97 金星 3
異世界へ転移し、巨大ロボ:ケイオス・ウォリアーの操縦者となった男・ジン。
彼は世界を席巻する魔王軍へ、仲間と共に敢然と立ち向かう。
裏切り者に奪われた最強機体の設計図を取り返すべく、ジン達はその後を追う。
道中で新たな機体を完成させたジン達に立ちふさがったのは、その裏切り者だった――。
「破廉恥な兵どもはいなくなったからよ。残るはお前さんだけだ」
ただ一人残ったディーンへ、ジンは言い放つ。
言われた相手は――
『ならば次はお前がいなくなれぇ!』
猛り狂い、その機体が新たな投げナイフを取り出した。
「まだ戦うんだ……前のあの人なら、絶対逃げようとした筈なのに」
首を傾げるリリマナ。
「まぁこのていたらくでどこへ逃げるのかって話でもあるがよ」
そう言ってから、ジンは艦へ通信を送る。
「クロカ! アナライズ!」
『あいさ、やってやるよ!』
声と力を振り絞り、クロカはスピリットコマンド【アナライズ】で敵の防御の弱い所を探し、そのデータをジン達の機体へ送る。
『そんな事をしても!』
叫ぶディーン、Sマンベレスパイダーに最強武器のフンガムンガ――我々の地球ではアフリカ投げナイフと呼ばれる投擲用短剣――を投げさせる。
その刃は有害な薬液で毒々しく染まり、信じられないほど邪悪な威容であった。
その刃がナイナイのBCバイブグンザリを襲う!
『貴様らは援護と合体技を駆使するが! こちらの援護防御陣形を討ち破るため、今は散開している! 一匹ずつ殺ってやる、やってやるぞぉ!』
高揚し叫ぶディーン!
だが刃は次々と空を切った。
際どいタイミングで身を沈めて避ける、ナイナイのBCバイブグンザリ!
単純な回避能力だけならこの芸当は難しかっただろう。だがナイナイにも、一度だけ攻撃を完全に回避するスピリットコマンド【フレア】があるのだ。
そして機体を起こしながらナイナイは叫んだ。
『デストロイウェーブ、いくよ!』
バイブグンザリの頭部左右にあるエラがパラボラアンテナのように起き上がり、高周波振動の魔力が放たれる!
それはスパイダーを包み、機体の全身を締めあげた。
『おおおっ!? お、おのれ!』
怒りに吠えるディーン。
しかし彼は見た。
MAP兵器を撃った直後、ナイナイのグンザリが横へ跳ぶように走るのを。
射撃からの流れるような移動――ナイナイもまた射撃とその後の移動を繋げるスキル【H&A】を習得していたのだ。
「こいつも食らえや!」
ジンの声と共に三条の電光が迸る!
『調子に乗りおってえ!』
素早くディーンも反撃に移った。
互いに撃ちあうカブトとスパイダー!
互いの攻撃は互いを撃った!
電撃がスパイダーを撃ち抜き、ナイフがカブトの装甲に刺さる。
だが。
カブトはナイフを片手で無造作に払い落とした。
そしてまるで衰えぬ動きで横に走る。これもまた【H&A】のスキルだ。
『ぐ、ぬ、う……』
一方、焦げて煙をあげる機体の中で苦し気に呻くディーン。
その眼前のモニターが危険な状態を表示していた。
グンザリには攻撃を避けられた。
カブトには1200程度のダメージしか与えていない――極限まで改造されアイテムで補強され、10000を超えるHPに対して、だ。
なのに自機・マンベレスパイダーは、10000近いダメージを立て続けに食らい、もう残りHPは6000もない。
この明らかな劣勢の中、ディーンは気づいた。
ジン機とナイナイ機がどこへ向かって走っていたのか。
ダインスケンのBCクローリザードのすぐ側で、二機は次の行動に移っていた。
鬼甲戦隊が流れるような動きを、波のように微妙にずらしながら叫ぶ。
『『「トライシュートォ!」』』(実は一つだけ『ケケェー!』だが意味は同じである)
>
射 トライシュート 攻撃6500 射程1-7 合体技
>
光輪、鱗型手裏剣、三条の稲妻。位置も弾速も射線も異なるというのに、三つの射撃が同時にマンベレスパイダーを撃ち抜いた。
他の二人の射撃と着弾点で合わせる……そのために自分が、いつ、どう撃てばいいか。完全に理解しあっていた一撃だった。
『が、あ、ああッ!』
獣じみた声をあげるディーン。
モニターに表示されたダメージ値が10000を超えている事を、つまり撃墜された事を、血走ったその目が見ていたかどうか。
限界に達したスパイダーの全身から火が噴き出る。
炎に包まれた操縦席で、ディーンは……
笑っていた。
『私は死なない! 決して!』
そう叫びながら、高らかに。
Sマンベレスパイダーは爆発した。
脱出装置が動いた様子は全く無かった。ディーンが機体の外に出る事も無かった。
『ディーン……そんな道を選んだばかりに……』
異様な最期を前に、ヴァルキュリナが辛そうに呟いた。
戦いは終わった。
資材回収班が急いで飛び出す中、リリマナがカブトの操縦席でモニターを見る。
「奥にまだ敵がいるよォ!」
「ああ。そっちが本命だろうぜ」
ジンも確認した。
山間の谷を奥に進んだ先に、敵の反応があるのを。
ヴァルキュリナが指示を出す。
『黄金級機設計図もそこから動いていない。鬼甲戦隊はすぐに艦へ戻って修理と補給を受けてくれ。行こう!』
機体解説
Sサンダーカブト(一章決戦時)
HP:10500/10500 EN:300/300 装甲:3100 運動:140 照準:210
EN回復(小)
状態異常無効
5段階改造カスタムボーナス
・装甲+300
・EN回復(小)※一定時間ごとにENが最大値の10%回復する。
装備パーツ
・フルコーティングアーマー
(装甲+300、HP+1500、状態異常無効)
・メガブースター
(移動力+2)
・リカバータンク
(ENが250回復する消耗品。再利用可能)
部隊が所持しているパーツをジンが厳選し、装備した状態のステータス。
敵陣に切り込んで反撃を撃ち続けるため、防御性能と移動力を重視している。
また反撃を繰り返しMAP兵器まで撃つ事が前提なので、その後の敵将と戦うためEN回復アイテムも用意している。




