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曽我物語外伝 奥州再乱  作者: かんから
叶わぬこと 建久四年(1193)春
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第九章 第一話

 大円(たいえん)は皆に伝える。桜の時期が過ぎたころ、将軍家は富士の裾野にて巻狩りを行う。そこが頼朝と工藤を殺す絶好の機会だと。彼はそのことを話しにきたのだ。


 庵の火はバチバチと音を立てる。二藤次は頷いた。……曽我の二子は顔をひきつらせながらも、来るべき時が来たと身構える。


 大円は懐より、隠し持ちたる灰色の、小さな袋を出す。中身を取り出すと……、炎に照らされて(まばゆ)い光を放った。



 黄金である。


「……奥州藤原の隠し財産。ここで使ってこそ、本望は成し遂げられる。……足りないようであれば、申しつけあれ。」


 二藤次は、大円をまじまじと見る。大円は落ち着いた口調で続けた。


「私とて、ただ単に生きているだけではござらん。心は弟に同じ。」



 大円は戦のあと、仲間をひきつれて奥州各所をまわった。鎌倉方に知られぬうちに、金銀を産する鉱山の口を壊してゆく。……正確な在処(ありか)を知っている者は今や、大円らのみである。


 必要な分は別の場所に取ってある。もし将来、再び立ち上がることがあれば……軍資金に化ける。





 日は明ける。大円は皆に見送られながら、遠くへ去って行った。


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