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伝説の1ページ

ナツミさんの視点です

 「くそっ、話を聞け・・・!仕方ない、いくぞ!」


 黒装束の女性は勝手に飛び出して結界を破壊して中に入ってしまった。既に色々と聞きたいことが増えたが今は緊急事態だ。

 竜が刺激されて暴れられる前に中に侵入し、中にある一般人の保護だ。


「親方の場所・・・どこだ!」


 部下を連れて走り出す。エリア内は山の斜面から流れ出るマグマに遮られ視界が悪く、熱気が肌を焼く。中には地底を抉り泳ぐ蛇もおりその対応に追われながら走り抜ける。その時、地面が大きく揺れた。


「はっ、はっ、隊長!一度撤退した方がいいです!竜が暴れている。下手をすると巻き込まれますよ!」


「ふざけるな!一般人がいる以上、救出が最優先だ!」


 かつて私は団員と同じことを言って人を死なせた、同じ事は絶対にしない・・・!

 

「あの!すいませんナツミさん!あそこに人が入れそうな穴があるんです!」


 そう言ったのはあの冒険者の仲間の少年だ、彼女はアレンと言っていた。指をさす方向を見ると揺れの影響か、ひび割れ広がった洞穴があった。

 確かにこの状況なら下手に動くより隠れた方が安全かもしれない、ある可能性はある。


「おーい!誰かいるか!助けに来た!」


 暗い洞穴の中に声をあげて呼びかける。

 下手をすると魔物の巣というのもありえるがこの状況ではそうも言えない、いち早く見つけて脱出しなくてはならない。頼む、返事をしてくれ。


「・・・ーい!おーい!誰かいるのかー!?助けてくれ!」


 確かに暗闇の奥から声が聞こえた。話にあった親方だろう。


「いたぞ!何人かついてこい。後はその場で待機し魔物を見張れ」


 腰に吊るされた松脂を塗りたくった棒を持ち皮のスボンに擦り摩擦で火をつけて灯りにする。洞穴の中は人一人入るのが精一杯といった具合で、慎重に進んでいくと、崩落したのだろう。岩が道を塞ぐ形で落下していた。その下で足がハマって動けなくなっていた親方を見つけた。


「おい、その鎧に家紋、あんたら騎士団だろ!?これどけてくれ!」


「任せろ、はぁっ!」


 剣を抜きスキルを発動し、気合を入れて剣を振るう。スキルの名は『烈発』私が持つ『聖騎士』の職特有のスキルであり、決まった範囲を切り刻む範囲技だ。

 それは見事に岩を切り裂き、親方を救出することができた。


「ありがとよ、助かったぜ。にしてもやばいなここは」


 足首を摩りながら立ち上がり感覚を確かめる親方に私は急ぐように言う。


「今外で竜が暴れている。早く脱出するぞ」


「あぁ・・・全く、突然竜が来やがったから咄嗟に穴に逃げて隠れてたんだけどよ。この揺れで崩落しやがって。動きが取れなかったんだわ」


 そう言って親方は笑うと筋肉質な足をトントンと叩き走り出す。


「早く逃げようぜ!あの竜はこええ!」


「もちろんだ、いくぞお前たち!撤退だ!」


 洞穴の入り口まで出ていくと、皆が動きを止め目の前の光景に釘付けになった。それは私や部下、この場にいる誰もが場違いな圧倒的な光景があったからだ。

 竜が空を飛ぼうとし、それを阻止するように上から落下してきた黒装束の女性が拳で叩き落とし。

 それに合わせた地上で待機していた翼を持つ鎧姿の凛々しい女性が剣を振るえば竜が怯み、体制を崩して地面をめちゃくちゃにしながら倒れる。

 追い討ちに上から光の槍を雨のように降らせる先程の女性に比べると幼い軽装の少女が。


「な・・・」


 言葉が出なかった。世間では竜は勝てない存在だと言われており、竜が落ち着くまで逃げるしかない。しかし今目の前に広がる光景はなんだ。

 たった3人による攻撃に竜は怯み、反撃する。それを難なく回避し、時に反撃する人間。これではまるで・・・伝説に伝わる四賢者のようではないか。

 すると、チラリとこちらをみた冒険者がこちらに来る。その間を二人があの竜を抑えている。


「親方は見つかったか、ならさっさと行きな。ここは危ない。っていうか多分これからもっとやばい」


 黒装束の女性はそう言って目で竜の方を見る。こちらは頷くことしかできなかった。


「お前たち、いくぞ」


 その言葉にハッとしたのか、急いで走り出す集団を引き連れて私は脱出した。


(´・ω・)なお、この時点で主人公が使っているのは中級魔法までとスキルのみです。竜も体力を削られてはいますがまだまだ健在。

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