15話・ゲームを作ってみない?
「早くやり遂げて、ユノの元へ帰りたいから頑張った」
「お疲れさま。でも、いきなりこちらに彼女を招いても混乱しないかしら?」
異世界召喚が出来るようになったとノルベールは言ったが、こちらの世界へ彼女を招くと言うことは、今までいた世界の家族の元から彼女を切り離し、こちら側の世界に連れてくるいわば拉致に近い行為だ。出来ることなら彼女自らこちら側に来ても良いと、言わせるような方法はないかと考えていたら閃いた。
「ねぇ。ノル」
「何だい? ユノ」
「ゲームを作ってみない?」
「ゲーム?」
困惑するノルベールに提案したのは、ここの世界に良く似たストーリーの恋愛ゲームを作り、それを彼女の元に届くようにして、彼女に遊んでもらい、その延長でこちら側に来るようにするというもの。
彼はそんなに簡単に向こうが飛びつくかな? とは言っていたけど、「まずはやってみない? 駄目だったら他の手を考えましょう。駄目?」と、上目遣いでお願いするように言って見たら、「まあ、やるだけやってみるか」と、重い腰を上げてくれた。
ノルベールには監修してもらって、大体の構想やストーリーは、概ね私が担当した。出てくる人物や素性は実際に存在する人を利用し、相手の女性の気を惹くようにストーリーを練り上げた。ほんの少し誇張や、嘘を付け足したけど、一応創作物だからと、ノルベールには言い訳をして押し通した。
何が何でも彼女には、フィルマンという人物を知ってもらって、こちらの世界に興味を持って欲しかった。
彼女がフィルマンへ同情し、関心を引くように、フィルマンは不遇の王兄に仕立て上げた。フィルマンはとにかく心優しい男性で、腹違いの弟と王座を競うことを避け、自分の後見となる、大貴族の娘との婚約を自ら解消した。そのことで父王から怒りを買い、城を追われて地方へと追いやられたが、実は自分の許嫁が弟王子に気があり、また継母である現王妃が、弟王子を王太子に押したがっているのを知っていたことで自ら身を引いたということにした。
そういう話に持っていけば、同情してもらえそうな気がしたのだ。フィルマンは見た目が良い。まずは外見で嫌われる事はないだろう。内面も見た目通りの良い男性だと思ってくれたなら有り難い。
フィルマンは、この世界でも彼さえ望めば、どんな女性だって望めるはずだけど、彼の本命はヒロインのサクラだ。彼女がこちら側の世界に関心を持ってくれないことには、彼らのラブストーリーは始まらない。
ゲームの内容も何度もノルベールと確認した。そしてゲームをどうやって彼女の目に触れるかは、大いに悩んでフィルマンが夢渡りして彼女に会う日、ノルベールが彼女の部屋へと忍び込みこっそり置いてくる事にした。
夢の中で彼女に会っているフィルマンの情報では、彼女はその頃、よく飲酒して寝入っていたようなので、酔った勢いで購入したと誤認させようとした。無理があるかな? とも思ったけど、彼女はそれを疑う事無く受け入れたようで、ゲームで遊び始めたようだ。




