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歌の葉  作者: 黒茜
23/62

幽霊さん

 子供だったあの頃

 いないはずのものが見えた

 それは父さんがいない時に

 ふっと現れ遊んでくれた

 幽霊さん 幽霊さん


 家の前でボール遊び

 少し遠くに蹴って追いかけて

 一人遊びに飽きた時に

 ぽんとボールを蹴ってくれた

 幽霊さん 幽霊さん


 その顔はなんだか悲しげで

 幼い僕が大丈夫と問えば

 大丈夫だよと笑い返す

 幽霊さん 今は見えない

 幽霊さん もういない


 母親求め泣いていた

 無性に寂しく涙流した

 知らないぬくもり頭に感じ

 見上げたそこに笑顔があった

 幽霊さん 幽霊さん


 いつだったか憶えていないけれど

 お弁当を作ってくれた

 おいしいと僕が言えば

 ただ頷き笑っていた

 幽霊さん 今は見えない

 幽霊さん もういない


 子供だったあの頃

 いないはずのものが見えた

 父さんには言えないけれど

 今でもはっきり覚えてる

 ねえ母さん ねえ母さん

 

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