隠し通路
戻ろうとした、ほんとその時だった。
全身黒のスーツで、顔も黒いレースで隠している何人か通り過ぎた
葬式を連想させるような感じだ
だが中には荷台を引くものがいる
まあここは神社だから
俺の知識に及ばぬ儀式でもするのだろうと
呑気に考えていた
しかし俺はその場で足を止める
黒い連中の進む先は展望台以外なにもないのだ
それに儀式を行うにしては狭すぎる
ふと後ろを振りかる
いない だと
跡形もなく消えていた
元からそこには誰もいなかったと言わんばかりに
急いで連中の行方を探す。
消えたであろう場所まで来て
地面を強く踏んだり、なにか仕掛けがないか上を見上げてみるも、別段不思議なものはない
通路の脇の人工石でコーティングされた斜面を眺める
後、可能性としてはここか、、、
普段俺は、手袋をしているのだ。生活で煩わしいこともあるが、こういう手を傷つける可能性がある時に限って、つけててよかったと思える。
超潔癖症と言うわけではないが、まあこの話はおいおいするとしよう。
落石防止の為だと思わしき、凸凹したデザインを利用し足と手をかけ、よじ登り始める。
途中まで順調なのだが、如何せん持つ所が砂でジャリジャリしてて、力が入らず、しまいには滑ってしまう。
「うっ、やば。」
反射で岩と手を合わせ、摩擦させ落ちるのを防ごうとする。
ただ、常にはめてる手袋が、ズルズルと脱げていく。
怪我を負うのが怖くて、素手での接触を避けてきたが、手袋が落ちることを懸念して、素手で壁に触れたし瞬間
体が前に落ちるように倒れ、十分に受け身を取れず、地面と衝突する
「くっ、痛て〜」
傷がないか確認し、血や目立った外傷はなくホッとすし、顔を見上げると
「ど、どこだ、、、ここ」
上下左右、コンクリートの薄暗いはいい色に覆われ、どこか不気味な場所へと連れて行く一本道があった。
自分の居場所が全くわからない。これらの情報からすると通路っぽいものだろうけど、一切見覚えや心当たりがない。
さっきまで、壁に沿って登っていたはずなのに、いつの間にかここに、、、
慌てて振り返ってみると、入射光で明るく輝きよく見えない
俺は慌てて、何日も食ってない状態で眼の前に食事が与えられたかのごとく、食いつくように走り出す。
通路とやらから出た時には、見覚えのある風景に直面した。
フ〜、と全力疾走で荒れた呼吸を整える。一旦落ち着いた後に、振り返る。
「・・・」
目にしたことを理解できず、言葉すらも出なかった。
さっき登っていたはずの壁が、いつの間にか、やけに綺麗な長方形の穴がポッカリと空いたものへと変化していた
そう、さっき必死の思いで逃げた通路が出現したのだ。
あまりの出来事に、腕で目を擦り、何度か目をパチパチさせ、よく凝らして確認する。
幻想ではないようだ、、、紛れもなく現実だというのか、、、?
どこか禍々しい雰囲気を感じつつも、好奇心が見てみたいと、知りたいと、体中に訴えかけてくる。
外れかけの手袋をはめ直し、コケた時についた服の汚れを払い落とし、気合を入れ直す
「よっし。」
一声出して、黒い穴へと歩み始める
通路というよりもトンネルといったほうがしっくりくるのだろうか、軽自動車が通れるかどうかくらいの広さで
見上げるほど巨大ではないが
かがんだり、無理な姿勢で進む必要はない
だが一点不可思議な所を挙げるとしたら
電灯がないのだ。
入り口付近は、日光が入って明るいが
奥は、目を凝らしても、一切見えない
一般人がここに足を踏み込むことは考えにくい
ならば黒い連中の専用通路といったところか
なら、電灯を設置すれば良いものを
あえて備え付けない理由、、、
今思いつくのは2つ
めったに通らないからコスト削減を兼ねて設備の断念した。
そうでないならば
誰かに知られたくなかったから、、、
あくまで、推測の域に過ぎないが
足の動作に迷いが生じる
踏み込むべきか、引くべきか
奴らに出くわす不安と、この闇の先にある謎への好奇心が拮抗した
その場に立ち尽くし、しばし考える
そして踏み出した
僅差で好奇心がかったのだ
万が一奴らに見つかったら、その時考えればいいだけの話
なんとかなるだろう
はんば躍起になって進む
スマホを取り出し、ライトの機能をつける
しまった、、
明るすぎたのだ
近くに奴らがいなかったから良かったものを
即刻バレるところだった
セーフ
心の中で叫ぶ
反省を活かし、腕で光の散乱を可能な限り抑え
足元だけが照らされるよう最新の注意を払う
壁を頼りに、慎重に進む
異様に長く感じる
なにか寒くなってきた
ただの風に異常に体が反応する
この期に及んで、撤退の2文字が脳裏をよぎる
浅はかな決断に後悔する
あの時辞めておいて、素直に帰っておけばと
そんなことをぐるぐる考えていると
ほんとにかすかだが白い点が見える
あれは光なのか、ならば出口が近い、もうすぐだ
この場から早く立ち去りたい欲望を抑え、奴らへの注意を払う
どんどん明かりが増し、出口の枠もはっきりし、ようやくたどり着いた
「出口だ」と叫ぶことはなく
潜入任務を任されたスパイの如く、壁に張り付き、顔半分だけ出して
様子を確認した
「すっげー」
思わず口にしてしまった
眼前には、木々が少々そして見渡す限り位置めの草原だった
住宅地の風景に染まりきった俺にとって、いわば大自然の風景に
感嘆してしまった
しばしその光景を堪能し
ビルや電柱といった人工物のない景色も良いものだなと
ひとりでに思った
ふと我に返る。いや待てよ
先程の入口の位置関係と、通路の距離を考慮すると
この出口はまだ山の名ではないのか?
