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異世界スペースNo1(ランクB)(EX)(完結編)  作者: マッサン
第1次 旋風覚醒編
90/353

90 雷光 4

異世界へ転移し、巨大ロボ:ケイオス・ウォリアーの操縦者となった男・ジン。

彼は世界を席巻する魔王軍へ、仲間と共に敢然と立ち向かう。

魔王軍の襲撃から王都を救い、最強機体の設計図を届けた一行は英雄として迎えられた。

だがこれまで協力者だった騎士が豹変。彼は魔王軍の間者だった。機体を破壊されたジン達は――。

 自分の造った機体をことごとく壊され、クロカの瞳は燃えていた。

「移動しながら艦内で作成だ。すぐに材料の積み込みを手配するから! ヴァルキュリナは追撃の許可をもらってきて!」

 完全に圧倒され、無言で何度も頷くヴァルキュリナ。


 その二日後。

 戦艦Cガストニアは荒野を進んでいた。


 追撃の許可はディーンが裏切った当日のうちに降りた。だが本来なら新型機の部品搬入もあわせ、数々の手続きや許可が要る筈だった。そしてそれには数日かかる。

 だが――


黄金級機(ゴールドクラス)が魔王軍に増えるような事になればこちらはお終いじゃろ。許可は全部ワシが出させておくから、可能な限り早く追撃しておくれ」

 王の鶴の一声で、全ての手続きが飛ばされたのだ。


 ただ実際に追いかけるには武装も物資も必要だ。

 当日出撃できたのは、Cガストニアだけだったのである。



 戦艦のブリッジは緊張に包まれていた。

 ジンはヴァルキュリナに訊く。

「ディーンの足取りは追えるのか?」

「ああ。今の所、こちらの探知魔法にかかっている。黄金級機(ゴールドクラス)設計図には城でこちらの探知対象になるよう、処理が施されていたからな」

 そうは言うが、ヴァルキュリナの声も顔も硬い。


 それを聞いてジンには気になる事ができた。

「俺ら三人の体も魔王軍の探知魔法にかかるんだよな。向こうにも追いかけている事がバレているわけか?」

「わからない。あれから探知阻害の魔法を施している。だが……発見と隠蔽、どちらが勝つかは魔法の威力次第だ。王城の魔術師達を信じるしかない」

 ヴァルキュリナからの、なんとも不安になる返答。

 とはいえジンにも、信じる以外の道が無いのは確かだ。


 ゴブオが後ろからジンに小声で話しかける。

「アニキ。ケイオス・ウォリアーができてからにしませんかい? それでこの国がやられちまうなら、それは仕方無かったという事っスよ」

「ちょっとォ! 本気なの!?」

 批難するリリマナ。

 だが……材料が揃い、壊れたBCカノンピルバグを元にするとはいえ、やはり巨大ロボットが簡単に組み立てられるわけもない。クロカ達整備班が徹夜で作業し、完成は間近だが、それでもまだ使えない。

 ナイナイとダインスケンの機体は一応動くようにはなっていた。だがハリボテに近いパーツがあちこちにあり、戦闘力がいくら残っているのかは怪しい状態だ。


 要するに戦える状況ではない。

 それを追いつくまでに戦闘可能に持って行こうという、無茶苦茶な作戦なのである。


 ゴブオの意見は、薄情ではあるがおかしくないとも言える。

 それでも怒られるゴブオを他所に、ナイナイはジンに訊いた。

「ジンはなぜこんな状況でも戦おうとするの? 本当にヴァルキュリナさんと結婚するため?」


 艦前方を見て二人に背を向けたまま、ピクリと反応するヴァルキュリナ。


「悪くはねぇが、そんなわけねぇな」

 笑いながら言うジン。


 小さく「そうか……」とヴァルキュリナが漏らした。


 だがそれには気づかず、ナイナイはジンに訴える。

「その方が納得できるよ。そうじゃないと、何故なのかなって。僕達を気持ち悪いって言う人、やっぱり多いし……」

 先日の訓練場での揉め事を含め、今まで受けてきた扱いがナイナイには引っかかっていたのだ。


 それに対し、ジンは――


「ああ。嫌な野郎も多いし、それを助けようと思うほど人間ができちゃいないが……」

 そう言いつつも優しく微笑む。

「助けてやりたい人もいるからな。ナイナイの友達とかよ」

 ナイナイに会いに来た二人の少女の事だ。

 またそう言いながらも、ジンの頭にはダインスケンにじゃれていた子供達の事も、自分達に感謝していた少年騎士の姿もあった。

「その少しのためでいいんじゃねぇか。その他大勢はそのついで……たまたま助かる範囲にいて良かったな、という程度の話だ。嫌な野郎どものために助けたい人を見捨てるのも癪だしよ」


 冗談めかしてはいる。

 だが、紛れもない本音である。

 その事がナイナイにはわかった。

 造られた関係とはいえ、他人ではないのだ。想いの共感もできるようになっている。



 その時、クルーの一人が叫んだ。

「敵の反応! ディーンの進行方向から、入れ違いでこちらへ……!」

「不味いな、迂回していては逃がしてしまう。艦だけで戦うしかないのか?」

 焦りながら迷うヴァルキュリナ。彼女は急いで格納庫へ通信を入れる。

「敵だ、出撃はできないか?」

『もう少しで新型は動く! それまで艦の戦闘はやめてくれ!』

 クロカが怒鳴るように答えた。

「それじゃどうしようもないじゃん!」

 宙で情けない声をあげるリリマナ。


 敵は来る、戦ってはいけない、逃がしてもいけない、逃げられない。

 Cガストニアは八方塞がりだった。


 だが、その時――

「僕が行く。足止めしてくるよ」

 そう言ったのはナイナイだ。

「おい……!」

 慌てて止めようとするジン。

 BCバイブグンザリはかろうじて動けるだけで、数分の一のパワーしか出ない。


 だがナイナイは必死な視線をジンに向けた。

「怖いよ。勝てないのもわかってる。けど……僕もこの世界に、大切な人がいるから」


 そして事実、誰かが捨て石になるしか打開策は無いだろう。

 それはジンにもわかった。

フル改造戦艦が戦えてしまうとピンチにならんからのう。

近頃はどの艦も強くなった。以前の艦なんて弱くて目を覆ったもの……


と思い返してみれば、昔から2回行動MAP兵器撃てたり

妖精含めて支援コマンドの山だったりして別に弱くは無かった。

本当にアカン戦艦は、Fと完のBUライト艦だけだったのでは……?

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― 新着の感想 ―
[一言] 初代ガンダムから戦艦持ってきたら序盤は弱いよね。 ただ、ナデシコとか出て来ると、序盤から戦艦が強かったイメージがある。
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