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第十六節 超巨大魔獣?

――――――――――――――――――――――――――

 【魔獣等級】

 

 十二番戦線 大魔獣

 十一番戦線 巨魔獣

 十番戦線  超魔獣

 ――  轟魔獣


 九番戦線  大魔大獣

 八番戦線  大魔巨獣

 七番戦線  大魔超獣

 ――  轟魔大獣


 六番戦線  巨魔大獣

 五番戦線  巨魔巨獣

 四番戦線  巨魔超獣

 ――  轟魔巨獣


 三番戦線  超魔大獣

 二番戦線  超魔巨獣

 一番戦線  超魔超獣

 ――  轟魔超獣


 新天地   

     轟魔轟獣 


 最前線

     超巨大魔獣 一山 二山 三山

     超巨大魔轟獣 一山 二山 三山


――――――――――――――――――――――――――



 ランドはじっと紙を見つめている。まるで、印字されている文字ひとつひとつ、すべてを頭に入れようとしているみたいに。


 静寂。


「さっきの魔獣は大魔超獣(たいまちょうじゅう)ね。ここは七番戦線だから、等級どおりだね。


 ちなみに、目指しているリガ街は六番戦線。いまわたしたちは七番戦線の境界ぎりぎりのところにいるって考えて」


「…………」


 ランドは紙から目を離さない。


 ――ええっ……? そんなに集中することなの? たしかに、内容はごちゃごちゃしているけれど……。


 草を踏みしめるわずかな足音だけが、むなしく響く。


「……この集中力。こういうのが、賢いってことなんだろうねえ。わたしだって、何度も言いたくないんだけどさ……」わたしはひとりごとを始める。


「目覚めてからホントに五年? ……魔力をしれっと使ってたりとか、信じられない。召喚獣は時間の流れが人と違うのかな? あれ……? この場合、早い方がいいのか、遅い方が有利なのだろうか」


 ちらっとランドを見る。


「…………」


「……こんな感じで、いろいろなことを覚えてきたんだろうねえ。必要な知識は本で得たって言ってたけれど、何を知っていて、何を知らないか分からないから、片っ端から話していこう」


 ――というか、この紙の内容だけじゃ足りないから、絶対なにか質問してくるよね……鋭い。賢くて。


 ……なんか、緊張してきた……。わたしが書いたわけじゃないのに。


 ランドは、やっと顔を上げた。そして、


「……リオナが言いたいのは、時間の流れが早いか遅いかではなくて、密度の問題だよな。同じ時間のなかで、どれだけ知識を詰め込めたか。俺の場合、必要なことはどんどん吸収していくしかなかっただけだ。だから、賢いわけじゃない」


「――ッ! てんさいじゃんっ!」と、わたしはさけんだ。


「それで、これだけどな」ランドは紙をひらひらと揺らした。


「ちょうきょだいまじゅう……? 安直すぎないか?」と、ランドは言った。


「ううん。超巨大魔獣ちょうきょたいまじゅう


「そうか……魔獣の大きさを山ひとつ分に例えてそうなのはおいといて……上から」と、ランドは言った。


「……まず、もやもやするのはだな……」

 

「まず……! もやもやっ……!」わたしは身構える。


「魔獣なのに、巨獣だとか、超獣だとかな。大と巨と超を繰り返したいのはよく分かった」


「それはまあ、魔獣の強さの序列だね。九番戦線より()――


 あっ……まず、世界の果ての黒い森に近くなるほど、戦線の数字が下がっていくよ」


 わたしは、はっとしてランドを見る。


「……この世界が黒い森に囲まれていることは……まさか、知ってるよね?」


「さすがにな」


「うん。それで、九番戦線より前の魔獣は魔力を使うの。だから魔が先に来る。もっとも、魔獣が使う魔力は、獣力(じゅうりょく)って呼ばれてるんだけども」


「……へえ。ここは七番……、さっきのやつも使えたのか? そんな感じは……」


「素質はあるらしいけど、使いこなせてないだけだね。魔獣が咆哮したとき、空気がびりびりしなかった? あれが力の片鱗」


「……この、(とどろき)は?」


「覚醒した魔獣が轟魔獣(ごうまじゅう)。覚醒魔獣はざっくりと戦線三つ区切りで、名前が変わるの。


 もし、七番(ここ)の魔獣が覚醒したとしたら、轟魔大獣になる。ランドが戦う前にわたしが言ったように、戦線で絶対に気を抜けないのはそのせい」


「覚醒すると、どうなるんだ?」


「単純に、強くなるよ」


 ランドはあごに手を当てて、考え込む。


「轟魔大獣になる……か。それもだが、実際に相対した魔獣の等級は、どう判断するんだ? まさか、勘か……?」


「勘……というか。気配による直観だね。戦線にしばらくいればわかるようになるよ。『あっこの魔獣はこの等級だ』って、頭の中で浮かんでくる」


 わたしの頭のなかはぐるぐる考えがめぐる。


「勘……なんだけど、その勘がなによりも頼りになるのは、ランドもよく知ってるよね。


 ビビッて気配を感じたら、絶対そこに魔獣がいる。……いつの間にか、わたしと同じぐらいの感知能力持っちゃってさ。戦線でも頭一つ抜けてるわたしと……」


 最後のほうの言葉だけ、小さな声で言った。


「……なら、どうせ、それぞれの戦線に明確な境界線もないんだろうな」


 わたしは笑った。「わかってきたねえ。うん。明確なラインはないよ。街道に看板が立ってるぐらい」


「そういえば、街へ行く道に、六って書いてあったか……」


 わたしは、うまく伝わるように、考えを巡らせながら説明する。


「……光の大地には、東から西を貫く()()()()な街道がいくつか走っていて……。


 じゃあ、戦線はと言うと、北から南にかけて伸びる、見えない線があると思って。一番戦線の線の次にあるのが、二番戦線の線だよね。


 それで……一番目の線から二番目の線までが、一番戦線領域。一番戦線の戦士がいるとしたら、その領域を守ってるってこと」


「全部ひっくるめた総称が、魔獣戦線なのか……それでな……」ランドは話を続ける。


「戦線に大層な数字をつけるのはいいが、これをみると結局、先があるんだな? 新天地。最前線。」


「ランドは、知りたがりだねえ」わたしは、にやにやしながらランドを見る。


「はあ……なら。やめるが?」


「あれっ! 立場逆になってない?」


 ランドは目を細めて、わたしを見たあと、すぐ視線を逸らし、軽く首をふった。


「新天地……切り拓いてきたのか。黒い森を」


 ――え?


 わたしは驚いてランドを見る。


「ランドの、言葉からすぐ理解するそれはなんなの!」


「さあ?」


「……新天地は、そうだね……フロンティアとも言うよ。


 人が魔力で黒い森を削って、世界を広げてきた証」


 わたしは話を続ける。話が終盤に入ってきた気がする。


「最前線は、言葉どおり、世界の果て。東の世界の果て――黒い森のすぐ手前で、最強の戦士が、最強の魔獣を食い止めるの。


 超巨大魔轟獣ちょうきょたいまごうじゅう。ランドは真っ先に気づいたけれど、そう、一山(いちざん)って言うのはやまひとつ分ぐらいでかいのね。三山(さんざん)は、もうね……。


 ――これは、ある人の受け売りなんだけど、いまこの時も、同じ空の下で誰かが世界を守り、広げる戦いを繰り広げてる」


 ――決まった……!


 わたしがそう言ったあと、ランドはまた考え込んでしまった。あごに手を当てて。

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