

さすがは公爵家の護衛。

行動が早く、判断力もすごい。


マナたちは安心して、買い物をお出かけを楽しめる。

マナは言う。


「セフィリア、気になるお店はある?」

「全部気になる。マナたち決めて〜」

「じゃあ、まずはショッピングモール行こっか」


人々が軽く道を譲り、その間を歩く。


マナたちは、そばにある大型ショッピングモールについた。

雑貨、服、カフェなどなんでも揃っているところ。

とりあえず近くの雑貨屋に入る。


セフィリアはいろんなものを見て回る。


「そういえばボク、まだ文房具持ってないな」

「じゃあここで買おう!私がいいもの提案するよ!」


ソフィがそう言い、様々な文房具をセフィリアに見せる。

ペンケース、シャーペン、消しゴム。

「星姫」の噂あってか、星柄が多く店頭に並んでいた。

セフィリアは次々と文房具を揃えた。


そしてカゴに入れ、嬉しそうにレジへ。

店員がセフィリアを見て、目を見開く。

慌ててカゴを受け取り、会計した。


「えへへ、なんか半額にしてもらえちゃった」


セフィリアは会計が終わると、笑顔でそう言った。

ソフィは笑う。


「ふふふ。美少女はお得だね!」

「ん?ボクの見た目が理由なの?」

「たぶんね!あの店員さん、後で店長に怒られないといいけど」


セフィリアは不思議そうにしながらも、買ったものを手に持ち、店を出た。


「よう、可愛い子!俺と・・・」


ナンパをガン無視し、突き進むセフィリア。

周りの人たちが笑い、ナンパは去っていく。


3人でまた移動し、次は服屋に入ってみた。


(ソフィが喜びそう・・・)


ソフィはキラキラした目で、服を見る。

次の瞬間、鋭い目つきに変わったかと思えば、今度は服同士を合わせて吟味し始めた。

マナとセフィリアは顔を見合わせ、思わず笑う。


その瞬間ももちろん、フィルミナがパシャリ。


「マナ、セフィリア!試着だ試着!」

「えっ、私も?」

「うん!セフィリアも、ほら入って!」


ソフィに押し込まれ、試着室で服を着てみる。

選び抜かれた服のセンスは、抜群だ。

隣ではセフィリアの悩む声が聞こえる。


「これ、どっから着るんだ?間違って破きそう」


どうやったら間違いで破けるんだと、マナは笑う。

そのうちに、マナは着替え終わった。

マナが着た服は、剣士の着ていそうな服。


カーテンを開けると、ソフィがカメラを構えていた。

相変わらずの、三脚持参。


まるでファッションショーのごとく、シャッターを切りまくる。

音のないカメラだが、マナは苦笑する。


その時、隣のカーテンが開いた。

セフィリアが試着したみたいだがーー


「セフィリア、それ前後ろ逆だよ」

「えっ、分かりづらすぎるってば」

「ふふ」


セフィリアはそう言って、カーテンを閉じ、また開いた。

今度こそ、ちゃんと着れている。

セフィリアが着たのは、ボーイッシュながらも可愛い服。

もちろん、前後逆の姿もシャッターに収められた。


ソフィは2人を同時に激写しまくり、周りの人たちも何事だと集まる。


「マナ、剣持ってフィルミナの真似して!」


ソフィにそう言われた。

よく分からないまま剣を取り出すと、フィルミナが剣士ポーズをしていた。

マナはその真似をする。


「セフィリア、萌え袖でフィルミナの真似して〜!」


フィルミナはさっとポーズを変え、ソフィの思い通りのポーズをとって見せる。

セフィリアはその真似をした。

その姿は、思わず目を逸らすほど、可愛い。


その瞬間、湧き起こる謎の拍手。

マナもセフィリアも、驚いて周りを見た。

店内に群がる、たくさんの人。

カメラを構える人もいれば、ぼーっと見惚れる人も。


マナは恥ずかしくなり、カーテンの中に隠れた。

それでも、少し嬉しくはあった。

向けられる視線が、ただ優しかったから。


(あの日の冷たい視線とは真逆ーー暖かい)


