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異世界スペースNo1(ランクB)(EX)(完結編)  作者: マッサン
第1次 旋風覚醒編
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89/353

89 雷甲 3

異世界へ転移し、巨大ロボ:ケイオス・ウォリアーの操縦者となった男・ジン。

彼は世界を席巻する魔王軍へ、仲間と共に敢然と立ち向かう。

魔王軍の襲撃から王都を救い、最強機体の設計図を届けた一行は英雄として迎えられた。

僻み根性を向けてきた騎士達も一蹴し、もはや敵無しかと思いきや、聞こえて来たのは爆発音――。

 突然の振動! 爆発音! 部屋が、いや艦が大きく揺れた!

 静かにごろごろ過ごしていた所に突然の衝撃である。


「ひゃあ! 敵襲!?」

 慌てて宙に逃げて叫ぶリリマナ。

「ドックの中でこんだけ揺れるとはどういう事だよ!」

 悪態をつきながらジンはベッドから転がり出る。ナイナイ、ダインスケンと共に、部屋から飛び出して格納庫へ走った。


 そして格納庫へ駆け込んだ時、驚きで立ち竦む事になった。


 格納庫が燃えている!


 ハンガーが潰され、ジン達のケイオス・ウォリアーが倒れていた。どれも無残に破壊され、特にBCカノンピルバグは五体がバラバラにされている。

 悲鳴をあげて逃げまどう作業員達。それを中央で見下ろしているケイオス・ウォリアーが一機。

 ジン達が見覚えのある機体だった。白銀の巨人騎士――ディーンの乗っていたSランスナイト!


「お、お前らか……」

 顔中を煤だらけにしたクロカが物陰で頭を抱えていた。

「どういう事? あの機体、敵に奪われたの!?」

 狼狽えながら訊くナイナイ。

「いや、でも、ディーンさんが乗っていたんだ。機体について相談したい事があるって言って……モニター越しだけど顔も見たし話もしたし……って、今考えたら魔法か何かで偽の映像と声を作ってたのか」

 力なく言うクロカ。

 だが白銀級機(シルバークラス)から声が響く。


『違いますよ。乗っているのは確かに私です』

 ディーンの声だった。


「お、おお、お前! アニキ達が大手柄立てたもんで、妬んで掌返しやがったな!?」

 いつの間にか追いついていたゴブオが叫ぶ。

『全然違いますよ。下種なゴブリンじゃあるまいし。私は何年も前からずっとこの国を見限って魔王軍についていただけです』

「そんな、どうして?」

 驚き叫ぶリリマナ。


『そりゃ兄が家の跡継ぎで、私は軍で魔王軍と戦え……でしたからね。じゃあ敵戦力はどんなものなのかと調べたら、判明している分だけでこの国より圧倒的に上。大陸全土の国家と同時に戦えるとか。バカバカしくてやってられませんよ』

 溜息混じりでさえある、呆れた口調。

 それがディーンの返事だった。

『おまけにあの兄が、見栄なのかなんなのか戦場にしゃしゃり出てくる。家を継いだなら人の仕事場に出て来なければいいのに。ま、おめでたい頭に相応しい最期だったようですが。世の中上手くできてますねぇ』 

 せせら笑いが混じった。

 小馬鹿にしている……暗い物を秘めながら。


 ジンは訊く。

「マスターコロンが一度は逃げたのもお前の手引きか?」

『ええ、私です。まぁ下手な事を喋らないように、そして上からの指示で遠隔自爆装置はつけておきましたがね』

 あっさり認めるディーン。

 装置を起爆させたのが彼だと、言われなくともジンにはわかった。


 ナイナイも訊く。

「親衛隊が簡単に入ってきてたけど、もしかして手引きしてたのも……」

『それもまた私です。軍内の立場と実家の名前を使えば、部隊の一つ二つぐらいならなんとかなりましたから』

 これもあっさり認めた。

 国内に入ってから行く先々で敵親衛隊が出てきたのも、彼がそう手引きしたのだと……それもジンにはわかった。


『今までは間者に徹してきましたが、もう必要無いのでね。黄金級機(ゴールドクラス)設計図を持ってこい、スイデン国は滅ぼすとの事です。設計図は……既に私の手にある。顔と立場を利用すれば城から簡単に盗めましたよ。今ごろ発覚しているでしょうが、もうこの国はどうでもいいですし』

 ディーンは笑っていた。

『逃げる前に、この国で一番厄介な聖勇士(パラディン)どもを葬っておけば安心です。お前達がいなければ私を追撃できる奴などいないでしょうから。既に機体は使える状態にない。超個体(スーパーオーガニズム)戦闘員(コンバタント)がどれほどの物か知りませんが……生身で白銀級機(シルバークラス)に勝てますかね?』

 白銀の巨人が剣の狙いをつけた。

 もちろん――ジン達に。


 咄嗟に前に出て皆を庇おうとするジン。その横には同様にダインスケンもいた。

 実際に戦えるかどうかはわからない……が、選択肢のある状況ではない。


 しかしそこへ声が届く。

『警備は貴方が思っている以上に厳重だったぞ! 既に軍は動いている! ここもすぐに包囲されるぞ! 覚悟!』

 ヴァルキュリナの声!


