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異世界スペースNo1(ランクB)(EX)(完結編)  作者: マッサン
第1次 旋風覚醒編
96/353

96 金星 2

異世界へ転移し、巨大ロボ:ケイオス・ウォリアーの操縦者となった男・ジン。

彼は世界を席巻する魔王軍へ、仲間と共に敢然と立ち向かう。

裏切り者に奪われた最強機体の設計図を取り返すべく、ジン達はその後を追う。

道中で新たな機体を完成させたジン達に立ちふさがったのは、その裏切り者だった――。

(アフリカ投げナイフ!?)

 驚くジンに、ディーンは言う。

『一応、この最強武器が弾数で言えば79発で最少なのでね。真ん中が89、最弱が99とバランスもいい』

 話している間にも、敵軍はジン達へ遠慮なく間合いを詰めてきた。

『勝つのは私だ! 負けるのはそれ以外だ! この世界は私の手にあるのだ!』

 ディーンは高らかに笑っていた。


「やっぱり変になってるゥ……」

 君悪そうなリリマナ。

 ジンも考えていた。

(確かに変だ。ケイオスレベルが4だと? 異世界人かそのハーフでもないとまず3以上にはならない筈だろ。兄貴のケイドでも2だったと思うが……なぜディーンはあそこまで上がっている?)


 だが考え事をしている時間もない。

『ジン、来たよ……』

 ナイナイの緊張した声。

 ジンは落ち着いて言った。


「ま、とりあえずデストロイウェーブをブチ込め」

『あ、うん。発射』

 素直に範囲攻撃を撃ち込むナイナイ。BCバイブグンザリの頭両サイドにあるエラが立ち上がり、放たれる高周波振動の結界が敵軍を包み込む。その威力に耐えられず、敵機Bシックルスカル達は次々と爆発をひき起こした。


 フル改造した威力の前には再生能力も何もあったものではなく、範囲内の機体が一たまりもなく砕け散る。

 高い気力の必要な武器ではあるが、グレートエースボーナスと気力系スキルにより必要条件を常に突破するようにした成果だ。

 

 広範囲へ一気に浴びせるMAP兵器により、互いを庇いあおうと構えていたのも空しく消し飛ばされたシックルスカル達。

 密集していた敵陣形に大きな穴が生じ、ジン達はそこへ遠慮なく切り込んだ。


 AをBがカバーし、BをCがカバーし、CをDがカバーし……それを全機に行き渡らせる事で鉄壁を誇る、巨大なファランクス。だがそれも密集していなくては、威力は半減……いや、それにも満たなくなる。

 ジンは穴へ右寄りに、他の二人と母艦は少し離れて左寄りに突入した。

 ジン達に割り込まれた敵軍は集結して穴を塞ぐ事ができず、分断された形になってしまう。


 もちろん、魔王軍とて飛び込んでこられてただ見ているだけではない。逆に見れば、ジン達は自ら包囲されに来たとも言えるのだ。

 骸骨巨人達は大鎌をふりあげ、敵を切り刻もうとした。


 だがそれもジン達の狙い目だったのだ。

 自ら挑みかかるその時、互いのカバーはどうしても甘くなる。


 Sサンダーカブトの装甲が鎌を弾き返した。

 お返しに撃ち込まれた雷撃光線(ライトニングレイ)が一撃で骸骨の胴体を撃ち抜く!

 その向かいでは、BCクローリザードが鎌を避け、横一閃の斬撃で髑髏を斬り飛ばした!


 次々と破壊される骸骨巨人――殺到する魔王軍は火に誘われる蛾も同然だった。


 そんな乱戦の中、風を切って飛来する凶悪な刃!

『死ねぇ!』

 ディーンの機体が投げつけた三枚刃の奇怪な投げナイフ。それが四連発で投擲され、ナイナイのBCバイブグンザリを襲う!


 MAP兵器を持ち広範囲へ強力な攻撃を撃てるぶん、この機体は防御面が三機の中で一番弱い。

 サンダーカブトほどの装甲もクローリザードほどの運動性も無く、中途半端ゆえの脆さがあった。そしてディーンもそれを知っているのだ。

 弱い所から攻めるのは戦闘の常識である。


 だが――

『そうはさせない!』

 母艦Cガストニアが割り込み、その巨体で射線を塞いだ。

 流石の威力、四つのナイフが頑丈な装甲を切り裂いて食い込む。しかも刃に仕込まれた毒性の薬液が回路を冒し、機体の動きを目に見えて鈍くした。

 だがそれに構わず、ヴァルキュリナが叫ぶ。

『ディーン! これ以上、家の名を辱めるな!』

 だがディーンはせせら笑うだけだ。

『ならば代わりに貴女を辱めてやろう! 魔王軍の兵はそういうのが大好きな奴ばかりだ、丁度いい!』


 ゴブオが機獣座でうんうん頷いていたが、そんな事は知らないのでジンは叫ぶ。

「そりゃいかんな。ナイナイ! そっち側は頼む!」

『うん!』

 応えるナイナイ。

 二人は同時に次のアクションを起こしていた。


 Sサンダーカブトの全身にある発雷結晶(エレクトロオーブ)が輝く。次の瞬間、全十四基から電撃の奔流が放たれ、周囲を焼いた。

 MAP兵器・マキシマムサイクロン! 半壊していた右側の敵部隊は全てが吹き飛ぶ。

 同時にBCバイブグンザリが二度目のデストロイウェーブを放った!

 残り僅かだった左側の部隊は、高周波振動の結界の中で残らず砕け散った。


 陣形と機体特性を用いて組まれた鉄壁の布陣は、風の前の塵のごとく吹き飛んで消えた。



「破廉恥な兵どもはいなくなったからよ。残るはお前さんだけだ」

 ただ一人残ったディーンへ、ジンは言い放つ。

 言われた相手は――

『ならば次はお前がいなくなれぇ!』

 猛り狂い、その機体が新たな投げナイフを取り出した。

ゲーム後半で武器・コマンド・装備アイテムが揃うと大概はMAP兵器連打になるが、実はワシはその大味感が嫌いではないのだ。

RPGなんかでも雑魚が範囲攻撃魔法の連打でゴミみたいに吹っ飛ぶのは結構好きだったりする。それを凌げる高耐性or高HPの奴を倒す仕事があれば戦士系も腐らんしな。

そこをわからず、後半は敵が耐性の高い奴ばかりになって攻撃魔法が全然通らなくなるなる調整のゲームは好きではないのだ。

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