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曽我物語外伝 奥州再乱  作者: かんから
叶わぬこと 建久四年(1193)春
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第九章 第三話

「……私はお前らより永(なが)く生きた。故(ゆえ)に、人の生業(なりわい)を知っている。人の温かさ、業(ごう)の奥深さ……美しさ、儚(はかな)さ。大きく笑い、大きく泣く。喚(わめ)く。」


 二子は黙って聞く。二藤次は続けた、少し大きめに。



 「だが、腹は減る。眠くもなる。」


 予想外の言葉に、思わず笑みがこぼれる。ただし隣で眠る女を起こさないように。



 「……何が哀しいかって、何も知らないまま仇討ちで身を滅ぼすことだ。……止(と)める気はない。だが、お前らは男だ。」



 ……一度ぐらい、男としての想いを持たないか。



 ジャリジャリと、音が鳴る。二藤次は懐より束になった銭を出した。これは大円の黄金を替えたものだ。



 「……女を買え。平塚や大磯でもいい。……これで女に溺れて、仇討ちが馬鹿らしくなったなら、それでいい。」





 二藤次は、真顔だ。

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