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留年になったので異世界生活することにしました  作者: 萌えがみ
第6章 うさぎさんと、あたおかな挑戦者達
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番外編(2) 白き少女と未知の遭遇 その5

マリィさんとの会話メインです。

ちょっと夜中の話し合い的な感じで。

【知られざるお母さんの在り日の真実を探りましょう】


 夕食を終え少し時間が経った夜中。

 書物が置かれた部屋へと立ち寄りました。

 ノックを3回ほど叩くと声が返ってきて。


「はい」


 少々緊張していますが心を緊縮させ覇気のある声で答えます。


「……私です。入ってもよろしいでしょうか?」


 一言一句丁寧にはっきりと返すと早々に応じるように。


「おや、ステシア殿でしたか? こんな時間に何用で」

「……ああいえ、ちょっと眠れなくて」


 ここで出し抜けに母の話を持ち込めば、急かすような人と勘違いされるかもしれないので眠れないという理由を付けておくことにしました。


「……そうですか、ではどうぞ入ってください」


 すると物静かな音を立てながらドアが開きます。

 配慮するように私が入りきるまで、マリィさんはずっとドアを開けていてくれました。


「……本がたくさん」


 そこはところ狭しと置かれた魔法に関する本が収納された書棚がずらりと連綿と並んでいました。

 窓際には、彼女が使っているであろう机が置かれています。


「あまり入られていませんでしたな。……ここは様々な魔導書や魔法に関する本などがたくさんありますぞ」

「……ふむふむ」


 試しにと近くにあった本棚から1冊の本を取り出します。

 題名は『魔法の往古について』。


 咄嗟にページを広げ内容を読み始めます。

 そこには学校では習ったことがない、隠された魔法のルーツがそこに書いてありました。


『はるか昔、魔法の生みの親である魔法使いは元来に使われている魔法の元となった魔法を仮構として作りあげた。元祖の魔法それは星属性であるステラである。聖なる光を身に纏わせ放つ偉大なる光りの魔法という』


 元々今使われている魔法は、このステラという魔法が元となって作られたとのことです。

 星属性ですか。聞いたことのない属性ですね。

 魔法には、地、水、火、風、光、闇の6つで構成されそれ以外はないと学校の先生は仰っていましたが、まさかこんな魔法があったとは。

 読んでいくと、強力なその星魔法を元に各属性の魔法をこの魔法使い様は作ったことが分かりました。


 さらにこんなものまで


『現代では未だ習得が難しい魔法が3つ存在する。いずれも強力な魔法なうえ誰しもが使える品物ではないからである。古来グリモアに伝わるそれが“グリモア三大魔法”と言われており』


 三大魔法?


『1つは、時を止められる魔法テンプス、2つは全ての魔力を消費して放つ究極魔法マドンダ、3つ目はバイリダスである。……内2つは習得かのうではあるのだが、習得難易度は軒並み以上のため生半可な習得は不可能と言える』


 と私が本に夢中になっていると。


「気に入った本はありましたかな? ……ほほうその本ですか」

「……そのこの3大魔法って?」


 マリィさんが私の見る本を悟ると、興味深そうな表情を浮かべました。

 本に書き記されていた、三大魔法が非常にきになったので聞いてみると。

 彼女は私の方に近づいて答えます。


「学校ではお教えしてくれない伝説の魔法ですなそれは。……本に書かれているように習得難易度はとてもお高いです。……ですがステシア殿ならあの魔法も…………ああいやなんでもありませぬ」


 何を言いかけたのかはわかりませんが、それからも彼女に気になる部分を問うてみたらすんなりと答えてくれました。


 それから数分後。


「……そういえば聞きたいことがあってここにきたんでした。……夕方のこと覚えてます?」


 一瞬目的を忘れそうになりました。

 このまま呑気に本を読んだだけなんて、誰がどう見ても馬鹿な子だと思われること間違いないでしょう。

 忘れない内にと彼女に聞いて真相を確かめましょう。


「えぇ覚えてますよ。……そうでした私とあなたのお母様のことをまだ話していませんでしたな。いずれしようと思ってはいたのですが」


 私が固唾を呑むと彼女は語りかけます。


「私とあなたのお母様は先輩後輩の間柄です。そしてグリモワール卿は私達に魔法を教えてくださったお師匠様です。今から数十年前でしたかな」

「……なるほど。まさかお母さんとマリィさんがグリモワール様の弟子だったなんて驚きです」

「最初は私と先輩は普通に魔法を彼に教えてもらいましたが、先輩は次第に私の上をいき気づいた頃には私には到底及ばない実力の魔法使いになってしまったんですよ。……上級魔法からなにまで全てです」