もし仮に突き抜けて山の裏側に出たとしても
人の手が加えられてない未開拓な地がこんな近くにあるとは考えにくい
ならば何なのだ、ここはどこだ、奴らはどこ行ったのか
考えれば、いくつもいくつも疑問が湧いてくる
フー
とりあえず深呼吸
考えてもわからになら調べてみよう
自分にできることをやってみよう
目の前の謎に好奇心が抑えられなくなる
足を進め始めた
芝生を踏む感触が、幻想などではないことを物語っている
更には、葉のカサカサというか擦れる音もする
プロジェクターやスピーカーで
ここまで再現できるだろうか?
一本の木に近づき、触ってみる
紛れもなく本物だ
この空間にも太陽もどきのものがあり天高く昇っている。
おそらくここは時空が現世とは
異なるのだろう。
わからないもの、知らないものが多すぎる。
なので単純だがこの歪んだ場所を「「異空間」」とでも名付けよう。
その木に手足をかけて猿のように登る
りにを見渡せる高台や丘でもあればいいのだがあいにくなさそうだ。
木で我慢し、その木に手足をかけて猿のように登る
可能な限り登った後あたりを見渡す
西側、、、いや待てよ、方角が正しいかわからない
取りあえず左側は、ずっと草原、目の前も同様
右側は川の流れと、奥のほうに山脈が見えるがほぼ草原、
ウ~ン、結局何もわかずじまい
まあ今日はこのへんで帰るかと思った瞬間だった。
奴らが出口に向かって歩いていたのだ
やはり黒い格好で
幸い、木に登っていたのでやりすごすことができた。
「フー、危ない、危ない。」
15分ぐらいだろうか奴らが完全にいなくなるまで待機する。
そして帰宅しようと通路に入ろうとしたその時だった
ワーワーワー
よく聞き取れないが叫び声 というか喧嘩の声がする
くっそ、早くその場からどけよ
帰れないじゃないか
不満に思いながらも、耳をそばだてる
「お前、「「幻象」」かけ忘れやがったな。」
男の怒号がする
「いえ、かけ忘れたはずは、、ない、、、です。」
男の気迫に押され、か弱い女の声がとぎれとぎれに聞こえる。
語尾はもうかすれて消えそうなほど、小さく聞き取るのもやっとだ。
「あ?なんて、いってんだよ。聞こえね〜んだよ。」
「私は、、、かけましたよ、、、本当です。」
女の返答に、男が激昂する
「嘘つけ、今回で何度目だと思っている。この役立たずが。」
そう吐き捨てた後、ゴンと鈍い音がする
定かではないが、顔を殴られたときのようなひどく嫌な音
後にシクシクと声を無理に抑えた鳴き声がかすかに聞こえた
「おら、ついて来い。」
男は泣く様子を気に留めることなく、冷たく言い放つ。
そして、ズルズルと引きずるような音がしばらく続き、いつの間にか静寂へと包まれていった
物音一つしなくなっても、かなり時間を置いてから通路を抜け
参道を転げ落ちるかのように逃げる
とうに、体力を使い果たし限界を迎えていたはずだが
恐怖が体を突き動かす
足がもつれながらも懸命に走り、相棒まで辿り着き
即座にその場を立ち去った
ーーー異空間を体験した翌日のことである
昨日は疲れたので即刻寝た。
そして今起きた所
食パンを取り出し トースターへ投げ 焼けるまで待つ
結局なんだったんだろうか、夢のような話だ
隠し通路に、異空間、そして怪しい連中
わかったのはここまでで、行きづまり
調査したい気もするが、奴らが恐い。
いったい何だったんだろうか、喧嘩というよりも、一方的な暴力だ。姿形は暗くて一切見えなかったが、どこからどう考えてもヤンキーの部類だろ。ああゆう種族とは、関わらないのがベストである。
でもな〜、あの「「異空間」」とやらを探索したい気持ちもある
う〜んとうなっているうちに
チーン
と良い音が鳴り響く
こんがり焼けた食パンにバターやらジャムを塗りたくる
そしてほおばる
うん、うまい
悩みなんて忘れて無我夢中に食う
腹が満たされ、満足して時計をチラッと見る
8時
嘘だろ、まずい、急げ
呑気に朝飯食ってんじゃなかった。
鞄を手に取り、秒で制服に着替え
あわてて飛び出る。
俺の学校は少し高い所に位置し、
俺含め多くの生徒が麓の住宅地に暮らしている。
