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怪しい男と出会う

「ちょっと待ってくださいよ!速すぎる!」


 異変を感じた私はペースを上げて走るがアレン少年はそれに追いつかなかったのか抗議の声をあげる。


「っとと、ペース上げすぎたか」


 少しペースを落とし走る少年の横に並走する。


「なんでそんなに速いんですか!?こんな薄暗くてゴツゴツした岩だらけなのに」


「んー、慣れかな?」


 やってるとダンジョンの癖みたいなのが感覚的に分かるようになる。ここは足場になる岩が多いからそこに足を引っ掛けて跳ねるように走れば速く行けるようになっている。まあその分死角が増えて悪意のある敵配置が多いんだが。

 しかし・・・少年に合わせていると遅い。ここはペットを呼ぶか?リヴァイアサンじゃ大きすぎるし、ここはあいつを呼ぶ。

 メニュー画面からペットを呼び出す。前のより少し小さい魔法陣が地面に落ち、そこから光の粒子となり現れたのはリザードマンと呼ばれる爬虫類を思わせる鱗と瞳を持つペットだ。


「わ、わわ!?召喚術ですか!?」


 突然の出来事にアレン少年も少し驚く。

 しかし召喚術とな?ペットを使役し戦うペットマスターくらいしか思いつかないが新しい職か?

 リザードマンはこちらを見ると片膝を地面につけ、跪く。


「必ず来ると、信じておりました」


 やはりそうなるよね、ペットには意思があり意思疎通が取れるのは確定のようだ。

 しかしこんなキャラだったのか君。ゲーム時代はよく使っていたが何も言わないから勝手なイメージ付いてたわ。


「長い事待たせてすまなかった。積もる話もあるが今は頼みがある。いけるか?」


「はっ、命令とあらば」


 まあペットだし主人に敬意を払うみたいなのは分かるけど、もう少し緩くできないかなぁ・・・このノリでずっとやると肩が凝るというか。


「んじゃアレン少年よ、少し飛ばすぞ」


 そう言って私は一気にペースを上げ走るというより壁を跳ねるように走り抜けていく。リザードマンはそれで私の意図を察したようでアレン少年を掴み背中に乗せて私に追従していく。

 うーん、懐かしい。ゲームの時はこうしてリザードマンと一緒にダンジョン駆け抜けてた。

 それから数十分だろうか、出てくるゴブリンを潰して走り抜けてようやくボス部屋に続く大きな扉に辿り着く。


「や、やっと止まった・・・」


「あ、そういえばアレン少年の目的とか聞いてなかったわ。流れで連れて来ちゃったけどいいよね?」


「えぇ・・・本当はここまでくる予定無かったんですけど、もういいですよ・・・」


 かなり揺れたせいかアレン少年は顔色が悪く自棄っぱちになっているようだ。すまん。


「さてと、行くか」


 開けて入ればそこはボス部屋、すぐに戦闘が起こるからな。アレン少年はリザードマンに任せて私はガチバトルだ。ここまで来るまでにある程度体の動きは把握した。後は現実となった世界でのボスの実力だ。ゲームでのエフェクトはここでは現実。

 全て避ける気でやらなきゃならないかもしれないのだ、気合を入れて行こう。

 目の前にある鉄製の扉を開ける。金属特有の擦れる音を立てながら開くと、そこにはボスとしているはずのゴーレムが物言わぬ残骸と化していた。


「倒されてるのか?・・・っと!」


 その様子を見て一歩踏み込んだ瞬間、ゾクっと背筋にくる感覚がありその場から飛び地面を転がる。

 それと同時に先ほどいた場所に数本のナイフが岩床をバターの如く切り裂いた。


「あれぇ?これ避けるんだ」


 その声の方を見ればゴーレムの残骸のさらに奥から出てくる顔が見えない仮面とローブをした男が現れる。

 ナイフを使う職は盗賊や暗殺者だ。先程の不意打ちを見る限りなんらかのスキルか。当たると即死もあるな。

 ゲーム時代の経験から相手の実力を推察する。しかしまあ、負ける気はしない。トップランカーのプレイヤー相手にするより楽だ。


「挨拶にしては随分と物騒だ、親に習ったのか?」


 そう言いつつ構える。


「・・・その気はなかったけど・・・少し相手してあげるよ」


 どうやらなんか地雷を踏んだ感じがする。一気に相手の気配が強くなった。


「アレン少年、足は動く?」


 相手を見据えたままアレン少年に声を掛ける。どうやら相手の気配に当てられたのか萎縮してるようだ。


「は、はい・・・なんとか」


「よーし、ならダッシュでダンジョンを出て応援呼んで」


「でもそれじゃレイカさんが・・・」


「いいのいいの、それに誰かがここで押さえないとダメでしょ?」


「・・・ッ、絶対戻ってきますからね!」


 葛藤したのだろう、少し間があり扉を開けて走り出した。いい奴だなぁ、きっと本気で心配してたんだろうな、私が巻き込んだようなものなのに。

 一応、アイコンタクトでリザードマンを護衛頼んでおいたし平気だと思う。

 しかしまあ、それっぽいこと言ったけど本当の理由は、私がそれなりに戦おうとすると周りを巻き込むからなんだけど。


「さてと、大人しく待てが出来るとは感心感心。本当はここのボスでやるつもりだったけど。君でやらせてもらうよ」


「あれ、もしかして格上のつもり?残念だけど俺は魔物使いでさ、君一人なら嬲り殺しできるんだよねぇ・・・!」


 そう言ってギャハハ!と汚い笑い声をあげる。

 ほうほう、魔物使いとな?初めて聞く。どんなものなのか気になるな。色々試してみようか。


「それは楽しみだ。ところで一つ質問」


「あぁ?」


「焼き加減はどうする?当店のおすすめはヴェルダンになるが」


 そう言って懐からカードを取り出し腰のホルダーに差し込む


「いや、焼いても食えなさそうだし消毒が一番だな」


『火術式・篝火』


 さて、久しぶりだ。少し張り切って行こうか!

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