 聞けば最初は平均並の速さで共に魔法を覚えて行ったらしいのですが、途中から母の魔法習得スピードがぐんと上がったらしく、マリィさんには到底及ばない実力の魔法使いになってしまったみたいです。

 当時から飲み込みが早く上級魔法から最上位種の魔法までなにまで母は造作もなく覚えてしまったみたいですね。

 卒業後は一流の冒険者として名をはせ、マリィさんはグリモアの役員に、母は街一流の魔法使いに上り詰めたとのことでした。


「でも驚きましたよ、途中から私が覚えられない魔法を次々と習得してしまうのですから。……ステシア殿が飲み込みが早いのは遺伝なのでしょうな」

「……そうですかね。確信はないのですが。……それにしてもすごいお母さんそんな凄い魔法使いだったなんて」


 家ではそんなこと全く言っていなかったというのに……ほんとケチな母親です。

 大人ってどうしてそんなにズル賢いのでしょうかね。


「グリモワール卿はお母様と同じ魔力を感じ取って、あなたをここに迎え入れたのですよ。……なんでも先輩と同じ魔力を感じると言い出して」

「……あぁだから容易に私を入れてくれたのですね。……でも私はお母さんみたいに凄い魔法なんて」


 そう言うとマリィさんは私の両手をぐいっと握ってきて、身を乗り出し言ってきます。


「「できます!! ステシア殿なら絶対できます!! なににせよ先輩の娘さんですからなぁ!」」

「……は、はぁ」


 狂信的な素振りは私が揺動しそうなくらいの自信過剰な言いようでした。

 そんな風に言われたら、私はどう期待に添えればいいのか。

 するとなにか思い出したようにマリィさんは天井を見上げ仰視し。


「明日からグリモワール卿はあなたに三大魔法の1つである、マドンダをお教えすると言っておられましたな」

「……そうですかそれは楽しみ………………今なんと?」


 あまりの想定外の言葉に私は聞き返してしまいます。

 空耳でしょうか? ……え、あの三大魔法のひとつである?


「私は正直なことしか言いませぬ。……グリモワール卿も自信満々でしたからな。えぇマドンダをお教えしますとも!」

「……そ、そうなのですね」


 なんかうまいようにはめられた気分です。

 でもどうしてそんな強力な三大魔法を私なんかに?

 グリモワール様みたいな境遇に上り詰めれば、そんな強い魔法も覚えられるんですかね。


「おっともうこんな時間。……ステシア殿今日はこの辺にしておきましょう」

「…………あ、もう12時回りそうですね。……お手数掛けました」

「いえいえとんでもないです。……明日またお願いしますよステシア殿おやすみなさいです」

「……おやすみですマリィさん……ふわぁ失礼しますね」


 小歩きで立ち去ろうとすると急にマリィさんが。

……なんでしょうか。私は背中を見せながら一瞬足を止め聞きます。


「ステシア殿。あなたはきっと将来素晴らしいお母様……いえそれ以上の実力を持つ魔法使いにきっとなれます。私とグリモワール卿はいつでも応援していますから……そのことを忘れないでください」

「…………マリィさん。……ありがとうございますご期待に添えられるかは分かりませんが頑張ってみます」


 一瞬目を瞑り勇気をもらった私はドアを開け部屋をあとにするのでした。

 立派な魔法使いですか。……先は果てしない道なように感じられますが彼女やグリモワール様にそう言ってもらえるととても勇気が溢れてきます。

 ここに来て久々に人と自然に話せたんですからより一層嬉しく感じられて。

 私は立派な魔法使いになると再び心の底で決めるのでした。


「……なりますよ。母を……母それ以上の実力を持つ魔法使いを目指して」

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