7話・告白を受けて婚約しました
彼はいつもとは違って歯切れの悪い言い方をする。どうしたのかと良く見て見れば、彼もまたどこか緊張しているように感じられた。
「何かしら? ノルベール」
「俺、ユノのことが好きだ」
「へぇ?」
向き合ったノルベールから、告白を受けてしまった。彼の頬が赤く染まっていく。言葉に嘘は感じられない。私もドキドキしてきた。
「うそ、いつから私のことを?」
「良くは分からない。初めて会った時から可愛い子だなって見てきたけど、最近、段々と綺麗になっていくから目が離せなくて……、好きになっていた」
「ノルベール。嬉しい。わたしもよ」
「本当か? じゃあ、俺と婚約してくれないか?」
「私と結婚したいってこと?」
「ああ、ユノ。俺じゃ駄目か?」
私の返事を不安そうに求める彼が意外だった。普段、天才魔術師と持て囃されて、自信満々に皆の前では振る舞っている彼が私の顔色を伺っているなんて。彼も私と同じく、この想いを前にして臆病な一面があるのかもしれなかった。
「後でやっぱり止めた、だなんて言わない?」
「そんなことはあり得ないよ。逆に俺の方が捨てられないように頑張る」
婚約には正直不安もある。前世でこういった事とは無縁だったし、どう返せば正解なのか分からないけど、思うがままに言ってみた。
「いいよ。ノルベールとなら。婚約する」
「本当か? ヤッタ────!!」
「きゃあっ」
ノルベールは、私の言葉を聞くなり抱き上げて、くるくるその場で回転した。
「ユノ、ユノ。大好きだ────」
目がクルクル回る。彼が満足するまで付き合わされて、解放された時にはヘロヘロになっていた。
「ごめん。つい、興奮した」
「気持ちは分からなくもないけど、気持ち悪い~」
三人掛けのソファーに体を横たえようとすると、頭の方にノルベールが座った。
「俺の膝を枕に少し休んで」
「うん。ありがとう」
前世で推しキャラだったノルベールと恋人になった。その想いで胸がいっぱいだ。彼の膝は思ったよりも硬かった。でも、好きな人の膝を借りるなんて初めての経験だ。見上げれば金色の瞳が微笑んでいた。頭を撫でられているうちに眠くなってきて瞼を下ろしていた。
気が付いた頃には翌朝となっていて、ベッドの中にいた。朝食の席でお祖母さまから「ノルベール君からお話は聞いたわよ」と、言われ、いつの間にかノルベールとの婚約話が決まっていたようだ。
お祖母さまはもともと王家からの第1王子との婚約の打診に乗り気ではなかったし、私がノルベールを好きなことは知っていたようで「良かったわね」と、祝福してくれた。




