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活気のある街と絆の杖

「うえぇ・・・」


「頑張れ少年、あと少しだ」


 あれからフェンリルに走ってもらうこと1時間、ようやく私たちは街まで着いた。代わりに私と少年の胃は荒れ狂いグロッキーになったが。今度から呼ぶ時はペースを落としてもらおう・・・

 外から見る街の外観はビーゲンとはあまり変わるところを感じないが違うのは外から見える煙の量だろうか。おそらく武器などを作るための鍛冶場が多いんだろう。

 ちなみに今回は並ぶことなく街に入れた。実は身分証がない人は料金を払うことで仮の身分証が手に入る、と聞いてあのセクハラ紛いの行為をされてまで手に入れた意味が・・・となったのは内緒だ。


「わぁー!すごい!すごいですよ!」


 興奮した様子で辺りを見渡すアレン少年。

 ビーゲンとは違い、冒険者で溢れ返る大通り。それを狙っての客寄せや、出店。軽く見るだけでもそれなりに強いと思われる冒険者もチラホラ。

 少し泥臭いというか独特の空気がある街だが活気があり私は好きだ。興奮するのも分かる。


「ほれほれ、少し落ち着き。周りに迷惑かかるぞ・・・ほう?高級弁当とな?」


「うわぁ、2000円もしますよこれ!」


 未知の物に二人して目を輝かせ見て回る。あ、ちなみにこの世界の紙幣は円だ。まあ運営の手抜きだろうが混乱しないので楽で助かる。

 高いが・・・食には妥協してもいいことはない。興味があるなら買うべきだ。


「おっ、姉ちゃん美人やな!この弁当数量限定だから今買わんと後悔するで!」


 気の良いおっさんが話しかけてくる。どうやら売り子らしい。

 数量限定でこの値段か、かなり自信があると見た。ここは購入するしかない!


「それじゃ二つ頼む。アレン少年もそれで良いね?」


「はい!お願いします!」


 躊躇なく頼んだねアレン少年。やはり食はいいものだな。


「って違うわ。あれだ、大会あるらしいから参加するんだ」


「あ、そうでした」


 ウキウキで弁当購入したけど本来の目的忘れてた。それはそれとしてこの弁当はアイテムボックスに入れて後で食べるけどね?


「なんや姉ちゃん、大会に参加したいんか。それならこの通りをまっすぐ行った所に冒険者ギルドがあるからそこで受付できるらしいで」


「お、ありがとう」


「ええよ、弁当買ってくれたしな」


 そう言ってニカッと笑う売り子さん。うーん、この人の良さは人気でそうだなぁ。手を振ってその場を後にし大通りを進んでいく。


「いい街だなぁ・・・」


「そうですね、僕も初めて来ましたが居心地がいいです」


 入って早々に人のあったかさを感じて満足気味な二人。言われた通りに行くと大きな建物があり人だかりが出来ていた。


「何の集まりかね、ギルドに入りたいのに邪魔なんだが」


「何かあったんですかね?」


 人だかりをかき分け進むと急に開ける。そこには簡易的な演説台のようなものがあり、その上に乗っているのは豪華な装飾がされた服を着た男だ。が、私はそんなものどうでもよかった。重要なのは奴が身につけている武器だ。腰から下げられたそれは私がゲーム時代に見慣れていたものだ。


「さぁさぁ!俺の傘下につき名誉を受け取る者はいないか!今回の武術大会で上位に食い込んだ者は部下にしてもいい!」


 壇上の男は辺りを見渡しそう話す。


「・・・なぁ、アレン少年。あの男知ってるか?」


「いや、僕も知らないです・・・何かあったんですか?」


 さっきまでのおちゃらけた空気は無く、張り詰めた雰囲気を纏うレイカにアレン少年は気づいたのか。私の様子を伺う。


「しらねぇのか?あそこのお方はマモン王国の第一王子にして王様になる予定でアサラク様だ」


 そんな二人の会話を聞いていたのか隣にいた野次馬の一人が説明してくれた。ありがとう。

 そうかそうか・・・ちょっと真面目にならなきゃいけない事が出来た。


「で、分からないんだが何の話なんだ?」


 流れで野次馬の人に聞いてみる。


「どうやら、アサラク様も武術大会に参加するらしく一位を狙うらしいんだ。で、その下も自分の部下で埋めたい。だから実力者を雇おうとしてるらしい」


 ふむ、自己顕示欲かね。わざわざ自分の部下で埋めたいって意味ないと思うんだけど。


「そもそもあの方は色々と悪い噂があってな・・・王族の権力争いで自分の力を誇示したいんじゃないかって言われてる。今回もそれじゃないか」


  私が思っていた事を察したのか、そんな補足をつけた。


「ありがとう、話はわかったよ」


 ありがとう野次馬の人。忘れなければなんかお礼するよ。多分忘れるけど。


「行くよアレン少年」


「あ、はい・・・」


 アレン少年を連れて人混みをかき分けギルドの中に入る。


「大丈夫さ!俺の力があれば優勝は間違い無いのだから!」


 ギルドに入る直前、演説するアサラクのそんな声が聞こえた。

 悪いけど、それは無理だ。私が優勝する気だし・・・勝ったらあの野郎、問い詰めてやる。

 奴が腰に下げていたのは『レマカリスの杖』ゲーム時代に私達チームが結成された時に記念で作られた杖だ。言ってしまえば私達チームを象徴する杖であり、メンバーの文字を一つずつ取って名付けられたものだ。

 正直、見た瞬間思わずカードを取り出しそうになった。それを抑えた私を褒めて欲しいくらいだ。

レイカさんブチギレ案件です。本人は賢者達の扱いとかその辺を理解して無いですけど、理解したら国を滅ぼして回るんじゃ無いですかね・・・(´・ω・`)

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