 開いたままのハッチからBソードアーミー……最もありふれた量産機が姿を見せた。その後ろにはもう二体。


『チッ……何もかも思い通りとはいきませんか!』

 ディーンが叫び、彼の機体が三体のソードアーミーに突撃した。アーミー達はそれを止めようとしたが、白銀級機(シルバークラス)とはパワーが違う。次々と跳ね飛ばされ、ディーン機には突破されてしまった。

 そのままディーン機はドックを飛び出し――外から騒ぎの音が聞こえたが、すぐに静かになった。



「クソッ! 逃げられたか」

 Bソードアーミーの一機から降りてきた騎士が歯軋りする。昨日、ジンと勝負した目つきの鋭い青年だった。

 ディーンは逃げた。都の外へ。ほぼ何の妨害も無く。


 軍は動いてなどいなかった。ソードアーミー三機が、救援の全てだったのだ。


 ヴァルキュリナもアーミーの一機から降りてくる。

「軍に話を通す時間は無かったからな……手近にいた騎士に頼んで来てもらうのが精一杯だった」

「なるほど、包囲どうこうはハッタリかい! まぁ二、三人でも軍が動いた事に嘘はねぇな」

 安堵して笑うジン。

「大丈夫ですか! 聖勇士(パラディン)の皆さん!」

 そう言って残りの一機から降りてきたのは、少年騎士のパーシーだった。


「なんともはや。今度は俺が君に助けられたわけか。ありがとよ」

 ジンが礼を言うと、パーシーは澄んだ目をきらきらさせた。

「お役に立てたなら光栄です!」

 嬉しくはあるが……なんだかこっ恥ずかしくもある。

 パーシーから目を逸らし、ジンはもう一人の、鋭い目つきの青年騎士へ声をかけた。

「そちらさんもな。この礼はいずれ……」

 騎士はその言葉に驚いたようだが、すぐにぷいと横を向く。

「いらん。当然の事をしただけの話だ」

 そう言って足早に機体へ引き返した。

(遺恨は仕事に持ち込まない、か。できた奴じゃねぇか)

 彼の背を見送るジンは、悪い気分ではなかった。


 一方、クロカは格納庫で肩を落としていた。

 消火活動は済んだものの、三機のケイオス・ウォリアーは酷い破損状況である。

 ナイナイ機とダインスケン機はまだ人型を留めてはいたが……

「BCカノンピルバグはもう全壊だな」

 ヴァルキュリナが五体バラバラになったジン機を見て溜息をつく。

 頭を掻き毟りながら、ヤケになって叫ぶクロカ。

「ええい、ならこいつを使おう! それならむしろ早く完成する!」

「何が、どういう事だ?」

 困惑するジン。クロカが勢いよく振り向いた。


「新型、白銀級機(シルバークラス)だ! 制作とこの艦への配備が許可されたんだよ! 材料も用意できてて、後は組み立てだけだ」

 そう言って焦げた残骸を睨んだ。

「こいつの骨組みや残った部品を使い回せば、すぐに組み立てできるぞ。いや、やってやる!」


「クロカ。私達はディーンを追わねばならないが……」

 困った顔で言うヴァルキュリナ。

 だがクロカの瞳は燃えていた。

「ああ、そうしよう。移動しながら艦内で作成だ。すぐに材料の積み込みを手配するから! ヴァルキュリナは追撃の許可をもらってきて!」

 完全に圧倒され、無言で何度も頷くヴァルキュリナ。

 周りの物は目を丸くするか、困惑するかしかなかった。

無料ネット小説では敗北回ご法度らしいけど、後継機出すために旧機体壊すのはどうなんかね。

「別に苦戦はしてないが出力10倍の新型機ができたから使うぜ!」の方がいいんかな。

まぁとっくの昔に書いてしまったのでほぼそのまま載せるが。

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― 新着の感想 ―
[一言] どうせロボ自体が「非ウケ」なんで、ネット小説のウケ線よりは「ロボのお約束」の方が既存読者はへのうけはいいんじゃないかと(笑)。
[一言] 破壊されてからの新型は、スパロボ的には普通かと。 この作品って元から、なろう系では無いわけですし。
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