第0話 プロローグ
猫様のしもべです。
この物語は「これは私の夢物語」シリーズに含まれる作品のひとつです。
暴風が吹き荒れ、店の看板や木々が吹き飛ぶ。
人々は逃げ惑い、美しい女性が必死に叫ぶ。
その中心には、恐怖で泣いている女の子。
そして混乱の中に、ひとりの老人が嵐をものともせず、女の子に近寄る。
銀河のような、輝く髪。
そして手をかざし、優しく囁いた。
「落ち着きなさい、我が姫。星の輝きを思い出して」
その声に女の子は、どこか懐かしさを感じた。
なんとか泣き止むと、周りの暴風が止む。
気づけば、周りは悲惨な状況だった。
アスファルトが裂け、店の窓が砕け散っていた。
そして、女の子のお母さんも・・・。
「おかあさん!!」
美しい女性は、腕に傷を負い、血を流している。
女の子は急いで駆け寄った。
「姫、貴女ならば治せるはず。深呼吸しなさい」
女の子は驚き、目を見開いた。
「・・・!」
老人の言葉に、女の子は従う。
深呼吸をして、お母さんにそっと手を添える。
するとお母さんの傷が輝き、治った。
けれど、傷痕は残ったまま。
お母さんは起き上がり、女の子を見る。
「っ・・・」
「おかあさん・・・!」
女の子は喜んで後ろを見る。
けれど、あの老人はすでに去っていた。
微かな星の光を残して・・・。
すると、消防車や救急車が次々に到着する。
星の髪飾りがついていることを確認し、ほっと胸を撫で下ろす。
これがなければ、彼女はさらなる悲しみを強いられるだろう。
◇
夏休みの出来事だった。
次にその現場を通った時には、周りの視線は以前と変わっていた。
看板を壊してしまった店の人には、石を投げられた。
街路樹を植えている人には、土をかけられた。
さらに休み明けの学校では、友達に避けられ・・・。
「化け物!」
「学校に来ないで!」
そして、紫の髪の女の子が、小さくつぶやいた。
「お母さん、かわいそう・・・」
女の子は最初は、我慢しようと思っていた。
必死に服の裾を握り、声を押し殺した。
涙を堪え、胸の痛みを無視しようとした。
けれど、小さな少女にそれは難しいことだった。
(どうして、私はみんなと違うの・・・)
女の子は、そんな疑問に胸を締め付けられながら、学校を辞めた。
それ以来、彼女は感情を閉じ込める。
涙を見せず、作り笑顔、優しい声で・・・。
ここから、この女の子の物語が始まります。
特別に生まれた人は、何を思うのでしょう?
これからよろしくお願いします。




