依頼
「はぁ。」
《これで何回目だ?そんなに溜め息ばっかりついてると幸せが逃げるぞー?》
「大きなお世話だよ。ったく、相変わらず人使いの荒い奴だ。何が〔ちょっと行って片付けて来い。〕だよ。自分で行け。」
《まぁ、仕方ないじゃないか。いい加減諦めろって。》
「………。」
他人事だと思いやがって。
時刻は10時30分。私は今、相棒の紅星(愛称は紅)と一緒にある廃墟に向かっている。言っておくけど肝試しとかじゃないから。では何故そんな所へ向かっているのかと、それは遡ること30分前…。
【「は?今なんて言いました?」
「だから、山の方にある廃墟と化した洋館に肝試しに行った学生が誰1人として戻らないから、調べて欲しいという依頼があったと言った。ついでにお前が調べて来いとも言ったな。」
「何故私なんですかっ!冬夜さんが受けた依頼でしょ!?だいたい今何時だと思ってるんですか!」
「俺は忙しいんだよ!見ろ!この書類の山を!ちなみにこんな時間になったのは俺のせいじゃない!」
「それは冬夜さんが仕事サボってたからじゃないですか!
こんな時間に依頼受けないでください!」
「お前にはそんな可哀想な上司を助けようとする思いやりがないのか!」
「自業自得です!あとよく仕事をサボるデスクワーク嫌いの上司を持った私の方が可哀想です!」
「………。」
「そんな顔してこっち見ても駄目です。」
「血も涙も無い奴だ。…まぁ、そんな訳で俺はこの書類を処理しなければならない。だから、お前が行ってちょっと片付けて来い!」】
…。なんか思い出しただけで腹立ってきた。
《ん?おい、あれじゃないか?》
色々と思い出し、1人腹を立てている内に目的地に着いたらしい。
「あー。何て言うか、いかにもって感じだな…。行くか。」
そして、私と紅は廃墟へと足を踏み入れた。