王子様パワー全開
アンダンティーノ殿下とプレスト殿下は2人セットでいらっしゃった。
どちらも舞踏会用のフォーマルなスタイルで、いつもよりさらに王子様らしい麗しい装いだ。王子達を囲むようにして2年生の諸先輩方が集まっていた。
アンダンティーノ殿下がこちらに気づくと、にこやかにお話を始める。
「今日は、気楽に楽しめるパーティーだから、分け隔てなく気になる人と話す機会にしたいと思っている。男子諸君も気になる令嬢に声をかけるチャンスだよ。楽しいパーティーになるといいね」
アンダンティーノ殿下の言葉に諸先輩方も盛り上がる。実際に今まで開かれたパーティーでカップルになった方も多いらしい。
「では、ボクはさっそく魔法について詳しいセイリーン嬢とお話しながら踊ろうかな」
皆の前で堂々と宣言すると、真っすぐ私の方へとアンダンティーノ殿下が向かって来た。イザベラ様の視線が鋭くなる。
「わたくしにしっかりとつなげなさいよ!」
小声でイザベラ様が私に伝えてきたので力強くうなずいた。
(必死だなあ。ダンスが終わったらきちんとイザベラ様を推してあげるから大丈夫だって)
アンダンティーノ殿下が私の手をとると、部屋の中央へと連れ出した。手の差し出し方から歩き方まで流れるような美しい動きでさすが王子様だ。アンダンティーノ殿下が合図をすると演奏が始まる。ダンスの練習はかなりしてきたが緊張してきた。
「プレストやスワロウと練習を積んだんだよね。ボクのワガママのためにありがとう」
「いえ、このような機会を頂けること自体がありがたく......」
「楽に話して。前も言ったけど、君の本心が知りたいんだ」
アンダンティーノ殿下のリードは、踊る相手に合わせてくれるのでとても踊りやすい。相手への気遣いがとても感じられる。
「魔法の勉強は順調かな?キミは聞くところによると属性にとらわれない多属性の魔法が使えていたと聞いているよ」
「今は記憶喪失のせいで、実際に使える魔法のレベルはまだ授業レベルなんです」
「スワロウから魔法量は戻りつつあると聞いているから、記憶が戻れば問題ないだろうね。それにキミなら、訓練次第でどうにでもなると思うよ」
「そうだといいのですが......」
「ちなみにどこのレベルを目指しているの?」
召喚魔法や転移魔法などを使えるレベルだとは言えない。禁止魔法だし。何と答えようかと思い悩む。
「セイリーン嬢、ボクの目を見て欲しいな。考えさせるようなこと聞いちゃってごめんね」
考えに気をとらわれ、つい下を見てしまっていたようだ。背中に回されたアンダンティーノ殿下の手にそっと力が入り、お互いの身体がもっと近づいた。アンダンティーノ殿下との距離が縮まり、アイドル顔のキレイな顔が近くなる。
「スワロウに優秀な妹がいるらしいとは聞いていたんだ。スワロウにどんな妹か聞いても、なかなか詳しいことを聞かせてくれなくてね。会ってみたらこんなに美しい令嬢だったから納得したよ。隠したくなっちゃうよね」
アンダンティーノ殿下は口を開くたびに私を褒め称えてくれる。他の令嬢にもこんな調子なのだろうか。
こうも好意を伝えらえられると、グッときてしまうものがある。
人生でこんなに好意的な気持ちを何度も伝えてくれた人がいただろうか。いや、いない。だが、落ち着かねば。
「そんな......過大評価というものです。先ほどの目指すレベルについてのお返事ですが、父も兄も魔法課に勤めていることですし、ゆくゆくは私も魔法課に所属したいと考えています」
無難な回答にアンダンティーノ殿下は一応、納得したみたいだ。
「ボクもかなり魔力量はあるし、魔法が好きだ。得意なものは極めたいよね。ボクがキミの力になれるのなら喜んで協力したいと思っているよ。ぜひ、ボクを頼ってほしい」
頼って欲しいと言われて、ふと思ったが、アンダンティーノ殿下自身は禁断の魔法についてどう思っているのだろうかと思った。魔法好きならば気になるのではないか?いつか機会があれば聞いてみたい。が、王族である彼に聞くのは難しいだろう。
「お気持ちありがとうございます。アンダンティーノ殿下は頼りがいがある方なのですね」
アンダンティーノ殿下の気遣いが嬉しかったので私も褒めてみた。アンダンティーノ殿下は私の言葉を聞くと極上のスマイルを返してくれた。
「......曲が終わってしまうね。今度改めて2人だけのデートに誘ってもいいかな?」
「え、ええ」
甘い言葉が続きクラクラしてしまっていたのもあり、つい了解してしまった。
「ありがとう。とても楽しみにしているよ」
曲の最後に私を見つめながらウィンクしてくる。
(ウィンクが似合う方って本当に世の中に存在するんだなぁ......)
アンダンティーノ殿下の魅力にボーっとしていると、後ろからつっつく人物がいた。振り向くと、他の男子生徒と踊り終わったイザベラ様だった。
「セイリーン様、ダンスお上手でしたわね。アンダンティーノ殿下がお相手だと、さぞ踊りやすいのでしょうね。わたくしもぜひ踊っていただきたいですわ」
「アンダンティーノ殿下のリードは最高ですよ!」
私の言葉に気を良くしたアンダンティーノ殿下が、イザベラ嬢の手を取った。イザベラ嬢に気付かれないように、私にだけ分かるように短くウィンクしながら......。やはり只者じゃない。
(前世はアイドルかホストだったのかも)
そう思いつつも、心の中ではドキドキしていた。怒涛の甘い言葉と行動でうっかりアンダンティーノ殿下ワールドに引きずり込まれそうだ。
お兄様の“気をつけろ”という言葉を念仏のように頭の中で何度も復唱したのだった。
アンダンティーノはいつでも平常運転ですね( ´ω` )
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