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未完成  作者: 由乃
第二章 未完成品の外見・見え方
4/4

未完成:3 現実と世間体

朝ごはんと昼ごはんを一緒にしてしまう。



……いつものこと。

もう身体が慣れてしまって何も感じない。


少し大きめの膝まであるワン ピースを着る。それに薄手のパーカーを着て、

肩下げのカバンに財布と画材をつめる。サンダルを履いて、家を出る。


「行ってきます」


すごく、ものすごく、か細い声だったはずなのに、

奥から「行ってらっしゃい」と母の声がした。

…………嬉しかった。




返事が返ってくることが。




極々普通のことなのに。


帽子をかぶって、歩く。

久しぶりに外に出たからか、日差しがとても熱い。痛い。


近くの公園まで。特に行き先なんて決めていなかったから、

公園に行きつき、ベンチに座る。


平日。月曜日の昼間。

小さい子ども達が砂場で遊んでいる。母親たちは向こうの東屋で談笑している。

私の姿を目にした瞬間、顔の色が少し変わったが。


真っ昼間から、どうして中高生くらいの子が。そんな顔。


関係ない。関係ない。

私はあの人達とはなんの関係もない。


自分にそう言い聞かせ、カバンから画材を出す。

画板に画用紙をセットする。

色鉛筆を出して、遊んでいる子ども達と遊具を描く。



無邪気に、遊べ。

何も、将来のことも考えず。ひたすらに遊べばいい。

楽しめるうちに。その笑顔を忘れてしまわないうちに。



少し、汗が出てきた。髪の毛が湿る。

公園はもうやめよう、そう思った。





変な人。不登校児。昼間からほっつき歩く。


高校は義務教育ではない。出席日数が足りなくて、留年になるだろうか。

それとも退学だろうか。すでに名簿には自分の名などないだろうか。

覚えている人なんているのだろうか。


……きっといないだろう。


かまわない。世間がどうなっても。

誰も私のことを知らなくても。



どうだっていい。もうなんだっていい。



そう。

もうなんだっていいんだ。

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