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協力

シアンが接近しようと駆け出すが、一瞬して子分のフォレストウルフがシアンの切断にやられていたのを見ていたのか、彼の接近に強く警戒を行っていた。


シアンから遠ざかる様に、それでいてケヴィンへ徐々に接近する様に、魔法を左右に避けながらケヴィンへと進撃を始めるフォレストウルフ。


させまいとグランが投擲を始めるが、やはり素早い動きでそれすらも避けられる始末だ。


試しにエリルも剣をぶん投げて進路妨害を図る。


だがあっさりとそれが避けられた上、こちらが武器を手放した事で脅威を感じなくなったのか、リーダー格のフォレストウルフはこちらへとターゲットを切り替えて来た。


エリルは逃げる……と見せかけてフォレストウルフに向かっているシアンの方向へと走り出す。


彼と入れ替わる様にシアンを前へ送りだせば、自分を追って来たフォレストウルフにシアンが接触出来ると考えたのだが、シアンが前へ出た瞬間にフォレストウルフは再びケヴィンへと向かって走り始めたのだ。


だが何を考えたのか、今度はケヴィンが自らフォレストウルフへ走りだし、魔法を連射しながら接近を行っていた。


左手で魔法を放出しながら、右手でグランの方向に向けて指をクイクイとさせている。


成程、自分が囮になるから投擲を当てろとでも言っているのだろう。


しかしあれだけ敏感に脅威となる匂いをかぎ分けるフォレストウルフだ。


自分に目掛けて接近してくる武器ならば、きっとケヴィンが囮になっていても……この様に避けられてしまうだろう。


フォレストウルフはケヴィンと接触する直前で、己の顔面へと向かってきたナイフを避けた。


ケヴィンはそのまま走りぬけ、自分と同じ様にシアンの位置へ移動を果たす。


エリルは嫌な予感がした為にグランの元へと走り始め、ケヴィンの行動を見て彼を追いかけるのを止めたフォレストウルフが、エリルの予想通りに今度は『グラン』に向かって走り始める。


「剣を!!」


エリルはジェシカに向かってそう叫び、再び具現化させた剣をグランへと投げて貰う事で綺麗にキャッチ。


フォレストウルフと横並びで接触するタイミングを計り剣を振るうと、フォレストウルフは横方向へと大きく跳ね飛ぶ。


着地点に向けグランがナイフを投げるが、着地と共にくるりと地面を転がるフォレストウルフ。


僅かに掠りはしたものの、あれだけでは殆どダメージを与えられていない状況だろう。


エリルはそのままグランと合流し、シアンとケヴィンを合わせて接近攻撃と遠距離攻撃が同時に出来る二組を作り出した。


しかしやはりボスモンスターと言うべきか、あの速さは相当に厄介だ。


明らかに人間の運動能力を超えているし、ある意味現時点で対応出来ているのも奇跡に近い。


ただ、エリルは今の攻防の中で少しだけ兆しが見えた。


上手く行くかどうかは賭けだが、グランとジェシカに己の作戦を耳打ちする事で二人は準備段階に入る。


エリル達とシアン達に挟まれたフォレストは、一端こちらの相手をする事を諦めたのか三度となるターゲット変更を行い、辛うじて残りの一体のフォレストウルフの討伐に成功していたシアンチームの残りに四人目掛けて走り出す。


ケヴィンがその行動を妨害しようと魔法を放ち続けるが、綺麗にそれらを避けながら突き進むフォレストウルフ。


しかしその行動を予想していたエリルも既に駆け出しており、グランが二本のナイフを投げると共にエリルも自分自身の剣を投げ飛ばす。


二本のナイフを避けながら、続けて投げられた片手剣を視線に収めてそれを避けた事で、フォレストウルフの目には無謀にも無手のまま飛び出したエリルの姿が見えた事だろう。


そして案の定、そのエリルの行動を見たフォレストウルフは四度目となるターゲット変更を行い、エリルに向かって駆けだす。


慌ててシアンがこちらに走り出してくるが、距離的にもエリルとフォレストウルフが接敵するタイミングの方が早いだろう。


何よりエリルが自らフォレストウルフに向かって駆けているのだから、その分余計にこっちの方が早くフォレストウルフに近付く事となる。


フォレストウルフが飛びかかればこちらに辿り着く距離になった時、エリルも敢えて大きく飛び跳ねる。


互いに向かって跳ね飛んだ事により、空中で一人と一匹は接触する事になるのだが、その直前までフォレストウルフは全くこちらの行動を警戒する事は無かった。


勿論エリルは何も武器を持っていない状況だ。


だからこそ無警戒でフォレストウルフが飛び込んで来たのだから。


だが全ては予定通り。


ここまで近づけばもう避ける事は出来ないだろう。


後方では何かを投げ飛ばしたかの様なモーションを取るグランの姿がある。


これも『投擲』なのだ。


地球に存在するスポーツで『投げる』競技で最もポピュラーなのは『野球』であろう。


しかし、『陸上競技』はまだまだ沢山の『投げる』競技が存在している。


そしてそれはグランにとっても恐らく『狩り』の中でやった事がある手段だっただろう。


エリルが掲げた右手には、しっかりとジェシカが作り出した『槍』が握られていた。


グランがエリルの右手に向かってそれを投げた事で、『投げ槍』を行った事でフォレストウルフに気付かれずに武器を持った状態で接近する事を可能にしたのだ。


エリルはフォレストウルフの脳天に向けて槍を突き刺す。


大きく口を開いていたフォレストウルフは下顎まで槍を貫通させ、そのままエリルと共に地面へと落下する。


野生の本能か、それとも魔物と言う性質によるものか、脳天を貫かれてもじたばたと暴れるフォレストウルフの元へ、駆けつけたシアンがトドメを刺す様に『切断』を発動した。


やたらと暴れていた為に、頭部に乗っかったままだと振り落とされる危険性もあった事から援護が非常に有難かった。


そもそも彼には今回の作戦を伝えていなかった為、恐らくだが純粋にこちらの心配をして駆け寄ってきたのだろう。


遠目でケヴィンが何故かしゃがみ込んでいる事が気になるが。


いずれにせよ、これでボスモンスターの討伐も終えた。


となればこの後の展開としては、クリア報告がシステムボードに上がってくる筈だ。


予想通り、先日見た物となんら変わり映えしないフォントで、mission clearの文字が目の前に浮き上がった。


続け様にリザルトも展開され、今回の討伐ポイントがやはりランキング形式で表示されていった。




討伐数合計



クロウラビット 120匹

スライム    80匹


フォレストウルフ    4匹

フォレストウルフBOSS  1匹



ケヴィン


クロウラビット  44匹 ポイント44

スライム     28匹 ポイント28

フォレストウルフ 1匹 ポイント10


計 82ポイント



シアン


クロウラビット        33匹 ポイント33

スライム           27匹 ポイント27

フォレストウルフ       1匹 ポイント10

フォレストウルフBOSS(援護)  1匹 ポイント10


計 80ポイント 



ジェシカ


クロウラビット      5匹 ポイント5

クロウラビット(援護)  10匹 ポイント5

スライム        10匹 ポイント10

スライム(援護)     14匹 ポイント7 

フォレストウルフ(援護)  1匹 ポイント5

フォレストウルフBOSS   1匹 ポイント30


計 62ポイント



グラン


クロウラビット      10匹 ポイント10

スライム         14匹 ポイント14

フォレストウルフ        1匹 ポイント10

フォレストウルフBOSS(援護)  1匹 ポイント10


計 44ポイント


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