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乙女ゲームの世界に召喚された!?~記憶を無くしている間に推しキャラに溺愛されていました~  作者: 朝比奈 呈
♠番外編♠少女漫画の世界に転生しましたが、悪役令嬢はごめんです(ユノ目線の話です)本編の色々暴話話
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16話・サクラが消えた?!


 そして例の日が来た。その日はノルベールがソワソワしていた。これは一度だけと陛下からもぎ取ってきたチャンスで、これを逃すとフィルマンはサクラに会えなくなる。

 向こうの世界で彼女への問いかけが始まった時点でノルベールは異世界召喚の術を展開させることになっていた。彼女の手元のゲームには、



『ペアーフィールドにご案内します。

▽行く?

▽行かない?』



 と、表示が現れ、「行く」を選択してくれたなら、すぐに彼女を召喚出来るようになっていた。私もノルもフィルマンも彼女の訪れを待っていた。


「成功だ──! 異世界召喚は成功した」


 喜べユノと、喜び勇んで帰ってきたノルベールだったのに、翌日には暗い顔をしていた。



「サクラが消えた……」



 彼の背を撫でて慰め、詳しい事を聞くと、フィルマンの前に「サクラ」は現れたがどうも偽者だったらしい。異世界召喚は成功したはずなのに、どうして偽者が現れたのか意味が分からない。と、ノルベールは頭を抱えていた。


「あいつの望む唯一を……、あいつがこれでやっと幸せになれると……。くそぉ」



 私もがっかりした。これで漫画のストーリー通りに彼女がこちらの世界へやって来て、相思相愛のフィルマンと会えば──と、思っていたのに、現実はそう甘くないってこと? 


 それともやっぱり私がちゃんと、自分がするべく役割を果たしてないからなの? と、思いたくなる。

でも、ちょっと待って。なぜ、偽者が現れたの? ノルベール達は、異世界召喚は公には出来ないから密かに勧めたはずなのに? 

 誰かが計画のことを、盗み聞きしない限り分からないはずよね?


「ノル。陛下はこの話をご存じだけど、王妃さまには?」


「王妃は知らないはずだ。陛下も話してないからな」



 フィルマンと交流のある私達は、棚ぼた式に王位についた陛下をあまり良く思って無い。それでも陛下は王宮魔術師の仕事には興味がないらしく「良きにはからえ」と、ノルベールに丸投げで口出しもしてこない。そのおかげでノルベールは、好き勝手に魔道具を開発出来ているので、その辺りは大変有り難い存在かも知れなかった。


 その結果、テレビ電話もどきの魔道具鏡や、水道、電気、水洗トイレなどだ。前世の記憶がある私から見れば、向こうの世界の便利なものが丸パクりだけど、ノルベールの話では、魔石で何でも出来てしまうらしい。


 その魔道具の一番の愛好者が陛下なので、ノルベールのやりたがることを邪魔はしたくないらしい。

逆にノルベールのことを胡散臭く思っているのが王妃さまで、何やかんやといちゃもんを付けてきて、ノルベールは煩いと言っていた。


「どうして? お二人は仲が良いと思ったけど?」


 ここだけの話な。と、ノルベールは前置きして話した。


「人前では仲の良さそうな振りをしているだけだよ。二人はそれぞれの思惑で結びついただけだからな。王妃は何が何でも王妃になりたくて、陛下は王座に就くために王妃の実家の後ろ盾が欲しかった」


「嘘。知らなかった」



 公式行事や、夜会などでは両陛下は仲の良さを皆の前で見せ付けていたし、15年前のフィルマンの婚約解消事件は、後に弟王子が許婚と相思相愛なのを見抜き、自ら身を引いたとまで噂されるぐらいになっていたというのに?


 それが演技なの? 本当に?



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