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旅は道連れと言う

 とりあえず起きた出来事を全て話したら、どうやらどっかの国に報告するとかなんとか言ってた。フリーの冒険者だと思っていたら、どうやらこの二人は何処かの組織に所属する冒険者で監視員のような役目があるらしい。

 仮面の男について聞いてみたがそれとなく誤魔化された、何かしら知ってるらしいが話す気はないみたいだ。


「レイカさんー!」


 と、その時遠くから知ってる声が聞こえた。気づいた時には抱きつかれ泣かれた。


「良かった・・・無事で良かった・・・!」


 アレン少年、いい子だなぁ・・・巻き込んだのは私なのに。私は優しく頭を撫でた。


「すまんな、巻き込んだ私のせいで怖い思いさせて」


「いいんです別に、レイカさんが無事なだけで満足です」


 天使か、ここに天使がいたわ。涙目の上目遣いでこちらを見てくるその様は天使と言っても過言ではないのだろうか。そこ、あざといとか言わない。この計算され尽くした角度は養殖じゃ出ないわ!

 

「すまない、少しいいだろうか?」


 と、そんな脳内でパーリィーしてた私を現実に戻したのは呼ばれた声だ。


「あ、ああ。何かなノバン?」


「どうやら報告した所、君の話が聞きたいと上が言っていてな・・・急ぎでなければ来てもらうことはできないか?」


 ふむ、どうしたものか。確かに急ぎの用があるかと言われたら無い。

 が、ノバンの上司って事は貴族やら何やらと面倒くさい可能性が高い。少ししか話をしていないノバンだが、その人の良さは話していて感じた所だ。そんなノバンには悪いが断ろう。


「すまんね、私はこれでも急ぎの用がある。その後でも良ければ聞こう。冒険者ギルドで私の名前で検索すれば分かるだろうし連絡してくれ」


「そうか・・・いや、無理強いはしないさ。こちらも君のおかげで死人を出さずに済んだからな」


 案外あっさりと引いてくれた。ありがたいね。

 そんじゃまあ、私も次の街に向かうか。


「そうか、じゃあ私もこれで。後は任せたよ」


「レイカさん、もう行くんですか?」


「ん?そうだぞアレン少年、これから『ドヴェルグ』って街に行くんだ」


「そうですか・・・」


 アレン少年は少し残念そうだ。まあ縁があればまた会えるさ。その時には魔法使いになってるといいな。


「ほう、ドヴェルグか。あそこは今武術大会が開かれる予定があったがそれか?」


「武術大会?いや初耳だ」


 はて、ゲーム時代にあの街でそんなイベントは無かったはずだけどな。『ドヴェルグ』それは世界中から職人が集まりできた街と言われており、その技術は世界トップクラスだ。私も昔はあそこで装備を整えた覚えがある。


「なら行ってみるといい、なんでも優勝賞品は桜の涙らしい。今頃こぞって強い連中が集まってるだろう」


 ほうほう、強いやつがたくさん?それは聞き捨てならんぞ?魔物使いといい、新たな情報が手に入るかもしれない。なら知っている人間に聞けばいいじゃないかと思ったりもするがそれは出来るだけナシだ。

 ゲームもそうだが、私は自分で手探りの中プレイするのが好きだ。攻略情報なんかは詰まない限り見ない主義なんだ。最近はすぐ攻略調べて楽々、みたいな風潮が強いように感じるが・・・それは面白くないだろう?

 そして賞品は桜の涙か。とある装備の素材になったり、アイテムとして使用すれば体の欠損すら治せる治療薬にもなる便利なものだ。私にはあまり価値のあるものではないな。


「さ、桜の涙ですか!?」


が、それに反応したのは私ではなくアレン少年だった。


「あ、ああ。そう聞いているが」


 その勢いに驚きながら肯定するノバンにアレン少年は考え込む様子を見せた。


「武術大会か、面白そうだ。いいことを聞いた、ありがとうノバン」


「いや、これくらいなんて事はないさ。いい旅になることを祈るよ」


「それじゃ、私は行く「待ってください!」」


 街に向けて歩き出す私の言葉を遮るようにアレン少年は私の腕を掴む。振り返り少年の顔を見ればとても真剣な顔をしている。


「ぼ、僕も連れて行ってください!」


「さっき言ってたのが気になるのか?」


 先程反応を見せていたしな。何かあるのは見てわかるよ。


「桜の涙がどうしても必要なんです!お願いします!僕も連れて行ってください!」


 そう言って私に頭を下げるアレン少年


「いいよー」


「その為なら雑用でも何でもします!だから・・・ってええ!?い、今良いって言いました!?」


「うん、言ったよ」


「な、なんでそんなあっさり!?」


「いやまあ、そのくらい別に構わないし。それに君には世話を掛けたし?」


 まあ打算が無いわけではないよ?この世界についての常識とか聞いておきたいし。

 そんな様子の私にしばらく疑心暗鬼な様子であったが、本当だと分かるとぱぁあっと表情を明るくした。


「本当にありがとうございます!」


「別に良いって。気にしなくて良い」


 どうやら私の気まぐれな旅に同行者が増えるようだ。




 

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