マナはカーテンの中から、チラッとセフィリアを見た。

セフィリアはそれを見て、言う。


「もう終わり〜!ボクの可愛い格好を、そう長く見てられると思わないでね〜」


見惚れていた群衆たちの間に、笑いが溢れる。

そして歓声が上がった。


「可愛い〜!」

「2人とも、モデルになれるぞ!」

「スカウトさせてくれ!」


セフィリアの自信が、たくさんの笑顔をもたらした。

マナは久しぶりに、心から笑った。

胸が熱くなり、小さく言った。


「セフィリア、ソフィーーありがとう」

「どーいたしましてー」


横から小さく、そう聞こえた。

マナは思わず顔を赤らめ、急いで着替えた。

元の服に着替えたら、試着室を出た。


すでに人はまばらになっており、ソフィも三脚をどこかにしまっていた。

セフィリアもすぐに出てきた。

いつもの、明るい笑顔で。


「店員さんが、この服くれるって〜!」


ソフィがそう言った。

マナとセフィリアは、目を見開く。

マナが言う。


「え、この一式を?」

「うん!マナとセフィリアが着てくれたおかげで、いい宣伝になったってさ!お礼にあげるって!」

「えぇっ!本当にいいのかな?」

「いいよ!実際、今この2つは売れてるから!」


店内を見ると、確かにマナとセフィリアが試着した、2種類の服は売れていた。

マナの服は、剣術が強くなりそうだと。

セフィリアの服は、可愛くなれそうだと。

ソフィのセンスと、周りのノリの良さに驚いた。


マナたちは店員にお礼を言い、店を出た。

荷物が増えてしまったので、そろそろ帰るか相談。


と、その時。


ソフィの横を、何かが猛スピードで駆け抜けた。

少し遅れて、ソフィは気づく。


「わ、私のカメラ!!」


命より大事(?)と言っていたカメラが、ひったくられた。

マナは思わず、カメラ盗んでどうするんだと思うが、その瞬間。


セフィリアの姿が消えた。

元いた場所には、淡い星の光だけが残された。

そして気づくと、窃盗犯の前に立っていた。

まるで光だけが移動したかのようだった。


「カメラ、返して?」

「うぉあっ!?な、なんだおま、おま・・・貴女?」


セフィリアは軽く首を傾げた。

その姿に見惚れる窃盗犯。


「そのカメラ、ボクの友達のものなの。返して」

「えっ、あ、はい・・・」


謎すぎる会話をしたのち、窃盗犯はご丁寧に返した。

ソフィは大喜びで、セフィリアに抱きつく。


「ありがとう、セフィリア!私の全てが込められたカメラを取り返してくれて!」

「無事でよかったね〜」

「フィルミナ、今のは撮れた?」


ソフィに質問されたフィルミナは、グッドポーズを見せた。

セフィリアのひったくり撃退の様子を、撮っていたようだ。

ソフィが言う。


「今度お礼として、マナの家にお菓子送るね!」

「ほんと?やった。全部食べる」

「ふふっ。セフィリアが好きそうなの選ぶから!」

「楽しみ〜」


セフィリアの笑顔に、顔がほころぶ。

ソフィが静かに、言った。


「2人と一緒なら、永遠に幸せだね」

「・・・うん、そうだね」


みんなで笑っているうちに、待ち合わせ場所だった噴水前についた。

マナは言う。


「じゃあそろそろ帰ろっか」

「うん!楽しかったね、また遊ぼうね!」

「もちろん。じゃあね、ソフィ」

「バイバイ、ソフィ」

「また明日〜!マナ、セフィリア!」


挨拶したら、マナとセフィリアは家に向かった。

セフィリアも満足そうに、笑顔を浮かべていた。


(こんなふうに、ずっと遊べたらいいな)


忘れることはできない、楽しい1日だった。

今回は、本編途中で現れたナンパ男について書きます。

どんな星でも、幸せが崩れることはあります。

ナンパ男、ライア・イセベルグ。


ライアは元男爵家の嫡男でした。

男爵家は、爵位のうち1番下に当たります。

でも1番下とはいえ、爵位持ち。

大きな家と、裕福な暮らしに恵まれていました。


ライアは昔から見た目がよく、モテていました。

けれどライアは、幼馴染の女の子に片想いしていました。

伯爵家の令嬢である、その子の名前は、エメリア。


ライアは何度かエメリアにアピールするも、エメリアはなかなか気づきませんでした。


ある日、ライアは貯めたお小遣いで、ネックレスを買いました。

エメリアにあげるため、告白するために。


そして約束の日がやってきます。

エメリアと2人、ピクニックへ。

木陰にレジャーシートを敷き、お弁当箱を開きます。


そしてライアは、ポケットからネックレスを出します。


「エメリア、君のことが好きなんだ」


エメリアは涙を浮かべ、受け取りました。

2人で抱きしめ合い、エメリアが何か取り出します。


エメリアが言葉を言いかけた、その瞬間。


「お嬢様、ご子息様!」


魔獣がものすごい速さで、突進して来ました。

鋭い角を掲げて、まっすぐに。


ライアは気づくのに一瞬遅れました。

ライアの背後から、迫って来ていたのです。


「ライアくん!」


エメリアが、ライアを突き飛ばしました。

丁寧に作られた小さな指輪が、宙を舞います。


次の瞬間、エメリアの姿が、視界の端へ移りました。

ライアは何も、何も理解できず、ただ佇んでいました。


「エメリア・・・?」


駆けつけた護衛により、魔獣は倒されました。

護衛を遠くへ離していなければ、そもそも外でなければ、起きなかったことでした。


エメリアの葬式が行われ、伯爵令嬢を護れなかったイセベルグ家は没落しました。

それ以来ライアは、亡き恋人の面影を求めるように。


その左手の薬指には今も、精巧に作られた指輪が嵌められています。

優しい笑顔を、暖かい眼差しを、忘れないために。


星がほんの少しでも、

誰かの悲しみを、和らげてくれますように。

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