わざわざ朝早く起きて、きつい坂登ってやってんのに、遅刻にはクソ厳しい
毎日弁慶かのように体育教師が立っている
一秒でも間に合わない者がいるならば、地獄の説教いきだ
ただでさえ学校嫌いの俺が、教師に束縛されるなんてゴメンだ
なんとしても制限時間内に正門を突破しなくてはならぬ
だが以外とハラハラして、リスクを背負う感じ嫌いじゃない
むしろあがるタイプだ。
日頃の帰宅の成果見せつけてやろうではないかーーー
「おはようございます」
「おはようございます」
朝礼の換拶を済ませ、着席すると同時に、顔を机に伏せ
両腕をダランとさせる。
ギリギリだった。本当にまじで
坂を上り切るや否や、鬼教師の10秒カウントが聞こえ始め死の覚悟をし
それでもめげずに走り
ギロリと、今にも殺しそつな目でにらまれながらも
正門をダイビングして無事登校できたのだ。
なんで登校するだけなのに、命かけなきゃなんねぇ〜んだよ。
ぶつぶつと文句を漏らしていると
「今日は、いつにも増して不機嫌ではないか。」
今話しかけてきたのは、葛城潤
俺の前の席に座る男子生徒だ。
数少ない会話相手だが、決っして友ではない。
返答でもしてみれば、調子に乗って自慢話をえんえんと聞かされるだろう
なので決まって俺は聞こえなかったふりをする
「おい貴様、この俺が心配しているのだぞ。うんか、すんか言え」
「・・・」
「なんだ貴様、この我に無視とは、いかに?無礼も甚だしいぞ。」
葛城が怒りで、俺の頭をつかもうとしてきたので
華麗に避ける
「貴様、抵抗するのか。」
「正当防衛だ。」
すかさず、言い返す
だがその返しを無視し、全く違う話題へと転換する
「今日も見物だったぞ。残り一秒で駆け込む勇気、そしてギリギリのギリを目指すプロ意識。素直に感心したぞ。」
正直そんなことに感心されても反応に困るんですけど、、、
しかもばれてしまったではないか遅刻ギリギリの常習犯だってことを
実は、今日こそは、予裕をもって家を出ると
息込むまではいいが、家が好きすぎてダラダラしてしまい
結局毎日、生と死をさまよう登校を強いられてる。
はあー ついため息が出る
「この学園を背負う、不動の帰宅部エースでもあろう貴様が疲労で戦闘不能とは、みっともない。我が軍門の風上にも置けぬわ。」
「だから、お前の軍門などに配属された覚えはない。
たとえ推薦されても、蹴ってるわ。」
意味不明にキレられたので、こちらもキレて返す
後、勝手に俺を学校代表にしてんじゃねえ
でも、、、まあ、、、「「不動の帰宅部エース」」か、悪くない響きじゃないか
葛城に言われたのが癪だが
「なに、加入すれば破格の待遇の上に、導くのは、この我だ。これ以上の幸運な機会どこにある。いやない。だから今こそーーーーー
葛城の熱弁が始まったので、耳をシャットアウトさせて会話はこれにて強制終了
即座に自分の世界に没入する努力を開始する
もし仮に、葛城に昨日の出来事を話せば
飛びつくように食い付いてくるだろう
まあ正直のところ昨日の話はまだしたくない
そもそも信じてくれない可能性があるが
逆に信じて「これより、その地を我が支配下にする。」など言い始め、あらぬ噂が学校中に広まりかねない
こんな危険性があるのが 葛城潤 って男だ
それに自分自身もまだ疑っている
つまりこの件は自分の心のうちにまだとどめておこうと決めたのだ
チャイムと同時に退屈な授業が始まった
さて今日の作戦会議といこう
授業そっちのけで
ノートを取り出し、1枚ちぎり
筆を走らせる
まず試したいことは
・あの通路に自転車を持ち運べるかどうか
まあ大きさは問題ないから
どちらかというと階段の多い参道を
どう攻略するかだな
持ち上げるしかないか、、、
・スマホが使えるかどうか
昨日テンパってて、電波が届くか確認するの忘れてた
繋がるかどうかであの空間が現実なのか異界なのかはっきりするだろう
・連中の正体の解明
まあ正直これは難しいし、危険も伴うから
後回しといこう
ざっとこんな感じか
なんかもっとやるべきことがある気がするが
まあこれで良しとしよう
ああ、早く帰りて〜
心のなかで思いっきり叫んだ